「UGCを使っているのに、もったいない」状態も少なくない
本連載ではこれまで、マーケティングの現場でUGCの重視性が高まっている理由や、UGCを広告に活用したときの効果や成功事例などを紹介してきました。しかしUGCの活用状況を見てみると、一部のオウンドメディアやLP上での利用にとどまっており、広告クリエイティブへの活用は極めて少ないのが現状です。
そのため、せっかくオーガニックのUGCで生活者の商品認知や興味関心が高まっても、生活者はその後に出会う同商品の“作り込まれた”広告クリエイティブにギャップを感じ、その先の購入へと移行しにくくなっているのではないでしょうか。ここに、現在のマーケティングの大きな課題があると感じています。
UGCの広告活用で得られるメリットとは?
もう一つの課題として、「カスタマージャーニーの分断によるマーケティング現場の非効率」があります。商品認知の向上を目的としたSNS上でのクチコミコンテンツの拡散施策(以下、クチコミ戦略)にマーケターが注力している一方で、広告クリエイティブの制作現場ではUGCとは程遠い「作り込まれた広告」を制作している企業が多いため、同一商品にもかかわらず、世界観の齟齬が発生しています。その結果、プロモーションの効果が最大限に発揮されていないのです。
本来、マーケターが取り組むクチコミ戦略の世界観と、広告のクリエイティブが表現する世界観は一貫しているべきです。しかし、SNS上で日々多くのUGCが生まれている一方で、オウンドメディアやペイドメディアのクリエイティブ制作の現場では、全く別の価値観で広告が作られてしまい、クチコミとマーケティング施策に差異が生まれていることも珍しくありません。
UGCを広告に取り入れることで、マーケターが取り組んでいるクチコミ戦略と広告クリエイティブの間に発生する世界観の分断を解消することができます。すると、プロモーション効果の最大化はもちろん、マーケターがクリエイティブ制作のディレクションに関わる時間と労力が削減でき、空いた時間で本来取り組むべきマーケティング施策により多くのリソースを避けるようになるのではないでしょうか。
つまり広告へのUGCの活用はマーケティング現場のコスト構造の変革につながる可能性を秘めているのです。
では、UGCを広告に活用する際にはどうしたら良いでしょうか? 次のページからは、5つのステップに分けて手順を解説するとともに、オイシックスの事例やツールをご紹介したいと思います。