電通デジタルは、デジタル広告の効果測定において、クリックありきではなく、広く接触経験(ビュー)を基点とした新指標「ビュースルー行動転換率」を開発し、6月28日より提供を開始した。
直接のクリックがない場合を含む広告接触後の興味喚起がもたらす態度変容、すなわち自然検索によるサイト来訪や、その後の商品購入・申し込みなどへの貢献まで各段階を一貫して測定することで広告の精緻な評価が可能になり、潜在顧客層の開拓・育成に効果を発揮する。
くわえて、同指標の利用企業がヤフーの提供するYahoo! DMPを利用する場合、デモグラフィック特性や趣味嗜好など、潜在顧客の属性ごとの効果検証もあわせて行うことができる。これにより、各ターゲット層における転換率の違いという視点も新指標に組み込むことが可能となる。
同指標開発の背景には、クライアント企業からの"デジタル広告領域における潜在顧客の発掘・育成"というニーズの高まりがある。それを受けて、電通デジタル内でデジタル広告のブランディングから購買までの包括的なプランニングと効果測定を行う部署横断チーム「BAR(Brand And Response)」が、認知獲得から購入・申し込みまでのマーケティングファネル各プロセスへの広告効果を一貫して把握できる新指標を実現した。
数億から数十億行にも及ぶ膨大な広告配信の生ログデータを、個別のユーザー単位で分析することで、ファネル全体を横断したユーザーの検討行動を分析している。なお、ビューの測定においてはユーザーが実際に視認した広告のみをカウントし、サイト上に表示されているものの実際には視認されていない広告については評価の対象から外すことで、より精緻なビュー効果の測定が可能になった。
また今回開発の指標を、リクルートマーケティングパートナーズが総合婚活サービス「ゼクシィ縁結び」の会員獲得コミュニケーションにおいて、トライアルで導入した。
具体的には、BARが事前のマーケティング仮説にもとづきアクティブ系の趣味を持つユーザーを中心としたメディアプランニングと、今回開発したビュースルー行動転換率を軸とした新指標の活用によって、どのような属性のユーザーがサービスとの親和性が高いかを、実際のユーザー行動のビッグデータをもとに検証した。
さらに、Yahoo! DMPの利用企業でもあるリクルートマーケティングパートナーズは、ヤフーのマルチビッグデータとの掛け合わせをもとに、アクティブ系の趣味以外の趣味セグメントも含めて広告ターゲットとして検証。これにより、事前仮説にない新たなターゲットの発掘にも成功した。発掘したターゲットに向けたクリエイティブも新たに開発することで、より高い効果を得ることもでき、ユーザーのインサイトに沿ったコンテンツ開発のPDCAによる効率改善も実現した。
これらの施策の結果、ターゲット層に対する広告キャンペーンの認知率が向上するとともに、申込件数のアップも実現。成果はオンライン上だけにとどまらず、結婚相談カウンター「ゼクシィ縁結びカウンター」への来訪者数の大幅な向上にもつながった。
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