植物を原料にしたバイオエタノール入りのガソリン「バイオガソリン」の試験販売が4月27日から首都圏で始まった。バイオガソリンなどのバイオ燃料は二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を抑え、環境にやさしいといわれている。
販売の目的は、日本が京都議定書(国際条約)で世界に対して公約した温室効果ガスの削減目標を達成するためだ。日本政府は、国全体の温室効果ガス排出量削減策のひとつとして、輸送用燃料からの二酸化炭素排出量の削減を掲げており、自動車の燃費を向上させることに加えて、自動車用の燃料にバイオ燃料を導入を決定。具体的な目標数値として、2010年には原油換算50万klのバイオ燃料を輸送用燃料に導入することとし、このうち21万kl相当分のバイオ燃料導入を石油業界に対して要請している。
バイオガソリンは、トウモロコシやサトウキビなど等の植物から生産されるバイオエタノールに、石油ガスを混合した「ETBE」と呼ばれる液体燃料をガソリンに混ぜたレギュラーガソリンだ。植物生まれのバイオエタノールとバイオETBEを配合することで、大気中の二酸化炭素量の増加を抑えることができる。試験販売するスタンドは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の50箇所の給油所だが、08年度には100カ所、09年度には1000カ所へと順次拡大し、最終的には4万8,000店ある全国のガソリンスタンド全店で販売する予定だ。
我々消費者にとって気になるのがバイオガソリンの「価格」と「性能」だ。現時点では価格はレギュラーガソリンと同価格に設定されており、性能もガソリンと同等だという。だが実際のバイオガソリンの製造コストはガソリンを上回り、その差額は国や石油会社で負担する。性能が変わらず、経済的な負担が増えるというのではいくら環境に良くても導入するメリットに疑問が残る。プリウスに代表されるハイブリッドカーが普及したのは、環境にやさしいということに加えて、ガソリン代の節約になるというメリットがあったからだ。
またこのバイオガソリン、そもそも「それほど温暖化ガスが減少しないのでは」と指摘する声もある。バイオエタノールはトウモロコシやサトウキビなどの植物から生産されるが、これらの植物を生産する際には当然、農業機械が使われ、この農業機械が燃料を利用するからだ。生産から輸送、使用までの過程を考えるとガソリンを利用している現在と比べてそれほど温暖化ガスを減少させることができないという意見があるのだ。
政府、石油会社、石油連盟の足並みも揃っていないのが現状だ。全国のガソリンスタンド全店で販売する予定というが、それまでには思わぬ長い時間がかかってしまう可能性もある。
参照記事:2007/04/27-00:14 バイオガソリン、27日発売(時事通信)
バイオガソリンについて(石油連盟ホームページ)