今回の訴訟は、厚生労働省が2009年2月に公布した薬事法施行規則の改正省令が、一般用医薬品のうち、第1類・第2類医薬品の販売は薬局または店舗内での対面販売が必要として郵便等販売を禁止する内容であったことを受けて、健康食品や医薬品などのECサイトを運営するケンコーコムとウェルネットが東京地方裁判所に提起したもの。
この裁判では、2012年4月に東京高等裁判所で原告側が勝訴したが、2012年5月に厚生労働省が上訴。2013年1月11日、最高裁によって上告が棄却され、高裁判決が確定したことを受け、両社は医薬品のインターネットでの販売を再開する。
今回の上告棄却判決について、ケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏は、「第一類・第二類の医薬品は、風邪薬、胃薬、妊娠検査薬など、ごく一般的な、自分で選んで買える薬。私たちはこの4年間……精神的にも経済的にも、大変苦しみました」と述べ、支援者に感謝するとともに、販売再開を喜ぶコメントを発表した。
今回の判決を受けて、ヤフーは「Yahoo!ショッピング」の医薬品販売ストアにおける第1類医薬品を含めた一般用医薬品の取扱い拡大に向けた準備を開始すると発表。楽天も、「楽天市場」の出店店舗が購入者の方の安全を確保したうえで第1類・第2類医薬品の通信販売を行うことができる環境を整えるとコメントしている。今回の判決を、ネットでの医薬品販売解禁と受け止め、さまざまな企業が参入意向を示しているようだが、田村憲久厚生労働相は、薬事法改正の提起を含め新たな規制を検討する意向を示しているとの報道もあり、今後も動向が注目される。
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