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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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エディターズ・チョイス(AD)

「アドテクノロジー」「顧客中心」「ペルソナ・アプローチ」さらには「3D広告」…激変するマーケティングトレンドのキャッチに最適な無料動画5選

 今やスマートフォンの普及率は全世界で約30%、20億人がオンライン上でつながり、Facebookユーザーは11億人を超える。この状況は商品購入のプロセスにも変化をもたらしている。人々が信頼する情報源は企業から与えられるものではなく、友人や口コミがメイン。店舗に出向いて店員と話すことなく欲しいものを手に入れることが当たり前の時代となった。口コミ等で情報武装した顧客に対し、企業側はどのように対応すればいいのだろうか。本記事では、現在進行形で進むマーケティングのパラダイムシフトをキャッチするのに役立つ無料動画を紹介しよう。

激変するマーケティング環境をキャッチ

 スマートフォン・タブレットの急速な普及、ネットの浸透、ソーシャルメディアの台頭による生活者の行動多様化、マーケティング領域へのデータ活用推進……企業を取り巻くマーケティング環境は劇的に変化している。

 それと同時進行で顧客行動にも大きな変化が起きている。いまや多くのユーザーは、企業の一方的な宣伝情報だけでなく、ソーシャルメディアや価格比較サイトなどの口コミ情報を重視し、さまざまなチャネルやデバイスを経由してアクセスをしてくる。このような顧客行動の変化に対し企業は対応を迫られており、その手段の1つとしてマーケティング領域でのテクノロジー活用が求められている状況だ。

 では、そのような新しい企業戦略へ転換するためには具体的に何からはじめ、どのような壁を乗り越え、何を実現しなければならないのか。IBMが運営するIBMオンライン・ユニバーシティーでは、「アドテクノロジー」「顧客中心」「ペルソナ・アプローチ」といった新たな戦略を実現するためのヒントになるような動画や、さらには3D広告などのデジタル広告の未来像が、株式会社マイクロアドの渡辺健太郎氏らによって解説されている。本記事ではその中の動画から特にオススメの動画を編集部がチョイス。見どころをダイジェストで紹介していく。

「共有」「ターゲティング」「3D」……商品購入のプロセスを近未来形へ近づけるマーケティングテクノロジー

 まず、オススメしたいのが「TOP企業に聞く!デジタルを活用したマーケティング最前線」だ。この動画ではデジタル広告分野の中で、特に注目の領域であるアドテクノロジーのトレンドや3D広告などのデジタル広告の未来像も提示されている。

 動画はまず環境変化の状況把握からはじまる。商品選択において、企業が提供する情報に対する信用度は2割程度にまで下がっているとも言われ、他社製品との比較や使用感など、気になる商品に関する情報は、友人や口コミサイト経由で集めるという人が主流となっている。

 オフィス、自宅、出張中など、「いつでも、どこでも、欲しいときに欲しい情報を最適な方法で手に入れたい」一方で、個々人によって手に入れたいタイミングや必要とする情報は大きく異なる。これらの要求を満たすには、一人ひとりの客を「個客」として捉え、それぞれのニーズに合わせた適切なコミュニケーションが必要だ。

 コミュニケーションの1つとして重要視されるのがWebメディア、SNSなどデジタルを活用したマーケティングである。インターネット広告費はテレビに次ぐ2位で、成長率107%、6,629億円の市場が広がっている。中でもバナー広告を代表とするディスプレイ広告はここ数年で大きな進化を遂げた。一般的だった、広告主が広告枠を一定期間購入するスタイルから、Webサイトに訪問してくる顧客に合わせて適切な広告を0.1秒以内で入札、配信する「運用型広告」と呼ばれるスタイルへと変化し、「個客」のニーズに合わせた広告配信が可能となっている。

ディスプレイ広告の説明パートから、業界最大手であるマイクロアドの渡辺健太郎氏を交えて解説が進む
ディスプレイ広告の説明パートから、業界最大手であるマイクロアドの渡辺健太郎氏を交えて解説が進む

 「運用型広告」手法を使えば、広告主がそれぞれのターゲットに応じて広告の予算配分を行い、最適な運用を手動あるいは自動でやりながら、より広告効果を高める配信ができる。そして、このような手法の浸透から広告枠の販売方法についても変化が起きている。具体的には、昔ながらの「枠売り」ではなく自社のターゲットにあった広告枠だけを購入することができる「バラ売り」の世界が広まっているという。

 動画内で渡辺氏はこの変化について、「『枠売り』の世界を牛肉で例えるならこれまでは牛を一頭まるごと購入していたようなものです。本当はいらない部位もあるのに購入せざるを得なかった。これに対して『バラ売り』の世界は、必要な部位を必要なだけ購入することができるようになると言えます」と表現し、これからの広告枠販売の潮流について端的に示している。

 1つの広告枠にはいろいろなユーザーが訪れるが、販売する商品に関心がある人だけに広告を配信すれば購入確率が上がるのは自明の理だ。仮にサッカーの観戦ペアチケットを販売する場合、「サッカー少年の父」にターゲットを絞ることができれば広告効果は高い。

 配信ターゲットを絞るためには、Web上で「サッカーのサイトを見ている」、加えて「育児のサイトを見ている」など、インターネットユーザーがどういうサイトを見ているか、どういう広告に反応したかなど膨大なデータを解析することが必要になる。テクノロジーの進化によってユーザーニーズの推測はここまでできるようになっている。

 運用型広告を使った最適な広告配信は、それだけにとどまらない。夏場の気温が高い時だけ、アイスクリームの広告を出す、あるいは、サッカー日本代表のチームが勝った瞬間にビール会社の広告が出るなど、リアルタイムな状況に合わせた配信も可能だ。

 さらに近未来――スマホを使いFacebookなどで情報収集。改札機でスマホをタッチすると、スマホの情報から推測される顧客が必要としている広告だけが、駅ホームの電子看板、デジタルサイネージに現れる世界がやってくるかもしれない。妻の誕生日前には、夫宛に妻のお気に入りブランドの商品情報が届けられることもあるだろう。デジタルサイネージのその先は、「3D広告」だ。分譲マンションで、街並みや間取りを立体的に見る、あるいは、ハンドバッグにどのくらいのものが入るか、商品を立体的に360度見られるようにすることで、より詳細な情報を伝えることができるようになる。動画後半で紹介されているデジタル広告の近未来像は、広告・マーケティング関係者ならわくわくできる内容なので、ぜひ視聴いただきたい。

動画はこちらから(閲覧には情報登録が必要です)

「ペルソナ・アプローチ」で、顧客を起点としたマーケティングのゴールを具体化する

 次に紹介したいのが、「ビジネスゴールを達成する! ユーザー体験シナリオ実践 ~小売編」、「ビジネスゴールを達成する! ユーザー体験シナリオ実践 ~保険編」の2本だ(リンク)。最新潮流を知り、プラットフォームを導入したとしても、ゴールを達成するために何が必要か、ターゲットは誰か、そのターゲットに対して最適なアプローチはどういうアプローチなのか、といった一連のシナリオを描くのはマーケター自身。

 両動画では、ユーザー体験シナリオを描くためのステップを、ステップ1:企業の目標を明確にする、ステップ2:仮想ターゲット顧客を設定する、ステップ3:ペルソナのシナリオを策定する、ステップ4:企業戦略目標の共有化と事業間連携を抽出する、という4つのステップで紹介。小売業、保険業という2業種を例に挙げて解説している。もちろん、業界が異なる人にとっても、ユーザー体験シナリオの作成をイメージできる内容なので参考になるはずだ。なお、IBMでは、ユーザー体験シナリオ作成を支援するソリューションも提供しており、4~6週間程度で実施できる内容となっている。

 ここから、「ビジネスゴールを達成する! ユーザー体験シナリオ実践 ~小売編」の動画を例に、どのようにユーザー体験シナリオを作り上げていくのか、一部紹介していこう。動画内では外資系化粧品会社を例に挙げ、「日本市場での売り上げ拡大を狙い、男性化粧品市場の拡大と売上高第一位に目標を設定する」といった具合に、まず目標を明確化している。

 次に、仮想ターゲットとなる顧客を具体的に想定する。仮想の顧客はペルソナと呼び、ペルソナが誰なのか、年齢、職業、趣味、嗜好、家族構成、購買履歴など、関係する部署すべての人が答えられるようなレベルで設定する。前出の外資系化粧品会社の例でいえば「35歳の男性で、IT系企業に勤続13年、勤務地は渋谷、趣味はスポーツ観戦、二子玉川にマンションを購入。5年前に結婚した妻35歳は専業主婦で、3歳の娘の子育てを楽しんでいる」などと家族の背景や行動までも詳細に盛り込む。

 さらに、ペルソナが体験するシナリオを具体的に策定。ユーザーであるペルソナがどこで商品に出会い、商品に触れてどのように使用しているか、どのような体験を通して何を感じ、どんな行動するのかを描く。化粧品会社を例にすると、今まで化粧品を使ったことがない男性がいきなり商品を手に取ることはないため、情報収集の中心は妻という設定になるだろう。「幼稚園のママ友との会話の中で妻が先に商品に出会う。スマートフォンに化粧品会社のアプリをダウンロードするが、ダウンロードしたことを忘れてしまっている。しかしその後、渋谷でのショッピング中に商品キャンペーンの情報を受けとったことをきっかけに、父の日のプレゼントとして購入。男性ははじめて商品を体験する……」と描いていく。

 最後に企業戦略目標を共有化し、事業間の連携を強化する。ペルソナの一連の行動から、彼らが価値を感じることを想定し、その実現方法を企業または事業全体で考える。自分たちの事業のどのインターフェースで、ペルソナにどういう価値を与えることができるのかを共有。そのシナリオを実現するために必要な能力や実現指標、顧客との接点やITがすでにあるのか、ない場合は誰が何を持つ必要があるのかを確認するという流れになる。これら4つのステップを実現すれば、顧客を起点としたマーケティングのゴールを達成するためのロードマップが見えてくるはずだ。

「顧客の期待に応えるマーケティング」を実現するプラットフォームで、投資リターンを最大化する

 最後にオススメしたい動画が「ビジネスに効く!マーケティングを支えるテクノロジー・プラットフォーム実践」「個客マーケティングの導入効果とは?『優良顧客候補を増やす』ためのマーケティングマネジメント最適化実践」の2本だ(リンク)。

 大量データの処理速度や分析技術など、日進月歩で進化するIT技術を駆使したマーケティングを実現するには、「人的リソースの確保」「運用体制の確立」「スキルや知見の不足」など数多くのハードルが待ち受けている。中でも最大の課題は、「投資に見合った効果を得られるかどうか」にある。そもそも期待効果を示すことが出来なければ、必要な初期投資予算も確保できないからだ。

 ただ、モバイル端末が普及し、口コミなどで情報武装した顧客から最大限、マーケティングの効果を引き出すには、これまでとは違うアプローチが必要になる。従来は、年齢、性別、住所など顧客のセグメンテーションで考えると、20%の顧客が、80%の売り上げを上げている、という80対20の法則が成り立っていた。そのため企業は20%の顧客をターゲティングし売り上げを伸ばしてきた。しかし今やこの比率が40%の顧客が、60%の売り上げを上げる構造に変化しているからだ。

 この構造変化を踏まえてマーケティングの効果を最大限引き出すためには、マーケティングのゴールを「商品の販売」から、「顧客との関係性を育てる」に設定変更することが必要だ。つまり、「誰に」どうやって売るかではなく、「何を」どうやって売るかを考える必要がある。

 商品を軸にすると、売れる、または儲かる上位顧客にばかり投資が集中する。 40%に達する中間層が消費をリードする時代にあって、上位数%程度の顧客に依存する極端な売り上げ構造による成長には限界があり、業績貢献は短期的だ。一方で、顧客を軸としたマーケティングでは、売れる、あるいは儲かる顧客を定義し、その状態に達する顧客の数を最大化することで、新規顧客の獲得や新商品投入による売り上げの成長を長期的に底上げし続ける状態を作ることができる。

 顧客との関係性を育てるには、スマホ、タブレット、店舗、ダイレクトメール、Eメールなど購買チャネルの選択肢を増やすだけでなく、購買チャネル間で矛盾のないサービス、一貫性のあるタイムリーな情報提供が重要になる。だが現状、多くの企業のマーケティング活動は、Webサイト、店舗、コールセンターなど顧客との接点となるチャネル間、あるいは商品やサービスごとに部門が分断されている。

 それぞれの部門で顧客情報の収集、施策検討、実行を管理していると何が起きるだろうか。たとえば、「母親へのプレゼントとしてタブレットPCを10%オフで家電量販店で購入した男性がいるとする。後日、メールマガジンで購入したタブレットPCが30%オフで販売されている情報が送られてくる。先日購入したばかりの商品がさらに安く提供されていること、また、先日購入したという顧客情報を無視した安易なおすすめ情報に怒りを覚え、今後、この家電量販店では購入しないことを決める」になるだろう。

 この顧客ニーズと企業のマーケティング間にあるギャップを解消するため、企業は顧客情報を継続的、一元的に管理、活用することが必要になる。一元管理できていれば前出の男性のタブレットPC購入後の体験は劇的に変わる。

 「タブレットPC購入後、後日送られてきた男性宛のメールマガジンには、タブレットPCの専用ケースの20%オフクーポンが添付されていた。お買い得、かつ便利なお知らせに、専用ケースを買い忘れていたこともあり男性はとても喜び家電量販店をひいきにするようになる」だろう。

 顧客のよきパートナーとして認められ、長期的な関係を築くには就職、結婚、住宅購入 、出産、退職などライフイベントを感知し、ステージにあった情報提供を行うことも大切だ。そのためにも、顧客を「個客」としてとらえ、好きな商品カテゴリー、購入チャネル、ロイヤリティプログラムへの参加、購入履歴、カスタマーサービスの利用状況、返品・交換情報、再購入するまでの時間、メディアへの反応などあらゆる角度から情報を収集し顧客を理解するためのテクノロジープラットフォームを構築することが必要となる。

 これらのアクションによって、顧客にナンバーワンのパートナーとして認められれば、売れる、あるいは儲かる顧客数がバランスよく増え、顧客基盤が強固な資産として機能することになる。これが、マーケティングの投資効果を中長期的に最大化するため最良の方法だ。

 この2本の動画では、顧客中心のマーケティングを実現するためになぜプラットフォームが大切なのか、またプラットフォームの導入で実現できる、LTV(ロング・タイム・バリュー)予測ロジックに基づく広告販促費等の管理、キャンーペーンマネジメントといった具体的な事例も紹介している。テクノロジーを活用したマーケティングに興味を持つ人にはぜひご覧いただきたい。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2013/11/26 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18805