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今知っておきたいマーケティング基礎知識

YouTube収益化は難しい?ゼロから始める収益化完全ガイド

 YouTubeの人気はますます高まりを見せ、登録者10万人以上のチャンネル数は7,700以上といわれています(2022年6月現在)。これからYouTubeでチャンネルを開設しようと考える方にとって、気になるのが収益化ではないでしょうか。YouTubeの収益化は難しいといわれる一方で、可能性はまだまだあるという意見も。そこでゼロからYouTube収益化を目指す方に向けて、YouTube収益化は本当に難しいのか、収益化のための施策や注意点、人気YouTuberに学ぶ収益化成功の秘訣などをご紹介します。

YouTubeの収益化とは

 YouTubeを見ていると、動画内にコンテンツに関連した広告映像が流れたり、バナーが表示されたりします。視聴者がそれらの広告を一定時間以上視聴する、あるいはクリックするなどの反応に応じて、広告主からYouTubeと動画投稿者に広告料が支払われます。それによって、動画投稿者はYouTubeから収益を得られるという仕組みです。

 YouTubeを収益化する方法はいくつかありますが、広告収益はパートナープログラムの審査を通らなければ得られません。

YouTube収益化の条件

 YouTubeを収益化するために、まず「YouTubeパートナープログラム」に参加しましょう。「YouTubeパートナープログラム」は、YouTubeでコンテンツを配信する人が広告で収入を得るためのプログラムです。このプログラムに参加すれば動画内に広告を挿入し、そこから収入を受け取ることが可能になります。また広告収入の他にも「メンバーシップ」や「スーパーチャット」などの機能を利用できます。

 「YouTubeパートナープログラム」に参加するには、下記の条件を満たす必要があります。

18歳以上であること(「Google AdSense」アカウントを持てること)

 YouTubeを収益化するためには、「Google AdSense」でアカウントを取得しなければなりません。18歳以上でなければ「Google AdSense」に登録できないため、必然的に18歳以下は収益化できないことになります。

 ただし、YouTubeのアカウントだけなら13歳以上から作成可能です。その際は「Google AdSense」登録は保護者が代理で行い、未成年のアカウントにリンクさせることになります。

チャンネル登録者が1,000人(※1)以上であること

 いくつかの動画が気に入った程度では、ユーザーはチャンネル登録まで進んでくれません。チャンネル登録してもらうためにはチャンネル全体の価値を高め、ファンを増やしていきましょう。

※1 2023年6月、チャンネル登録者に関する要件が米国、英国、台湾、カナダ、韓国において1,000人→500人と大幅に引き下げられました。日本での適用は未定ですが、いずれ適用される見込みです。

直近1年間の総再生時間が4,000時間(※2)、または過去90日間のショート再生回数が1,000万回以上(※3)であること

 注意したいのは、総再生「回数」ではなく総再生「時間」であることです。再生時間を条件としているのは、動画がきちんと視聴されているかどうかが重視されているためと思われます。

 雑に作った動画を100本あげるより、数は少なくても、しっかり作り込み内容が充実している動画をあげることが重要といえるでしょう。

※2 2023年6月、総再生時間に関する要件が米国、英国、台湾、カナダ、韓国において4,000時間→3,000時間に引き下げられました。日本での適用は未定ですが、いずれ適用される見込みです。

※3 2023年6月、1,000万回→300万回に引き下げられました。日本での適用は未定ですが、いずれ適用される見込みです。

ポリシー・ガイドラインに反していないこと

 YouTubeのポリシー・ガイドラインでは性的なコンテンツ、暴力的または危険なコンテンツ、著作権に違反するようなコンテンツなどは相応しくないとしています。ポリシーやガイドラインに違反しているとみなされた動画は収益化の対象外とされ、YouTubeから削除されるため注意してください。

 「YouTubeパートナープログラム」の申し込み方法は、下記の「YouTube収益化の施策①広告収入」でご紹介します。

YouTube収益化の施策

 続いては、YouTube収益化を実現する4つの施策について解説します。

YouTube収益化の施策1.広告収入

 すでにご紹介したように、広告収入を得るには「YouTubeパートナープログラム」に加入する必要があります。「YouTubeパートナープログラム」の申し込み方法は下記の通りです。

<YouTubeパートナープログラムの申し込み方法>

1.収益化を希望するYouTubeアカウントにログイン

2.アカウント右上にある「プロフィールアイコン」をクリック

3.「YouTube Studio」をクリック→左メニューから「収益受け取り」を有効化

4.「YouTubeパートナープログラム」の諸条件を確認・同意

5.Google AdSenseの新規アカウント作成、または既存の自分のチャンネルと連動したアカウントに接続

YouTube収益化の施策2.スポンサーシップ

 企業が資金のすべてまたは一部を提供して動画を作成する方法で、一般的にブランド、メッセージ、サードパーティなどの商品を宣伝します。ただし、コンテンツにこれらを直接組み込まないことが特徴です。

YouTube収益化の施策3.メンバーシップ

 正式には「チャンネルメンバーシップ」と呼ばれます。視聴者は月額料金を支払ってチャンネルのメンバーとなり、代わりに限定公開コンテンツやバッジ、絵文字などメンバー限定の特典を手に入れます。いわば有料のコミュニティです。

 ただし「チャンネルメンバーシップ」を利用できるのは、「YouTubeパートナープログラム」への参加条件(18歳以上、規定の動画の総再生時間またはショート動画の再生回数、規定のチャンネル登録者数、ポリシー・ガイドラインの遵守など)、および下記の要件を満たすチャンネルのみです。

  • チャンネルにコミュニティタブがある
  • チャンネルが子ども向けとして設定されていない
  • チャンネルに含まれるメンバーシップ対象外の動画が一定数を超えていない

YouTube収益化の施策4.その他

  • スーパーチャット/スーパーステッカー/スーパーサンクスなど

 いわゆる「投げ銭」機能を使って収益化する方法です。YouTubeで公開された動画の作成者に対し、視聴者が直接寄付します。視聴者一人あたり、寄付できるのは最大5万円/日という制約があります。

 スーパーチャットは一般的にライブ配信・プレミア公開などの際に行われます。スーパーステッカーはライブ配信・プレミア公開時にステッカー(スタンプ)を送り、スーパーサンクスは投稿済みの動画に行うことができます。

  • YouTubeショッピング

 動画で自作した商品を販売したり、他のブランドの商品を紹介し、視聴者(ファン)が購入したりできる機能です。YouTubeショッピングの利用によって、ファンが作成者のコンテンツから直接購入できるので、収益化に有効な方法です。

YouTube収益化を成功させるポイント!

ポイント1.ユーザーニーズをつかむ

 YouTube収益化に必要な再生時間やチャンネル登録者数などをクリアするには、視聴者が何を見たがっているかを意識しなければなりません。自分が見せたい、伝えたいという内容だけではなく、「YouTubeアナリティクス」などのツールを使ってユーザーニーズを分析し、内容を決めましょう。

ポイント2.勝ちやすい隙間を狙う

 ニーズの高いジャンルを選ぶと、人気がある分ライバルも多いというマイナス面があります。そのためなるべく敵が少ない隙間を見つけましょう。たとえば女性に人気の高い美容・コスメのジャンルなら、「上手なアイメイクのやり方」よりも「一重まぶたの女性にお勧めのプチプラアイメイク」「シニア女性にお勧めのアンチエイジング・アイメイク」など、絞り込んだテーマを選んでみてください。

ポイント3.結果がすぐに出なくても投稿を続ける

 反応が少ないとモチベーションが下がり投稿を諦めがちですが、動画を投稿してすぐに収益が出ることは非常に稀です。ある程度、投稿動画数がたまるまでは「こんなものだ」と割り切って淡々とアップしていきましょう。

ポイント4.チャンネル登録の依頼

 チャンネル登録数の増加は収益化への近道です。やり過ぎると逆効果ですが、動画内で「チャンネル登録をお願いします」と視聴者に呼びかけたり、動画の最後に登録へのリンクを貼りつけたりして、視聴者が登録しやすい動線を作っておくのがお勧めです。

ポイント5.YouTubeカードを貼る

 再生回数の増加や登録の促進などに役立つのが「YouTubeカード」。カードは「動画」「再生リスト」「リンク」「チャンネル」があり、動画、再生リスト、チャンネル、訪問してほしいサイトのリンクなどを5秒間ポップアップさせられる機能です。「YouTubeパートナープログラム」の申し込みに使用した「YouTube Studio」から設定できます。

ポイント6.コメントに返信する

 視聴者から寄せられたコメントには、お礼も含めてできるだけ返信しましょう。そこからチャンネルのファンになってもらえる可能性があります。またYouTubeには「視聴者とのインタラクション(コメントのやり取り)が多い動画を評価する」というアルゴリズムがあるため、価値ある動画と認識させることにつながります。

ポイント7.SNSで拡散する

 TikTok、Twitter、InstagramなどのSNSを用いて動画を拡散すると、大きく伸びる可能性があります。たとえばYouTubeのショート動画をTikTokやInstagramにも投稿します。動画のジャンルによって最適なSNSが変わってくるので、いくつか試してみるといいでしょう。

ポイント8.チャンネル登録者が1,000人(※)になったらメンバーシップに登録

 すでにご紹介したように、チャンネル登録者が1,000人を超えたらメンバーシップを利用し、収益化を図りましょう。

※2023年6月、チャンネル登録者に関する要件が米国、英国、台湾、カナダ、韓国において1,000人→500人と大幅に引き下げられました。日本での適用は未定ですが、いずれ適用される見込みです。

ポイント9.チャンネル登録者が増えてきたら海外ユーザーを意識する

 より多くの人に見てもらうため、海外ユーザーもターゲットとして意識しましょう。もし動画のジャンルが和食や旅行なら、なおさらです。たとえば英語の字幕をつける、Instagramの投稿にYouTubeリンクを貼る・TikTokに動画の一部を掲載するなどの方法で拡散するなどの対策がお勧めです。

ポイント10.チャンネル登録者が1万人になったらスポンサーシップを検討

 チャンネルの登録者数が増えれば、インフルエンサーとして企業がスポンサーとして広告料を支払う可能性もあります。たとえばYouTubeでチャンネル登録者が1万人いるインフルエンサーの場合、企業案件なら30万円~が相場となっているようです。

YouTube収益化のため必要な設備・スキル

 YouTubeで収益化を図るには、当然ですが動画の作成がマストです。ここでは動画の作成に欠かせない設備やスキルについて解説します。

設備

撮影用機材(カメラ・三脚・マイク・照明など)

 カメラは一眼レフ・ビデオカメラ・アクションカメラ(体に取り付けられる)の3つがあれば万全ですが、難しい場合はとりあえずビデオカメラを用意しましょう。手ブレを防ぐ三脚も必要です。

 マイクは3,000~10,000円程度のもので十分なので、ぜひ用意してください。屋内の撮影が多い場合は照明も欠かせません。

パソコン

 撮影した動画を編集する際に必要なのがパソコン。編集自体はスマホでも可能ですが、10分以上の動画ならパソコンが最適です。

動画編集ソフト

 動画編集ソフトは無料のもので十分です。「Lightwork」はWindows・Mac共に使えますし、Windows専用なら「AviUtl」、Mac専用なら「iMovie」がお勧めです。

スキル

動画編集

 不要な部分を削除していく「カット」、テキストを入れる「テロップ挿入」、BGMや効果音の挿入、色調補正、音響効果、動画に動きをつける「エフェクト挿入」などのスキルが求められます。

数値分析

 「YouTubeアナリティクス」で数値を確認し、サムネイルクリック率(3~8%取れているか)、視聴者維持率(40%前後取れているか、どこで下がっているか)、顧客流入チャネル(チャンネルにたどり着いた道筋)、インプレッション数(サムネイルの表示回数)、期間分析(期間を区切った分析)などを分析します。

シナリオ作成

 YouTubeのシナリオを作成するコツは、①導入部分は短く、簡潔に②最初に結論を伝えてから理由を説明する③アドリブも入れ自然な流れに④最後は必ずチャンネル登録・関連動画視聴を促す、などです。

YouTube収益化で注意したい点

 YouTubeを収益化するための施策はいくつもありますが、どれも決して楽にできるとはいえません。本気で収益化を目指すからこそ、知っておきたい注意点についてご説明します。

コスト(時間・労力)

 1本の動画を作成するにはシナリオ作成や撮影、編集、公開などの手順があります。これだけのコストをかけるのは気力・体力が必要です。たとえば2時間の動画を10分に編集する場合、15~20時間ほどかかるといわれています。投稿当初の反応が少ない中、コンスタントにこの手間をかけるのは並大抵のことではありません。

収入が不安定

 すでにご説明したように、YouTube収益化にはチャンネル登録者や総再生時間などの条件をクリアしなければなりません。また収益化に成功しても安定しているとは限らず、YouTuberの最多平均月収は5,000~1万円未満となっています。同調査によれば、月に10万円以上の収入があるのは全体の1割程度という結果も。

【平均的なYouTuberとしての月収】(出典)YouTuberの平均月収は「5,000円~1万円未満」が最多/ファストマーケティング調べ 
【平均的なYouTuberとしての月収】(出典)YouTuberの平均月収は「5,000円~1万円未満」が最多/ファストマーケティング調べ 

ライバルが多い

 ライバルが多いこともYouTubeの収益化が難しい理由の1つです。既存の人気YouTuberやタレント、アイドル、芸人など強いアドバンテージを持っているライバルたちと戦って勝ち残らなければ生き残れません。

ネタ切れの不安

 クリエイターには常にネタ切れの不安がつきまといます。いつもネタを探して気が休まらないストレスもあるでしょうし、必死に考えても何一つアイデアが浮かんでこないこともありえます。そこを乗り越える覚悟があるかどうかも、収益化の分かれ道の1つといえます。

 あえて厳しい面をご紹介しましたが、YouTubeの収益化はやり方次第で可能性が高まります。次は人気YouTuberたちから成功の秘訣を学び、必要なポイントをチェックしていきましょう。

人気YouTuberに学ぶ「成功の秘訣」

 現在、日本でトップを占める人気YouTuberたちの動画から成功の秘訣を学びます。

人気YouTuberの成功例

成功例1.Fischer's-フィッシャーズ-

 東京・葛飾区出身、中学校の同級生7人組(現在は6人)の「Fischer's-フィッシャーズ」は、男子中学生のノリで体を張った動画が人気の「思い出系ネットパフォーマー」。YouTuberの総合プロデュース会社・UUUMの強力なバックアップや、スポーツマン、ダンサー、クリエイターなど、多様なバックグラウンドを持つメンバーの個性を前面に出した動画が成功の理由といわれています。

成功例2.東海オンエア

 グループ名の通り、愛知県岡崎市で結成した6人組YouTuber「東海オンエア」。その魅力として企画力を挙げるファンが多いといわれています。たとえば「1500m完走後に牛丼を食べてみた」などは、「どうなるんだろう?」と気になってつい見てしまう……そんな視聴者の好奇心をうまく刺激するテーマです。また投稿頻度が非常に高いのも人気の秘密。メインチャンネルで週に5~6日、サブチャンネルは月に3~4回というハイペースで動画がアップされているそうです。

成功例3.HIKAKIN.

 最近は味噌ラーメンのプロデュースも大きな話題になった、YouTuberの先駆者・HIKAKIN。注目されたきっかけは、ヒューマンビートボックス(楽器を使わず口から音を出して音楽を演奏する技法)の才能。海外の有名ミュージシャンとコラボするなど存在感を増し、やがて動画のテーマを広げていきました。徹底しているのはビートボックスにせよ商品・サービス紹介にせよ、「好きなものを追求する」という姿勢。またYouTuberを目指す人に対し、多くのメディアで「一番難しいのは続けること」というメッセージを送っています。

人気YouTuberの共通点

 日本で高い人気を誇るYouTuberたちには、いくつかの共通点があります。

好きなことに振り切っている

 フィッシャーズや東海オンエアなら「馬鹿なことを楽しみつつ全力でやる」、HIKAKINならヒューマンビートボックスなど、最初は自分の好きなことや得意なことに徹底してこだわる姿勢が共通しています。

コンセプトが明確

 「誰に何を届けるか」を明確に打ち出しており、テーマが一貫しています。またターゲットもきっちり絞り込み、「できるだけ多くの人に見てほしい」という曖昧さもありません。

動画のテンポがよい

 フィッシャーズの動画はTikTokで「#テンポ」のタグをつけて拡散されていますし、東海オンエアはYouTubeで「テンポ感が好き!」などのタイトルをつけて、ファンによるまとめ動画が作られています。HIKAKINもYouTubeチャンネル開設時からどんどん動画のテンポがスピーディーになっているといわれています。

YouTube収益化は難しいが、ポイントを押さえてこつこつ続けよう!

 実際のところ、YouTubeの収益化は楽でも簡単でもありません。しかし「すぐに結果を出したい」「あまりつらい思いはせず、楽しんで収益が欲しい」などの理想におぼれず、現実的な視点で収益化に必要な施策をきちんと理解し、視聴者のニーズを意識した動画をこつこつと作成・投稿していけば、収益化の可能性があります。この記事で動画作成に必要なポイントや注意点などをしっかりチェックした上で、まず第一歩を踏み出してみましょう。

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マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/29 00:00 https://markezine.jp/article/detail/42642

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