業界異例の20年契約
はじめに、アシスト取締役 勝田氏からNORENの日本市場進出から現在までの歴史が説明された。「2002年10月の発売から2005年10月までの約3年で採用企業が100社を超え、2006年現在では170社に採用されている。日本のCMS市場拡大に貢献してきたと思う」と紹介、特に日立製作所に採用されたことが、日本市場進出への足がかりとなったと語った。その後も、NORENユーザ会の発足、クイックスタートキットの提供など、製品以外の部分でも着実に顧客満足度を高めていったことが現在につながっているという。
次にビル・トッテン氏から製品名の由来について紹介があり「NORENは日本の伝統的商業のシンボルであり、お店に掲げられて商売繁盛に大きく貢献する『暖簾(のれん)』を語源としていている。現在の社会では、Webサイトこそが企業の暖簾であると言えることから、アシストが国内で販売を開始する際に『NOREN』という製品名を名づけた」と語った。
アイオン・コミュニケーションズ社長 オ・ゼチョル氏からは、日本に進出した当時のアシストとのやり取りについての話もでた。「NOREN3のアーキテクチャが壊れるぐらいの要望がアシストからでたこともあり、日本と韓国の商習慣に違いに戸惑ったこともあった」と当時の心境を語った。また、「日本の会社の人は夜食を食べる習慣が無くて困った。我慢できなくなり40人分のマクドナルドを買ってきて、みんなで分けあって食べてた」といった冗談がでると会場からは笑いが起こった。
20年の契約については、2002年10月の販売開始当初から、アシスト、アイオン・コミュニケーションズともに本音での意見交換を続けた経緯があった上での契約であり、信頼関係が芽生えた結果であると語った。
CMSは魔法のツールではない
第2部では、韓国と日本のCMS市場の違い中心にオ・ゼチョル氏の説明からはじまった。まず現在の世界的に見たCMS市場の違いだが、欧米の企業がCMSの導入に積極的なのにもかかわらず、日本の普及率は低いという。全世界で2番目に大きなソフトウェア市場を持っている日本でもわずか1%の普及率とのこと。
この理由として、欧米ではドキュメント管理やイメージング管理、つまり企業全体の情報管理を含めCMSととらえているのに対し、日本ではWeb上でのコンテンツ管理のみを指す場合が多く、CMSに対するとらえ方が違うと指摘。そして、同じアジアでも韓国ではサービスのプラットフォームとしてCMSをとらえ、CMSを介してサービスの統合化が進んでいるとし、日本と韓国の間でもユーザニーズや使用実態に差があると説明した。また、「CMSは魔法のツールではない」とし、問題点の洗い出し、ユーザニーズを把握し、ゴールを明確化させ導入することが必要だと強調した。次のバージョンとなるNOREN5では300個の新機能を追加する予定であり、よりSOAを意識した機能を追加していく予定である。
販売戦略面についてはアシストNOREN事業推進室室長 根津氏から「CMSは誰にとっても使いやすくなければならない、そしてライセンスなどの展開も容易でなければならない。つまり『使いやすさ』が重要である。現時、日本市場には40~50の製品が氾濫しているが、その中で生き残るためには、ユーザ会などから顧客の声をすい上げて製品に生かしていくことが重要である」と指摘があった。最後に、NOREN採用企業の予測をスライドで紹介し今後の市場を予測した。
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