2025年8月19日、JTB総合研究所は「生成AIの利用と旅行についての調査」結果を発表した。
日本国内居住の20歳以上男女1万705名を対象とした予備調査後の本調査は、過去1年以内に1回以上泊りがけの観光旅行を経験し、生成AIを週に数回以上利用する432名を対象としたWebアンケートと、生成AIを日常的に利用している29名へのインタビューをもとにまとめられている。
旅行の計画・現地情報収集での生成AI活用が進展
調査では、生成AIを週1回以上利用する人の77.8%が旅行に関連し生成AIを活用した経験を持つと回答した。女性20代では89.3%、男性30代では85.7%と、若年層でその比率が特に高かった。
利用目的としては、「旅行の行程作成・ルート提案」「交通手段の検索や予約」「旅行先のグルメ情報収集」などが上位となったほか、「観光スポットの解説」「混雑状況の予測」など、リアルタイムな情報提供への期待も見られた。

生成AI利用率は5割弱、若い世代が主導
1万705人を対象とした予備調査での生成AIの利用率は、全体で46.7%。特に女性20代(61.4%)、男性30代(57.0%)など若年層の利用率が高く、女性20代の30.0%は「毎日1回以上」利用していると答えた。

利用の主な動機は、「知りたいことが漠然としている時」や「仕事・学業の効率化」、また「自分にはできないことの代行」と多様であり、スキル補助や日常的な相談、レシピ提案、旅行計画まで幅広い。

AIの利用は7割以上が無料の範囲だが、全体の24.6%、特に女性20代と男性30代では3割を超えて有料プランを利用している層も確認された。

生成AIの役割と課題、信頼性向上が今後のカギ
生成AIに対し、ユーザーは「高度な情報検索ツール(32.2%)」をはじめ、「良き相談相手(15.0%)」や「信頼できる友人(10.4%)」など多様な立場として認識。20代ではペットや恋人、相棒のように捉えるケースもあった。

利用のメリットには「手間や時間の短縮」「判断支援」「新しい提案」を挙げる人が多かった。

一方、デメリットでは「情報が正確でない場合がある」が最多で、「費用」「依存」「自分の能力の低下」も挙げられた。

現地事情や最新情報への対応、情報の信頼性の担保が今後の課題とされた。これに対して観光事業者は、信頼性の高い情報の提供やトラブル時のサポート体制構築がより求められるとの指摘もあった。
調査概要
調査主体:JTB総合研究所
調査方法:インターネット調査
対象者:
予備調査:日本国内居住の20歳以上男女(1万705名)
本調査:過去1年以内に1回以上観光旅行し、週数回以上生成AIを利用している人(432名)
インタビュー調査:日常的に生成AIを利用している20〜69歳(29名)
調査期間:2025年7月16日~29日
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