SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

月間12億インプレッション 国内最大級のSNS拡散力「モデルプレス」が女性の信頼を得た理由

 新聞・テレビの大手メディアから個人のSNSまで、世の中には情報があふれている。そんな中で女性を中心に圧倒的な支持を集めているのが、日本最大級のエンタメ&ライフスタイルニュースサイト「モデルプレス」だ。MarkeZineで何度も取り上げている同メディアだが、2016年には、Green romp社の調査リリースを基に「SNSで影響力のあるメディア、『日経新聞電子版』『モデルプレス』の2強に」という記事でも紹介しているが、1次発信の速報記事を多く配信し、自社スタジオで撮影を行うなど、Webメディアとして強烈な個性を放っている。モデルプレス代表の松下佳憲さんに話を聞いた。

目指したのは「信頼される情報を提供すること」

 モデルプレスは、日本最大級の女性向けエンタメ&ライフスタイルニュースサイトとして広く支持されており、SNSでの強力な発信力を武器に、2016年12月には、ユニークユーザーが月間2,000万人を突破し、SNSの拡散は月間12億インプレッションに達した。2009年設立から、メディアとしてここまで成長した理由はどこにあるのだろうか。

女性向けメディアとして月間2,000万UUを超える「modelpress(モデルプレス)」

「モデルプレスを立ち上げた当時は、ブログが全盛で、ブロガーが次々に出現し、等身大のアイコンとして女性のライフスタイルに大きな影響を与えるようになっていました。そんな中で今後、個人発信以外に第三者が情報の信頼性を担保して報道する媒体の存在も必要になると考えていました。女性のライフスタイルにとって有益で、取材活動を軸にし、情報の裏を取って発信するニュースメディアとしてスタートしました」(高岡さん)

女性にリーチするための執筆作業

 毎日、美容やファッションのニュースを追い続ける“記者”ならではの情報発信力で、流行に敏感な女性たちの心をつかんでいるという。あるメイク商品では、「商品レビュー」、人気モデルの「インタビュー」、そして実店舗での販売状況を踏まえた「取材」に加え、モデルプレス読者のインフルエンサーたちもキャスティングし、複数の切り口で力強い拡散を展開することで訴求効果を高めている。

三つの異なる切り口で掲載した、コスメ商品のタイアップ企画

「弊社では、トレンドに敏感な記者たちの提案で、タイアップ記事を作成していきます。ポイントとなってくるのは、Webでどれだけ盛り上げて、ストーリー性のある記事を作れるかということ。複数回、切り口を変えて掲載することで『この商品は流行しているんだ』と盛り上げていくことができます。

 さらにドラッグストア実店舗を絡めた記事では、店頭へのPOPも用意し、店舗での購買行動を取材することでO2Oへの展開も成功しています。この企画では、ドラッグストア店舗の売り上げが飛躍的に向上したと連絡をいただきました」

 読者との近い距離感を持った記者ならではの企画が「読者を動かす」という、モデルプレスのメディアとしての強さを支えている。

 さらに同社の広告事業で注目を集めているのは、DMPを導入し読者情報の分析を行っている点だ。同社はデータアーティスト社とIDCフロンティアと共同で「modelpress DMP」を開発。月間2,000万UUという圧倒的なデータをAIにより精緻に分析し、読者の興味関心をより正確に分析することが可能となった。

「modelpress DMPにより、次に読みたいであろう記事のプッシュなどを表示し、回遊を促すほか、より精度の高い広告のターゲティングを行うことが可能となりました。さらに今後は、テレビのメタデータ等を掛け合わせ、デジタル領域の行動だけでなく、テレビCMとの連動など、より幅広い広告サービスを提供することができるようになる予定です」

Webメディアの編集部とは思えない設備が整うメイクルーム

 同社はJIAA、JARO会員企業として、当然のことながらPR記事には表記をしっかりと行い、通常記事との区別も明確にし、読者へ配慮することも厳守している。

自社開催の参加型イベントで、読者との距離を縮める

 モデルプレスでは、記事企画以外にも、RIZAP(ライザップ)とのコラボ企画なども行っている。コンテストを企画し、参加者を募り、参加者の表情やコンテストの様子などを発信するのは、モデルプレスならではだ。

「ライザップさんとの『ベストヒップコンテスト』は、私たちから働きかけて、ライザップさんと組んで開催しています。

RIZAPとのコラボ企画「ベストヒップコンテスト」(現在は受付を終了)

 これは、単に「痩せる」のではなく『パーツ別ダイエット』をテーマにして、既存のダイエットのイメージを女性目線で変えるためのイベントです。アイドルやモデルの方だけでなく、一般の読者の方々を含め、非常に多くの方に参加いただいています。私たちはコンテストの企画・告知・キャスティング・募集・審査・プロモーション・発表イベントというすべての工程に関わっています。一気通貫の運営が可能です」

 同社は、「東京ガールズコレクション」「Girls Award」「神戸コレクション」「関西コレクション」という国内の4大ファッションショーのオフィシャルメディアも務め、各イベントの現場を細かく取材することで、Web上で数字を作る役割を果たし、イベント自体の盛り上げ、イベント協賛社の販促にも貢献している。

女性ファッション・ライフスタイル業界に「報道」というジャンルを築く

 立ち上げ時の話に戻るが、メディアを作るといっても、簡単にできることではない。立ち上げの際にモデルとして考えたメディアは何だったのか。

「私たちが目指したのは、女性向けのニュースメディアでした。それまでほとんどのニュースメディアは男性向けだったので、女性をターゲットに、自分たちが取材したニュース報道をするというアプローチでニュース業界に参入しました。報道こそが信頼の礎だと思ったからです」

「誰も傷つけない」「みんなを応援する」という強み 女性に好かれるメディアの作り方

 独自の世界観にこだわり、読者が求める記事を作るために、重視しているものは何なのだろうか。

アンティーク調の家具が揃う、モデルプレスの自社スタジオ

「特に私たちの世界観を作るために大切なのは「誰も傷つけない」「みんなを応援する」ことです。ニュースメディアは、ネガティブネタのほうがアクセスが上がるので、常識的にはそれを配信したほうが稼げます。私たちは事前に情報をつかんでいても『ネガティブNG』というポジションで運営しています。みんなというのは、ファンはもちろん、タレントさん、その仕事に関わるすべての関係者たちのことです。ニュースは人と人で作るものですから。『モデルプレスは、読んでいてイヤな気分になる記事がない』という世界観です。また独自取材・撮影の写真には、かなりこだわっています」

浜崎あゆみさんに密着した記事企画

 2016年末、浜崎あゆみさんのカウントダウンライブ前には密着取材を行った。この企画も、アーティストとの信頼関係がなければ実現しなかった企画だと言える。

浜崎あゆみさんに密着した記事企画

「1ヵ月前からライブのリハーサル現場で密着させていただき、普段は見られない裏側に迫ることができました。浜崎さん自身もモデルプレスを読んでいただいており、指名していただきました。これは、私たちの『常にタレントさんの味方です』というスタンスに共感いただけたからかもしれません」

各メディアのプロデューサーたちと協力し、ヒットコンテンツを生み出す

 さらに松下さんは、「私たちは、立ち上げ時から女性ファッション誌やテレビ視聴をアシストする存在になりたいと考えています」と意外なコンセプトを語った。これは単に宣伝するということではなく、自分たちが大好きなものである雜誌をもっと読んでもらいたい、テレビをもっと見てもらいたいという立ち位置でいるということのようだ。

 これまで、各テレビ局や出版社との取り組み、Amazonプライムビデオ、Netflix、ひかりTVなどの動画配信サービス各社との番組制作・ニュース・キャスティング・オーディションなどの仕事を積み重ねてきたことから、大手コンテンツプレーヤーからの期待も大きい。

「テレビ、出版、新聞、ラジオ、映画、Web、それぞれのメディアの役割はまったく異なります。しかし、コンテンツを投下する際に、横断的にうまく各メディアをシンクロさせられるプレーヤーが少ないのが現状です。各メディアのプロデューサーたちの胸を借りながら、スクラムを組んでヒットコンテンツを成立させていくフローを作ることが目標です」と、既存メディアへのリスペクトも忘れない。

「女性向けのエンタメ&ライフスタイルニュースメディア」という独自のスタンスを貫いた結果、読者、タレント、インフルエンサー、業界関係者、広告主らの信頼を得たモデルプレス。今後は女性ユーザー向け訴求を必要としている企業とのコラボ企画やデータ連携、全国のドラッグストア店頭のコーナー展開など、さらにその活動の領域は広がっていきそうだ。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/03/17 11:39 https://markezine.jp/article/detail/25923