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“行動ターゲティングメール”で
EメールマーケティングのROIを向上

事例②ANAプロモーションメール
“今現在”の興味・関心に基づいてメール配信

  顧客が受け取る情報の総量が飛躍的に増えた結果、Eメールマーケティングの効果を上げるには、価値を感じてもらえるメールとなるように、ちょうど良いタイミングで、購読者にマッチする情報を届けること=「メールの最適化」が重要となります。
  従来は、顧客の属性情報や購買履歴といった過去に取得したデータを活用していました。しかし、当たり前のことですが顧客の興味・関心は刻々と変化していきます。過去のデータを使う限り、実は的外れなメールになってしまう場合も多くあります。
  これに対して、行動ターゲティングメールは“直前にどんなページを見ていたか”という今現在の興味・関心を活用することができます (※表1参照)。このため、どのターゲットに何を訴求するかを、より高い精度で最適化することが可能になります。

表1:「今現在の興味・関心」を使う行動ターゲティング
  従来のターゲティング 行動ターゲティング
興味・関心情報 過去の興味・関心 今現在の興味・関心
・デモグラフィック
・サイコグラフィック
・コンタクト履歴
・購買履歴
・WEBアクセスデータ
・興味のある車種
・転職サイトへの登録
・応募時の属性情報
・資料請求
・商品購買
・ミニバン関連ページの閲覧
・店舗検索
・転職関連ページの閲覧
精度 低←―――――――――――――――――――――――→高

  ここで、弊社がEメールマーケティングのお手伝いをしているANA様のケースをご紹介します。

【ANAプロモーションメールの事例】

【実施概要】
「ANAマイレージクラブ」登録会員に対して、海外ツアー商品のセール情報を訴求するプロモーションメールを送信。
アクセス解析ツールで取得したWEB閲覧履歴により、下記2セグメントに同じメールを配信し、その反応を比較する。セグメンテーションは以下の通り。

セグメント① 直近に海外ツアー関連ページを閲覧した会員(行動ターゲティングメール)
セグメント② 過去海外ツアーの利用のある会員

過去海外ツアーを利用した会員(過去実績)に対して、直前に海外ツアー関連ページを閲覧した会員(今現在の興味・関心)は、クリック率で約2.5倍、コンバージョン率で約4.3倍と大きな効果を上げています。
このケースは、過去の実績と今現在の興味・関心によるターゲティング効果を比較したわかりやすい事例といえるでしょう。

この事例で検証した海外ツアーのような興味・関心の変化で購買対象が変化する商品では、過去の実績よりも、今現在の興味・関心に基づくターゲティングが効果的であることがわかります。

行動ターゲティングメールの“3つの活用パターン”

  ここで“行動ターゲティングメール”の3つの活用パターンを整理しておきたいと思います。

パターン①ターゲティングの最適化

  まずは、「訴求するコンテンツが決まっていて、そのコンテンツに最適なターゲットを見つける」というパターンがあります。
  今回ご紹介している、「MarkeZine」と「ANA」のプロモーションメールの事例がこのパターンにあたります。
  WEBサイトの閲覧履歴を分析することで、“そのコンテンツを誰に送ると効果的か”というターゲティングの最適化が可能です。応募・登録データや購買履歴などの過去の情報と違い、今現在のニーズを汲み取ることができるため、効率的なセグメント配信が可能になります。

パターン②メールコンテンツの最適化

  他方で、WEB閲覧履歴を基に「ある顧客に対して、メールで何を訴求するべきか」を知ることも可能です。ユーザーごとの閲覧状況=今現在の興味・関心がわかれば、「どの顧客に何を訴求すべきか」が分かるわけです。
  例えばあるECサイトで“期間限定の送料無料キャンペーン”が実施され、「◎◎◎◎も、今なら送料無料!」とメールで訴求したいケースがあったとします。
  この場合もWEB閲覧履歴を活用すれば「◎◎◎◎」という商品名の部分を、顧客ごとに興味がある商品に差し替えるという“訴求コンテンツの最適化”が可能になります。

パターン③新しいセグメントの発見

  最適化以外の活用法もあります。それが、新しいセグメント(見込客層)の発見です。
  WEB閲覧履歴を分析すると、登録情報など静的なデータだけでは発見することができない見込み度の高いユーザーを発見することができます。
  例えば「ショッピングカートに商品を追加したが決済に至っていない人」(カート放棄者)や、「資料請求をしようとしたが、途中で離脱した人」(資料請求離脱者)などが代表的な例です。
  これらのケース以外にも、購入者の閲覧履歴の傾向を分析し、購入の決め手となるページを特定するなど、従来は発見することができなかった新たな見込客層を発見する手がかりとして、行動ターゲティングを活用することができます。

  次回はパターン②の“メールコンテンツの最適化”について、具体的な事例を交えてご紹介します。

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この記事の著者

近藤 大介(コンドウ ダイスケ)

IT系の雑誌編集・ライターを経て2006年に株式会社ディレクタス入社。ディレクターとしてEメールマーケティングを軸にしたWebマーケティングの企画・コンサルティング業務に従事する。現在は同社で行動ターゲティングメールの企画を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/07/12 10:00 https://markezine.jp/article/detail/10756

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