SNSの「内外」を考えてインパクトを強くする
誰もが知るような大企業の公式Twitterアカウントなどは、自社の情報発信を中心にした運営、つまり1対nの発想で「アカウント運用」を行っているケースが多く見られる。しかし、企業規模を問わずSNSのポテンシャルを最大限に引き出すマーケティングを仕掛けるなら、N対nの発想で施策を考える方がオススメだ。
1対nの発想にとらわれていると、N対n発想での施策展開によるリターンに気づけない。そうなると、本来得られたはずのリターンの過小評価につながりかねず「SNSマーケティングはROIが合わない」といった結論にも着地してしまう。
また、SNSマーケティングはSNS外からも仕掛けることもできる。以下の表を見てほしい。

1対nかつ「SNS内」の発想だと、考えられる施策の幅は狭くなってしまう。しかし、SNSの内外に目を向ければ、打てる手は格段に増えるし、施策のインパクトも大きくなる。
たとえば、自社商品をSNSにアップしてもらうなど、UGC創出を見据えて「SNS映え」しやすく商品をデザイン設計することは、N対nかつSNS内外の発想による施策だ。
オフラインのイベント企画を立ち上げ、UGCが出るキャスティングや限定プレゼントを用意する手も考えられる。話題性を狙った屋外広告の出稿や動画コンテンツの配信、媒体への露出といった方法もある。
商材やサービスの特性によっては「SNS内外」に目を向けた打ち手で成果を最大化できる可能性もある。1対nかつSNS内で完結してしまう施策にとらわれていると、得られたかもしれない成果の取りこぼしも発生するだろう。SNSを活用したマーケティングをこれから行っていきたい企業は、SNSの内外にも目を向けることをオススメしたい。
N対n発想で実現する「評判の増幅」
前回の記事でも書いたように、SNSの強みは潜在層へのリーチとアテンションが獲得できる点にある。さらに、クチコミが蓄積されたりシェアされたりするといった特性から「評判の増幅装置」として活用できるところも強みだ。Twitterユーザーのタイムラインに自社のUGCが数多く生まれ、拡散されれば、「評判」の「増幅」になる。不特定多数の人たちに自社を知ってもらう機会になり、商品やサービスの購入につながる可能性も高くなる。たとえば次のような購買行動は、実際にSNS上で生まれている。
ある商品やサービスについて、何人ものフォロワーがタイムラインで好意的なクチコミを投稿しているのを見て、「気になって」しまい、「思わず」検索し、買ってしまう。そして購入した商品のクチコミを、自分も投稿した。その投稿もまた、UGCとして誰かのタイムライン上で目に入る。
N対nの情報伝搬に則り、UGCをSNS上に増やして拡散を最大化するやり方は、購買やクチコミの循環すら引き起こす。これがアカウント運用に留まらないSNSマーケティングの成果である。
1対nのアカウント運用から、発想をN対nに切り替えるだけで視点は大きく広がり、打てる施策の幅も戦略も一変する。そのことを認識したうえで、自社においてSNSを使ってどのようなマーケティングができるのか考えていただければ幸いだ。