SaaS(Software as a Service)」は、ソフトウェアをネットワーク経由で提供されるサービスとして利用するもの。CSAJが1月に実施した「中小企業におけるSaaSの利用意向等に関する調査」では、50,370人に対して予備調査を行い、SaaSやシステム導入についての知識や関心がある、従業員300人以下の中小企業の従業員および経営者、個人事業主であることを条件として1,187人を抽出した。
「使いやすさ」を最重要視
発表された資料では、財務会計、人事給与、生産管理、から電子メール・グループウェア、社内ブログなどの業務ごとにSaaSの利用意向をまとめている。SaaSへ「ぜひ乗り換えたい」あるいは「乗り換えを検討したい」と回答した人の割合は、どの業務でも2割前後。「興味はあるが、どちらとも言えない」は約4割、「乗り換える気はない」も2~3割存在する。乗換え意向が高い業務分野は、「営業支援・顧客管理」、「電子メール・グループウェア」、「社内ブログ・SNS」で、「人事給与」、「生産管理」、「物流管理」はやや低くなっている。
また、将来の予想として、2~3年後にSaaSを利用しているかどうかを業務別に尋ねたところ、「利用しているだろう」と答えたのは6~8%程度だが、「利用するかもしれない」という回答を合わせると50%前後に達している。
SaaSを選ぶ場合に重視する要素について「使いやすさ」を挙げた人は「非常に重要だ」と「重要だ」をあわせると合計95.1%で最も多く、「利用料金」「SaaSの機能」「データバックアップの仕組み」「安定的なサービスを保証する契約」「既存システムからのデータの移行が容易か」なども9割前後存在する。
「信頼できるベンダーならSaaSを利用したほうが安心」6割
SaaS利用のメリットとして最も評価されているのは「初期コストが安い」で57.4%。続いて「運用コストが削減できる」、「導入までの期間が短い」、「ネット接続PCとブラウザがあれば利用できる」などが挙がっている。また、デメリットについては、「情報漏えいが心配」(65.1%)、「ネットワーク障害があると使えなくなる」(62.1%)が多く、そのほか「サービスの継続性に不安がある」、「カスタマイズが大変」、「他のシステムとの連携が困難」が多くなっている。このようにセキュリティについて不安を感じる一方で、信頼できるSaaSベンダーであれば、自社でデータを持つよりSaaSを利用した方が情報セキュリティ面で安心だと考える人が6割を占める。
SaaSの利用料金について、支払い意思額を業務別にアカウントひとつあたりの年額で尋ねたところ、支払い意思額の「平均値」は、どの業務も5万円プラス・マイナス8000円の範囲に収まっており、最も高い支払意思額は「生産管理」の58,047円で、最も安い支払意思額は「社内ブログ・SNS」の42,461円となっている。
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・調査詳細「中小企業におけるSaaSの利用意向等に関する調査を実施」(PDF)