運用型の変換でつまずくポイントとは?
MZ:今回はエバンジェリストを務める秋村さんに、同広告のパフォーマンスを最大限に高める方法についてお伺いします。
YDNから運用型へのシフトを進める中で、どのような課題を抱える企業があるのでしょうか。
秋村:現在運用型に関して寄せられているご相談は、YDNから運用型への変換前と変換後で大きく異なっています。
変換前に寄せられるご相談として多いのは「今までの学習(YDNの配信実績)を生かせず、思ったようなパフォーマンスが出せないのでは?」という懸念です。確かに、既存のYDNキャンペーンを変換せずに新たにキャンペーンを作って運用型に変換した場合、今までの配信実績を引き継げないため、パフォーマンスの悪化を招く可能性があります。
しかし、運用型への変換の際にYDNキャンペーンの配信実績をそのまま引き継げるようになっていますので、安心して既存のYDNキャンペーンを変換してください。元々運用がうまくいっているならば特に、既存のYDNキャンペーンの実績を引き継ぐ形で変換することで高いパフォーマンスを出すことが可能です。
MZ:変換後の課題はいかがでしょうか。
秋村:変換後に関しては、「どのような運用方法が正解なのかわからない」という悩みを抱えた広告主様や、配信ロジックが変化したことで、運用課題の特定と対策に時間がかかる広告主様もいらっしゃると考えています。
まずは最適化提案に沿った変換、チューニングを
MZ:今回の記事では、それらの課題に対してどのような対策が必要なのかを明らかにしたいのですが、ヤフー側では現在課題に対してどのようなフォローを行っているのでしょうか。
秋村:はい。主に3つの対策をお伝えしています。
1.最適化提案機能の提案
2.自動入札機能の提案
3.Webセミナーの定期的な開催
1つ目の「最適化提案機能」は、各アカウントの運用状況を定量的に可視化して、改善ポイントを自動で管理画面上に表示する機能です。
MZ:具体的には、どのような提案が行われるのでしょうか。
秋村:現在は5つの項目に関する提案を行っています。
秋村:たとえば5つ目の項目では、YDNから運用型への変換が必要なキャンペーンを表示して変換をご提案しています。お客様自身で変換を行っていただくことも可能ですし、手間をかけない一括変換が可能な機能も提供しています。
また変換後についても効率的な運用ができるように、予算上限に達したキャンペーンのアラートを出す、「自動入札(コンバージョン単価の目標値)」導入を推奨するなど、広告主様それぞれのアカウントでより良い成果が出るフォローを自動で行っています。
広告主様もこれらの提案に対し1クリックで変更することができるので、サポート窓口に問い合わせて改善を進めるこれまでのやり方に比べ、スムーズに効果改善ができると考えています。
MZ:最適化提案機能の提案によって、実際に改善も見られているのでしょうか。
秋村:はい。たとえば1日の予算上限に達したキャンペーンのアラート表示を受け、予算変更のアクションを起こしたアカウントは56%と、約半数近くの広告主様が最適化提案機能によって予算の見直しを行ったことがわかっています。
また、「インプレッション(以下、imp)シェア損失率が大きい」ことを知らせる最適化提案機能の表示を受け、imp損失率が6%近く改善した結果が出ています。これまではずっと横ばいだった指標が急激に改善しているのを考えると、最適化提案機能の効果は非常に高いと考えています。
MZ:広告主にとってはどんな効果があったと言えるでしょうか。
秋村:最適化提案機能で日額予算を見直していただいたことで、これまで機会損失していたインプレッションを拡大することができ、配信効率を維持しながら広告主様の商材をより多くのインターネットユーザーに届ける状態を実現できたと言えます。
YDNから運用型へ変換したら活用しておくべき、自動入札
MZ:では、2つ目の自動入札についても教えてください。
秋村:自動入札はYDNでも提供されていた機能ですが、今回のリニューアルでアルゴリズムが刷新され大きくパワーアップしました。ぜひ多くの広告主様に使っていただきたい機能になります。
YDNでは手動入札がメインでしたが、運用型にリニューアルして以降目的別に沿った自動最適化が実現しました。これにより、自動入札に切り替えるアカウントがとても増えています。入札を自動化することでパフォーマンスの最大化も効率的に実現できていることを、広告主様にも実感いただいているのではないかと感じています。
MZ:導入率が増えているとのことですが、まだ導入していない広告主からすると「自動入札にすることで以前よりパフォーマンスが落ちたらどうしよう……」という不安があるのだと思います。そこに対する対策などはあるのでしょうか。
秋村:きちんとアルゴリズムが学習して、キャンペーンの目的の最大化に繋がる配信をしているのか不安に感じている方に向けて、我々は「学習状況」のステータス表示機能をリリースしました。このステータスを見ていただくことで、現在「学習中」なのか「学習完了」しているのかが一目でわかるようになっています。パフォーマンスに不安を感じる方はこのステータスをもとに判断いただければと思います。
MZ:ちなみに、自動入札にする際の注意点などはありますか。
秋村:同じKPIなのにキャンペーンが別に作られていると学習効率が落ちます。そのため、変換前にアカウントの見直しをすることが重要です。キャンペーン構造をKPI 別にシンプルにまとめてください。そして学習効果を高めるためには、広告グループ単位で過去30日以内のコンバージョンが40件以上発生している十分に実績を溜めたキャンペーンに導入いただくことが、アルゴリズムの最適化を早めるために重要です。
また、自動入札は目標のコンバージョン単価(tCPA)を維持しながら、できるだけ多くのコンバージョンが獲得できるように配信を行うので、より改善が必要な場合はtCPAの微調整を行っていただくと良いかと思います。
満足度90%超のウェビナーを定期的に開催
MZ:3つ目のWebセミナーの開催についても教えてください。
秋村:Webセミナーでは、ヤフーの営業担当からご案内した代理店の運用担当者、広告主様を対象に、週2回程度、運用型に限らず全プロダクトの新機能や推奨する運用手法を、ヤフーのプロダクトエバンジェリストが講師となってご紹介しています。
毎回100名前後の方に参加いただいており、2,000名規模の方が参加されたテーマもあります。参加者の方のアンケートからは90%以上の方がWebセミナーの内容に満足されている状況がうかがえます。
これまで直接情報をお届けできなかった広告主様に対しても、新機能の紹介や推奨運用方法などを紹介できる手法のため、今後も継続して実施していきたいと考えています。
アカウントの最適化スコアがわかるように
MZ:最後に今後の展望について教えてください。
秋村:まず、最適化提案の機能改修は今後も引き続き行っていく予定です。現在は5つの提案ですが、今後はさらに提案項目を増やしていき、広告管理ツール上でアカウントの改善点がすぐわかる状況を作っていきたいと思っています。
さらに、今後は最適化スコア表示の提供も検討しています。こちらは、各アカウントの運用状況をスコア化することで、どこを改善するとより高い成果が得られるのかわかるようにする機能です。同機能の提供によって、何を改善すべきか見える化できると考えています。
MZ:今後自動入札が進むと広告運用者の役割も変わってくると思うのですが、いかがでしょうか。
秋村:自動入札の導入により、入札にかける工数が減ることが考えられ、将来的にはよりクリエイティブ、訴求内容、コミュニケーションプランの設計などに時間をかけることができるかもしれません。サイト訪問あり・なし、年齢・性別など、ターゲットごとにより緻密なプラン立てに工数を当てていただければと思いますし、我々も代理店担当などと協力してその提案をしていきたいです。
MZ:新たなプラットフォームへの変換と聞くと、大掛かりで大変そうなイメージがあったのですが、秋村さんのお話で運用型のメリット、変換前・変換後にすべきことがよくわかりました。Yahoo!広告はMarkeZine読者の多くが活用しているかと思いますので、ぜひこちらの記事を参考に運用型への変換、広告運用を進めてみてはいかがでしょうか。
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