【回答】
デジタルカメラの性能向上と低価格化、携帯電話内蔵のデジタルカメラの高性能化などを背景にデジタル写真が普及し、Web上で写真共有サービスを提供する業者も多くなりました。これらの写真共有サービスでは、アップした写真の著作権の帰属、アップした写真の転載・改変・二次使用等について、利用規約などで定めています。
本件は、アップしていた写真が他の写真とコラージュされWeb上に公開されたとのことですが、まず利用していた写真共有サービスの利用規約を読んで、アップした写真の著作権の帰属や使用についてどのように定められているか確認しましょう。本件では、「肖像権」と「著作権・著作者人格権」に基づく2通りの対応が考えられます。以下では利用規約上、アップした写真の著作権がユーザーに帰属し、写真の転載・改変・二次使用は認めない旨が定められていることを前提に説明します。
対応その1 「肖像権」に基づく対応
「肖像権」という言葉を見聞きしたことがあるかと思いますが、この「肖像権」という権利は、明文で定められているものではありません。裁判例において認められてきた、「自然人は、もともとその人格権に基づき、正当な理由なくその氏名・肖像を第三者に利用されない権利」等といった権利を、講学上「肖像権」と呼んでいるにすぎません。そのため、現在においても、「肖像権」の内容・適用範囲・権利・侵害された場合の措置等について、明確になっているとはいえません。
本件では、第三者にあなたの肖像が勝手に使用され、不特定多数の者に開示されているわけですから、「肖像権」の内容を広く捉えた場合、あなたの「肖像権」が侵害されていると考えることができます。そして、理論上「肖像権」に基づく差止請求は可能と考えられています。したがって、本件では「肖像権」侵害を根拠に、コラージュされた写真のWeb上での公開の禁止を求めることが可能です。
ただし、コラージュに利用された写真が写真共有システムにより公開されていたものであること、コラージュした者の表現の自由やコラージュした目的等に鑑みて、必ずしもあなたの公開禁止の請求が認められるとは限らないことに注意する必要があります。
次に「著作権・著作者人格権」に基づく対応を説明します。