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今メタバースはどうなっている? その可能性と次世代技術への向き合いかたをクリエイターが語る

 「メタバース」について、数年前のような投機的なバブルは落ち着きつつある一方、Metaが10月10日に「Meta Quest 3」を発売したり、Appleも2024年に「Apple Vision Pro」の発売を控えていたりとXR関連のデバイス市場ではいまだに強いキーワードだ。同時に新しい風も吹きつつある昨今、クリエイターは今のメタバース市場のビジネスチャンスをどのように捉えていけば良いだろうか。今回は、XR・メタバース領域の技術を用い、さまざまなコンテンツ企画制作を手がけるCHAOSRUの代表 内藤薫さんにインタビューを実施。ここから、次世代技術に対してクリエイターがどのような姿勢を取っていくべきか、ヒントを探っていきたい。

テクノロジー領域の体験を充実させる「デザイン」や「クリエイティブ」

――まずはご経歴とCHAOSRUの事業概要から教えてください。

もともと大学時代に情報デザインを専攻しており、そのころからAR技術に触れていました。卒業後は一般企業でデジタルアーカイブやVR関連の事業部に所属し、仏像や遺跡といった文化遺産のデジタル化とコンテンツ活用に関わる企画制作に従事。その際に得たリアルタイムCGの知見をもとに、フリーランスの期間を経て昨年法人化したのが「CHAOSRU」です。

会社としてカバーしている領域は、メタバース、VR、AR、デジタルツイン、ゲームなどで、最近では生成AIも含みます。広く”バーチャルカルチャー”全般と捉えるとわかりやすいかもしれません。

株式会社CHAOSRU 代表取締役 内藤 薫さん
株式会社CHAOSRU 代表取締役 内藤 薫さん

XRに限らずデジタル関連のテクノロジーと言うと、どうしてもエンジニアやマーケターによる視点が先行しがちですが、それだけではユーザ体験として物足りなくなるケースが多いと常々感じてきました。

とくにバーチャル領域では、技術とクリエイティブのバランスが取れた視点を持つ企業はまだ多くはありません。最新技術の基盤をしっかり備えながら、「おもしろい体験だから人が来るはず」「ユーザーの属性をふまえたデザイン設計」といった、クリエイティブやデザインの視点を提供することがCHAOSRUのユニークなポイントです。

具体的には、企業のR&Dや新規事業・デジタル施策導入のサポートのほか、理想的なアーキテクチャを提案する自社プロダクトの企画開発も行っています。

大きなブームがひと段落した今見えている、メタバースの可能性

――数年前に起こったメタバースのムーブメントが落ち着いた印象もある今、XRをふくむこのメ領域をどのようにとらえていますか?

まず、一般企業のビジネスとユーザーの視点は、分けて考えるとわかりやすいでしょう。短期的な収益に重きを置くことが多い一般企業にとって、たくさんの課題が見えてきているのは事実だと思います。流行に乗じ、勢いでつくった企画や販促用途での活用は減速し、より実務に活きる、しっかりとしたビジョンと計画が求められているのではないでしょうか。

一方で、勢いあるプラットフォームがユーザー数を大きく伸ばしている事実は見逃せません。RobloxやFORTNITEといったゲーム系のプラットフォームをはじめ、SNS色の強いZEPETOやVRchatなどでも強固なコミュニティが定着しつつあるように見えます。また、VTuberのようなアバター文化が日に日に勢いを増していることは明らかです。

このほか日本製の「Cluster」などさまざまなプラットフォームがそれぞれのコミュニティを抱えており、勢力図が変わっていく可能性もあるでしょう。

とくに大きな成功をおさめているRobloxは、多くの情報を開示しています。デイリーアクティブユーザーは6,610万人。アイテム販売など、すでに億単位で稼ぐトップクリエイターも現れており、上位500人のクリエイターでもその全員が少なくとも年間14万ドル(≒2,096万円強)以上を稼いだことが明かされています。(参考記事:Roblox Reports First Quarter 2023 Financial Results

出典:Roblox
出典:Roblox

メタバースの歴史の中では失敗例として扱われがちな「Second Life」でも、いまだにコミュニティは健在です。2000年代初頭にリリースして一時期話題になって以降、世間でその名を聞くことがほとんどなりました。しかしある記事によれば、2023年においても、デイリーアクティブユーザーは20万人ほどとされており、ひとたび熱烈なファンが集まれば、コミュニティは長期にわたって継続しやすいことが伺えます。

プラットフォームのトレンドは時代とともに変わっていくかもしれませんが、バーチャル経済圏におけるフレームワークやカルチャー自体は、全体として広がっていくことが予測されます。必ずしもFacebookやYouTubeのような巨大なインパクトではないとしても、ひとつの経済圏として成り立つ規模があれば、メタバースが一定の役割を果たすことはあるのではないでしょうか。

メタバースにおいて、ワールドや建築、ファッション、アバターといったコンテンツの拡大を担うのは、大規模な企業プロダクションよりも個人のクリエイターコミュニティの力によるものが大きいと言えそうです。バーチャルクリエイターとしてコンテンツを販売したり、企業のPR案件を担当したりしながら収益化するといった未来は、すでに現実になりつつあると思います。

また、製造業などにおける実用的な3D/VRの活用は、継続的なニーズがあると考えられます。バーチャルコミュニティの文脈からは少し離れ、「XR/3Dインターフェイス」という観点の需要も、次世代デザイナーとしてウォッチしておいて良いかもしれません。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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2023/11/06 08:15 https://markezine.jp/article/detail/44010

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