Facebook Japanは6月24日、オンラインでの事業戦略説明会を実施。本稿では、マーケティング領域に特に関連が深い内容について要約する。
説明会には、今年1月に代表取締役に就任した味澤 将宏氏が登壇。「入社以降、新型コロナウイルスに関わる対応に多くの時間を割いてきました。プラットフォームとしての責任を強く感じた半年間でした」と述べ、はじめにFacebook社全体の対応について説明した。
コロナ禍における注力課題3領域
同社のグローバルにおける対応は以下に大別される。
(1)人々のつながりを保つための取り組み
(2)正確な情報提供と、誤情報や有害なコンテンツを制限するための取り組み
(3)特に中小ビジネスを対象とした、経済的再建を支援する取り組み
(1)に関連して、Facebook社の各種アプリの利用者数は全世界で30億人を突破。リモート環境下では、動画の機能が頻繁に使用され、全世界におけるInstagramライブ機能の利用者数は50%増加した(3月18〜24日の利用者数を前週と比較)。これを受け、同社はInstagramライブの機能強化を行ったほか、50人の通話を可能にする「Messenger Rooms」をローンチ。日本でも提供を開始している。
また(3)に関しては、グローバルで総額1億ドルの支援を決めたほか、ビジネス機能を活用するためのトレーニングキットを提供した。
Instagramのビジネス機能がさらに拡充
続いて味澤氏は、ニューノーマル時代におけるFacebook Japanの事業戦略を発表した。「コミュニティをサポートする、それによって人のつながりを作り、ビジネスを成長させる。ニューノーマル時代は安心安全を最優先に、我々のテクノロジーを活用してもらいたい」と語り、最近の取り組みを紹介した。
事業のオンライン化を進める中小ビジネスへの支援
カスタマイズ可能なオンラインショップを無料で作成できる「Facebookショップ」を提供。これにより、自社のECサイトを持たない企業も、顧客との接点を創出することが可能に。利用できるクリエイティブの幅も広がっている。
Instagramにおいては以下2つの機能を提供。いずれも国内のパートナー企業と連携を行っている。
「料理を注文」機能
コロナ禍によって、デリバリー・テイクアウトに軸足を置く企業が増加している。こうした企業に対する売上支援として、4月にリリースされた。
ギフトカード機能
来店が難しい状況下で、飲食店や各種店舗が活用できる機能。優待券などの形態で、顧客に来店に先駆けて“支払い”してもらうことが可能。国内には5月に導入、3社のパートナーとサービス提供を行ってきた。
説明会では両機能のパートナーであるテーブルチェック代表の谷口 優氏が登壇。「飲食店はコロナ禍以前より、グルメサイトからの脱却を課題としていた」と述べ、飲食店の情報発信、拡散、リーチに協力したいという思いから、提携に至ったと説明した。機能の活用で売上を伸ばした企業の取り組みを紹介した上で、「テイクアウトの強化とSNSの活用は新規顧客を呼びこむ新たな広告手法となり、競争優位性をもたらすでしょう」と呼び掛けた。
さらに味澤氏は2つの機能について、新たにパートナー企業12社を発表。「コロナ禍以前の状況に戻るには時間がかかります。今回発表したパートナーとともに、中小ビジネスの支援をしていきます」とコメントした。
採用&働き方の支援も
そのほか同社は、Facebookにおいて企業の採用活動を支援する「求人情報 on Facebook」を強化。engageやHR Hackerといったツールと連携を行う。さらに、先進的な働き方を実現するためのテクノロジーの基盤として、VRを活用したトレーニングや社内でのコラボレーションを可能にする「Oculus for Business」の一般提供を開始。Oculusの重点市場には日本も含まれており、今年、来年にかけて積極的な投資が行われるという。
最後に味澤氏は「新しい生活様式が始まり、経済再生が重要な課題になっています。安心安全を最優先に、日本の社会・経済に貢献していきます」と意気込みを語り、説明会を締めくくった。