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マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

待たれるオンオフ統合 データマーケティング時代の展望

すべてが明らかになる世界が5年で実現する

――将来的には、購買起点のプランニングも可能だと発表されていました。2018年のロードマップをうかがえますか?

 実は、楽天は既に購買起点のプランニングに準ずることを提供しているんです。広告売上自体も相当にあるのですが、発表もしておらず、あまり目立っていませんでした。他にも複数のプロダクトがあるので、改めて整理している最中です。

 2018年はそれらを電通と一緒に売るとなると、やはり提案の規模の大きさに最も期待していますし、それが楽天の持つデータとのシナジーが生まれる部分です。シーズはありながら、拡大できていなかったプロダクトを、よりスケーラブルに展開していきます。

――冒頭でお話しいただいたように、購買ファネルの上部から下部まですべてのデータがつながると、相当の変革が起こりそうです。

 そう思います。肝は、責任の所在が明らかになることです。売れないのは製品が悪いのか、マーケティングか、それとも会社自体なのか。データ連係していないとわかりようがなかった部分が明確になる、非常にドラスティックな時代だと思います。

 そういうとき、日本の企業は進化を遅らせることにかけて天才的ですよね。失礼、ちょっと語弊があったかもしれませんが、軟着陸させるのが得意です。確かに新しいテクノロジーなり環境なりに適応できない人が多いと失業率が上がり、社会が不穏になるので、軟着陸自体が悪いとはいいません。ただし、世界との競争には後れをとる可能性があります。

 今回、こんな大変革なので、どこかでブレーキが働くかもしれない。でも、データを提供してもらう流通チャネルやテレビのメーカーは広告業界のプレーヤーではないので、そこまで阻害要因はないのではと見ています。5年ですべてとはいいませんが、数字をベースにしたファクトマーケティングが完成するのに10年はかからないと思います。

2018年に向き合うべき広告業界の課題

――広告をめぐっては、生活者に嫌われる存在になっているといった議論や、ブランドセーフティやアドフラウドなど新たな課題も出てきています。これらにどう向き合うべきでしょうか?

 まず生活者に関しては、前述のファクトマーケティングはプラスに働くと思います。データはユーザーからお預かりしているものなので、流出や悪用がないのは大前提として、ユーザーにメリットがあり、信頼を得てWin-Winの関係を築くことがマストになるからです。また、広告効果が明らかになると、企業は“無駄打ち”しなくなりますよね。逆にいうと生活者が“無駄打たれ”されない、つまり自分に不必要でじゃまな広告が表示されなくなる。この点は、楽天データマーケティングが貢献できる部分だと思います。

 ビューアビリティやアドフラウドの問題については、昨年10月にインテグラル・アド・サイエンス社の計測ツールとボット検知機能、Momentum社のブロッキング機能が、電通PMP(プライベートマーケットプレイス)で無償提供されたことは非常にいいニュースでした。楽天データマーケティングとしては、アドフラウドは絶対に除外しますし、ブランドセーフティに関しても「松竹梅」の選択肢を設ける考えです。どこまでがセーフかは、企業によって、ブランドによってかなり異なるので、ランク分けしてCPCとの折り合いで選んでいただこうと。

 ただしそれを適切に選ぶにも、我々が提唱するところのデータマーケティングが浸透する必要があるので、その土壌を、つまりすべてが明らかになる世界を早く作ることを目指します。

――ありがとうございました。最後に、2017年は「透明性」が大きく問われた年でしたが、今後マーケターに求められる姿勢をどうお考えか、教えていただけますか?

 一般的な商品購買だと、たとえば偽ブランド品の売買のように、売る側が悪いのは当然ですが、買う側も留意すべきだといわれます。買う人がいる限り供給はなくならず、もっというと、買うほうも処罰される類のものもある。ネット広告も、売る側に責任があるのはもちろん、買う側も“何を買っているのか”、つまり自社の広告がどこに出るのかを認識するのは大前提です。

 ネット広告は、イノベーティブな世界だからと独自に発展してきた部分はありますが、スマートフォンの浸透でここまで一般化すると、もうリアルと同じです。他の広告に比べて治外法権にしてはいけないという風潮は、大きなトレンドです。少し混乱はするかもしれませんが、これは市場が清潔になり、改めて発展するために必要なステップです。それを経た市場の健全な成長に、我々も寄与できればと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:59 https://markezine.jp/article/detail/27759

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