ヤフーの新プラットフォームで運用を自動化
MZ:では、ヤフーの動的ディスプレイ広告を中心にどのような運用を行ったのか、サイバーエージェントの担当者から教えてください。
サイバーエージェント(以下、CA):新プラットフォームの導入に向けてまず行ったのは、アカウント構造のシンプル化です。今回は自動入札を活用するため、最適化されやすい構造に構築し直しました。
また、動的ディスプレイ広告の配信に欠かせないデータフィード(広告を作るための商品データをまとめる仕組み)の整理も行いました。たとえば、これまで入れられなかったセール時の価格などの追加を行い、より多彩なクリエイティブを掲載できるようにしました。
そして、自動入札は最適化に一定の時間が必要なので、その期間は他の広告でフォローしつつ、中長期的な目線で広告運用を行いました。
MZ:最適化されるまでじっと待つ、というのは不安ではありませんでしたか。
酒見:不安はなかったですね。短期的な細かな数字の変化に対応するよりも中長期的な新たなチャレンジに投資することのほうが重要です。そして、オンワードのお客様に「良い広告だ」と思ってもらうためにチャレンジしているので、もし仮に失敗しても責めるべきことではないと思っています。
広告の数字が多少ブレてもビジネス全体に与えるインパクトは小さい。それよりも「何のために広告を出しているのか」を常に考えていました。
媒体最適化ロジックを一番活かせる構造と初期設定が重要
MZ:運用していく上で、意識した点などはありますか。
CA:動的ディスプレイ広告は運用変数が少ないため、フィードの整備と媒体ロジックの理解に重点を置いていました。
他社にも動的ディスプレイ広告のプロダクトはありますが、フィードの見せ方も配信のロジックも各プロダクトで異なります。そこを深く理解して、媒体最適化ロジックを一番活かせる構造と初期設定をきちんと行うことが、動的ディスプレイ広告の運用の成功には欠かせないと思います。
MZ:両社がどのように連携し、広告運用を進めていたのかも教えてください。
CA:我々は、とにかく情報のインプットとアウトプットを素早く行っていました。新しいアップデートに関しては最速でオンワード様側に共有させていただきました。また、ヤフー社とも定例で打ち合わせを行い、情報のキャッチアップも欠かさず行いました。
小泉:新プラットフォームの移行にあたり、サイバーエージェント様には、今後のスケジュールの予告はもちろん、何週にもわたって詳細を説明いただけたのはありがたかったです。
また、我々も自動最適がかかるまでただ待つだけではなく、いつまでにKPIがどの水準に満たなかったらやめるのか、といった判断軸を持って進めていました。そのKPIの設計などもサイバーエージェント様が相談に乗ってくれたので、非常に進めやすかったです。