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「ブランドの “感じかた”は異なる」 良いお酒の文化づくりに賭けるkoyoi・石根さんのクリエイティブ論

 2021年9月に低アルコールのクラフトカクテルブランド「koyoi」の販売が開始された。アルコール分は3パーセントと、お酒に弱い体質や体調に気を配る人でも楽しみやすい。保存料・着色料・人工甘味料などを使わないナチュラルな製法かつ、多彩なラインナップも魅力だ。今回はkoyoiを手がけるSEAMのCEO石根友理恵さんに、屋台骨となっているブランドコンセプトやクリエイティブについて話を聞いた。

なぜお酒に人生を捧げるのか その背景にある父の死と自身の思い

――まず、石根さんのご経歴について教えてください。

神戸の大学を卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社し、広告代理事業のSNSマーケティングに従事したのち、1年半足らずで退職しました。その理由は、大学生のころから「30歳までに自分の名前で仕事をしよう」と決めていたからです。そもそもサイバーエイジェントに入ったのも、当時ITの領域が伸びており業界としての成長性を感じたこと、裁量権があること、女性が活躍しているなどの理由からでした。

今起業した立場から振り返ると、もう少し成果を出してから辞めるべきだったと思うのですが(笑)、当時はさらにサバイブする環境に身を置きたかったんです。そんな思いから、サイバーエージェントの先輩が立ち上げたスタートアップ「ワンオブゼム」の創業期にジョイン。新規事業の立ち上げや当時とくにトレンドだったアプリ事業に携わり、マーケティングやPRの組織づくりなどを経験しました。そんななか、私が24歳のときに父が急死。そのときに「いつ死ぬかわからないのだから、やりたいことを先延ばしにしてはいけない」と強く思うようになりました。そういった背景もあり、27歳でフリーランスとして独立しました。

株式会社SEAM 代表取締役 石根友理恵さん
株式会社SEAM 代表取締役 石根友理恵さん

フリーランスのときは、さまざまな仕事に必死に取り組みました。自分にどれだけ実力があるか、どれだけ稼働できるかがものを言う世界だったので、今までの私の稼ぎとしてもいちばん大きかった時期です。ただ一方で「能力を切り売りしている」という感覚もずっとぬぐい切れませんでした。私は、自分が死んでも残る事業を作りたいと強く思っていたため、「このままで良いのだろうか」「生活は安定していて自分の時間もしっかり確保できるけれど、何のために独立したんだっけ」と。もっと命を燃やすことに取り組もうと思い、事業立ち上げを決意しました。

そのころちょうど妊娠が重なり、体力的なつらさから、初めて仕事を辞めたいと思いました。ただ同時に、子どもが産まれることを言い訳にしたら、自分をぬるま湯につからせることになるとも思ったんです。結局子育てもあり、本格的に自社事業に取り掛かったのは2~3年後になったのですが、退路を断ち切るため、そして半分は自身への“誓い”として29歳のときに会社を設立しました。

――事業領域として「お酒」を選んだのはなぜですか?

この先の人生を注げる事業とは何なのか、とても悩みました。よくあるように、事業案を100個出し、ひとつずつ潰して良さそうなものを仮説検証するといったことも行いました。ただ、私の場合、どれもしっくりこなかったんですよね。

そこでもう一度、本当に命をかけてできるものは何かと遡ってみると、父の死の一因がアルコールであったことは原体験としてとても大きかった。また私自身、とてもお酒が好きなことに改めて気づきました。お酒は幸せなとき、悔しいとき、悲しいときなど、そのすべてに寄り添ってくれるもの。少なくとも私にとって、いつも味方になってくれていたのがお酒でした。

ただ、お酒は人間を幸せにするアイテムである一方、昔も今も、体や心の被害が絶えない。だからこそ、「良いお酒の文化」が求められているのでないかと感じました。なにより私自身もそれを求めていたんですよね。そのため「低アルコール事業」に取り組みたいというよりも、「心は幸せに、体には優しいアルコールの文化」をつくっていきたいと考えたんです。

目指したのは、日本らしくないデザイン

――koyoiで掲げているクリエイティブコンセプト「夢見心地」はどのように決めたのでしょうか。

koyoiでは、コンセプトづくりに半年もの時間をかけました。実際に商品をつくったのは4ヵ月程度ですので、その期間と比べても多くの時間を割いたことがおわかりいただけるかと思います。

そのときに考えていたのは、koyoiを届けたいターゲットはどのような状況に置かれているのか。私たちはそれをどのように変えたくて、そのためにはどんな商品が必要なのかということです。

koyoiでは、メインターゲットを20代から30代の女性に定めています。社会に出て、仕事を日々がんばっている。結婚や子ども、家族の悩みもあるでしょう。普段はそういったたくさんの“役割”を背負っている人たちにも、その役割をそっと横に置き、心を軽くしたい時もあるのではないか――。そんな瞬間に、私たちの商品がそばにありたいと思ったんです。

そうなると「チル」や「モチベーションアップ」といった言葉よりも、何かを浮上させるイメージを与えられる言葉が良いのではないかと考えました。なんだか良い夢が見られるような、その一歩手前の心がふわふわする感覚や、お酒ならではのちょっとした浮遊感。それらを表現するためにブランド名は「koyoi」に、クリエイティブコンセプトは「夢見心地」に決めました。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42145

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