MarkeZine(マーケジン)

記事種別

第1回 Webのしくみとアクセス解析との相性

2006/05/24 00:30

はじめまして。今回からアクセス解析に関する連載を行うことになりました。内容は「技術者の視点からアクセス解析を解説する」というものです。とはいっても技術者を対象とした解説を行うのではなく、Webサイトのオーナーや管理者を対象に、アクセス解析について技術的なトピックも含めながら解説を行う予定です。

 さて、読者のみなさんはすでにアクセス解析を自分のサイトに導入していたり、していなくてもアクセス解析とは何であるか、ということは知っている方も多いと思いますが、第1回ということで、まずはアクセス解析とは何かということについて、少しだけ解説をしたいと思います。

アクセス解析とは?

 アクセス解析を一言でいえば、Webサイトへのアクセスを記録してその結果を統計的に解析することです。Webサイトはひとたび開設すると、24時間、世界中からアクセスすることが可能になります。自分のサイトへのそうしたアクセスを記録して集計し、いつ、どんな人が、どのようにアクセスしてきたのかを調べるのがアクセス解析なのです。

 アクセス解析では、さまざまなことがわかります。まずはアクセスが行われた総数や、日にち、時間によるアクセス傾向などがわかります。さらには、アクセスしてきた人はどれくらいサイト内に滞在したのか、一度の訪問でどれくらいのページにアクセスしたのか、どんなキーワードで検索してそのサイトにたどり着いたのか、といったことまでわかるのです。そしてそれを応用することで、利用者がいったい何に興味を持っているのか、どこに掲載した広告が効果的だったのか、といったことを類推することが可能になります。

 当然、Webサイトを開設しているからには、たくさんの訪問者が来てくれたほうがありがたいわけです。アクセス解析により、Webサイトの管理者はWebサイトに訪問した利用者のさまざまな行動を知ることができます。そしてその行動は、Webサイトの欠点や長所を如実に反映しており、それを調べることで、Webサイトのアクセス数を伸ばすにはどうすればいいか、といったヒントを得ることもできるのです。

 そのためアクセス解析は、Webサイトの運営において、非常に重要な手法といえます。特に、オンラインショップをはじめとして、何らかのサービスをWeb上で公開している場合はWebサイトへのアクセス数やサービス利用数が収入に直結しているわけですから、アクセス解析を行って自分のサイトについてよく知り、それをサイトの運営や改善に活かすことは、もやは不可欠なことだといってもいいでしょう。

 しかし、アクセス解析はただWebサイトを解説すれば自動的に行われる、というわけではなく何らかのツールやサービスを利用する必要があります。そのようなツールやサービスは有料のもの、無料のものなどたくさん公開されています。特に2005年末には検索エンジンであるGoogleがGoogle Analyticsというかなり高機能なアクセス解析サービスを無料で提供したことは大きな話題にもなりました(図1)。

Google Analyticsは高機能なアクセス解析を無料で提供したことで注目を集めた
Google Analyticsは高機能なアクセス解析を無料で提供したことで注目を集めた

 さて本連載では「技術者の視点から」このアクセス解析について解説を行うことになっています。とはいっても、技術者向けに解説を行う、という意味ではありません。アクセス解析に興味があったり、すでにアクセス解析を利用しているという方を対象として、一歩踏み込んだ技術的な解説を行うことで、よりアクセス解析を有効に利用できるための解説を行う予定です。

 それでは、なぜ「技術者の視点から」なのでしょうか。それはアクセス解析という作業そのものが、Web関連の技術と深くかかわるものであり、技術的な側面を知ることで、アクセス解析の結果をより理解できるようになるからです。この連載を通じて、アクセス解析の面白さや便利さをより理解していただけることを願っています。

Webがアクセス解析に向かない理由

 さて、アクセス解析は、技術的な側面を知ることでより理解できると書きましたが、それはなぜでしょうか。その理由は、そもそもWebサイトのしくみが、現在一般的に行われているようなマーケティング目的のアクセス解析を行うことを前提としておらず、そうした解析を行うには本来向いていないシステムとなっているからです。

アクセス解析に関する連載なのに、のっけからこんなことを行ってしまうと驚かれるかもしれませんが、このことを念頭においておくことは、アクセス解析の結果をきちんと理解するためには非常に重要なことです。

 Webのしくみがアクセス解析には向いていないために、それでもなおアクセス解析を行う際にはさまざまな工夫が必要になってきてしまいます。アクセス解析のサービスやツールを利用している場合には、その作業は自動的に行われているので、どのような工夫がされているのかを知らなくても、レポートを受け取ることはできます。しかしそれを読み解く際に、どういうデータがどういう形で工夫されてこの結果になっているのか、ということを知っておくことで、得られたデータの持つ意味がよりわかるようになるのです。

 アクセス解析に技術的な知識が必要だという理由は、たとえば「IPアドレス(注1)リファラー(注2)といった技術的な用語が多く出てくることも理由のひとつですが、Webサイトにアクセスするしくみそのものにも大きな原因があります。その代表的なものとして上げられるのは、次の二つです。

  1. アクセス解析に利用している情報の中には必ずしも取得できるとは限らない情報が含まれている
  2. Webページへのアクセスは1回ごとに独立していて同じ人からの複数のアクセスを完全には識別できない

 これらの理由によって引き起こされる問題や、各種のアクセス解析ツールがどのようにその問題を解決しているのか、そしてこのような原因がどのようにアクセス解析結果に影響を及ぼすのかといった事柄について、今後の連載の中でも詳しく触れていく予定ですが、今回はまずそのイントロダクションとして、それぞれの事柄について簡単に見ていくことにします。

(注1) IPアドレス(Internet Protocol Address)
インターネットやイントラネットなどのIPネットワークに接続されたコンピュータ、通信機器1台1台に割り振られた識別番号
もどる
(注2) リファラー
Webページにあるリンクをクリックして別のページに移動したとき、そのリンク元のページのことを指す。Webサーバのアクセスログに記録される項目の一つ。
もどる

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

All contents copyright © 2006-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5