アクセス解析だけでは分からない
Google Analyticsをはじめ、ほとんどのアクセス解析ツールはかなりの精度で数値をフィードバックしてくれるようになりました。簡単な操作でページ遷移の状況や特定のユーザーの行動を追うことも充分可能となり、今後はSNSといった新しいチャネルやスマートフォンなど新デバイス経由の解析も進むことで、Web経由のアクセス解析はより精緻になっていくでしょう。
実際のプロジェクトでも通常のページの解析は当然として、キャンペーンページを作成する際に、どのイベント(マウスやキーボードなどのアクション)を仕込むのかを検討することも多くなりました。
最近では、ページが全て読み込まれてからイベントを発生させるといった設定も可能なので、通信速度が与える影響なども数値化できます。もはやWeb上の行動であれば取得できないデータは、ほとんどないという状況となっているのです。
それでは、アクセス解析ツールで取得できるデータだけで、ユーザーの全てを分析できるのでしょうか。その答えはNOです。
解析から導きだした仮説は正しいのか
アクセス解析のデータを見ていると、当然ながら問題点を発見することがあります。例えば、重要なコンテンツにも関わらず想定以上に閲覧されていないなどです。その際の改善策は、コンテンツへの導線がボタンであるならば、ボタン文言の変更などが考えられます。ボタンの文言の変更を行うことで、数字上では改善されるケースがあるかもしれません。しかし、あくまでも仮説がたまたま結びついただけです。考え方を分解すると、次のような流れとなります。
- 現象…コンテンツが見られてない
- 原因(仮説)…ボタンの文言が分かりづらい
- 対策…ボタンの文言を変更
この場合、「ボタンの文言が分かりづらい」が想定以上に閲覧されていないことの原因でなかったら、施策を実施しても成果は出ません。そのため、現象にあたる「コンテンツが見られていない」原因がなんなのか、何故その数字になるのか、ということはいくらアクセス解析上の数字を見ても分からないケースも多くあります。
また、経験やヒューリスティックなどの検証によって、仮説は立つかもしれないですが実際は必ず成果が出るという訳ではありません。「コンテンツが見られていない」という現象に対する意味を、数字だけを見て判断するのは非常に難しいことが多いのです。
マーケティングには様々な調査手法がある
アクセス解析の結果だけでは分からないこと、それはユーザーの感性や印象の部分です。解析で得られる定量的なデータは何人のユーザーが離脱したのかは教えてくれるますが、なぜ離脱したかは教えてくれません。
そんな時は定性データ、つまりユーザーの感性データを収集することが有効です。主観的になりがちなプロジェクトメンバーでなく、ユーザーやターゲット層の客観的な意見を集合させることで非常に有益な情報となります。
定性調査は、ユーザーテストでのインタビュー、またはフィードバックツール、ソーシャルの声を集めるツール、弊社の運営するクリエイティブサーベイなどがあります。定性意見を抽出するとユーザーが持つ「印象」「ニーズ」「インサイト」がより深く見えてきます。数を集めることが重要で、その傾向を測ることもできます。
ユーザーが来訪した瞬間に「何か違った」と思って、重要なコンテンツが重要でなくなっているかもしれません。隣のコンテンツがよく見えていて、埋もれてしまっているかもしれません。
本当はこちらが望んでいるニーズがそもそもないのかもしれないし、想定しているユーザーが集客できていないかもしれない。といった、さまざまな可能性が潜んでいます。このように、定性調査によってアクセス解析だけで見えない部分を相互的に補って行くことが可能となるのです。