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【現地レポ】AI機能群「Breeze」など発表 HubSpotが「INBOUND 2024」を開催 

 米国時間の9月18日、ボストンのコンベンション&エクシビションセンターにてHubSpot社主催のビジネスカンファレンス「INBOUND 2024」が開幕。同社はこのイベントのキーノートや、並行して展開するキャンペーン「Fall 2024 Spotlight」において、HubSpotのプラットフォーム全体を強化するAI機能群「Breeze(ブリーズ)」と、200以上の製品アップデートを発表した。

INBOUND 2024
「INBOUND 2024」で多くのブースがひしめくメインフロアの様子

AIは「促進」に使うものから「変革」に使うものへ

 キーノートで冒頭から登場したのは、同社CEOのヤミニ・ランガン氏。2023年から大きな話題となっているAIについて、「『真の革命だったのか?』などという問いはそれほど重要ではない」と話す。同氏が考える最も大切な問いは「どうやって(事業や自分自身を)成長させるのか」だ。

ヤミニ氏
ヤミニ・ランガン(HubSpot Inc. CEO)

 「検索(サーチ)」「ソーシャルメディア」、そして「カスタマーチャネル」の3つに変化が起こり、「従来の“成長の方程式”は壊れている」と指摘。その解決に活かされるポテンシャルがAIにはあるのだという。

 同社は、AIを何らかの形で業務に導入しているHubSpotユーザー企業数百社に対し、ユースケースや心構え(マインドセット)を尋ねた。そこで学んだのは、現在HubSpotユーザー企業はAIを「acceleration(アクセラレーション、物事の促進)」のために使っているが、今後は「transformation(トランスフォーメーション、物事の変革)」のために使うであろう、ということだ。

AIが作成し、人間が選ぶ。コンテンツの質を向上する活用へ

 現在のマーケティング担当者がAIを使って「促進(accelerate)」している主要な領域として、(1)コンテンツ作成、(2)コンテンツのパーソナライズ、(3)コンテンツの配信の3つがあると説明。2024年、HubSpotのマーケティング部門はAIを使ったコンテンツのパーソナライゼーションにより、コンバージョン率を82%増加させたという。またHubSpotが数ヶ月前にリリースした「コンテンツリミックス」機能はすぐにユーザー企業で活用され始めた。これはブログなど特定形式のコンテンツを、SNS投稿やビデオ、Eメールなど別の形式のコンテンツに変換する機能だ。

 加えて、今注目すべきと伝えられたのが「AIエージェント」。HubSpotはマーケティング領域において、コンテンツを相手に合わせてパーソナライズし配信する「コンテンツエージェント」、SNSコンテンツを分析し、いつ、どこで何をシェアすべきかを提案する「SNSエージェント」、マーケティングキャンペーンを分析し、効果の増大を支援する「キャンペーンエージェント」を提供している。

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 「マーケターが意識すべきは、『AIが作成し、人間がまとめる(精選する)』という役割分担」とヤミニ氏は指摘。「直感に反するでしょうが、AIは『よりたくさんの』コンテンツ作成ではなく、『より質の高い』コンテンツ作成を支援できる」と、AIの潜在的な能力を評価した。

AI機能群「Breeze」を発表 リードのスコアリングなど可能に

 HubSpotの製品担当エグゼクティブ バイス プレジデントを務めるアンディ・ピトレ氏が登壇。同社が展開するカスタマープラットフォーム「HubSpot」においては「使いやすく、事業に即効性がある形で、かつ一元的であること」が開発思想であると改めて説明した。

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アンディ・ピトリ(HubSpot Inc. 製品担当 Executive VP)

 今回はそれを叶えるための最新技術を提供する取り組みとして、AI関連機能の総称である「Breeze」を発表したほか、200以上の新機能の搭載と既存機能のアップデートを行った。

Breeze

 HubSpotのプラットフォーム全体を強化するAI機能群。業務効率化と生産性向上を支援する、HubSpotの新しいAIツール「Copilot」や、各業務領域のタスクを迅速に処理する4種類のAIエージェントとして「コンテンツエージェント」「SNSエージェント」「案件創出エージェント」「顧客対応エージェント」を発表。そのほかに、「コンテンツリミックス」や「売上予測」など、プラットフォーム全体に組み込まれた80種類以上のAI機能がある。

Breeze Intelligence

 CRM上のデータの拡充や購買意欲の評価などを実現するソリューション。たとえば、「データエンリッチメント」は、2億件以上企業および購買者のプロフィール情報をデータベースから取り込み、「HubSpot Smart CRM」上の会社レコードとコンタクトレコードを拡充する。他にも、購買者の興味関心に応じて、適性の高い有望な見込み客特定を支援する機能や、Breeze Intelligenceの既知情報をフォームに自動で挿入して見込み客のフォーム入力作業を簡略化する機能などがある。

Marketing HubとContent Hubの機能アップデート

 AIを活用して1つの動画を複数の動画クリップ、音声コンテンツやテキストコンテンツに変換し、包括的なキャンペーン展開を支援する「動画のコンテンツリミックス」が利用可能に。また新機能「リードスコアリング」では、エンゲージメントの高い有望な見込み客の特定とフォローアップを支援する。「Google 拡張コンバージョン」では、ユーザー企業が持つHubSpot内のコンバージョンデータ(ファーストパーティーデータ)を活用してGoogle広告のキャンペーン効果改善を支援。さらには「マーケティング アナリティクス スイート」によって、マーケティングに関するあらゆる測定指標やレポートに1ヵ所からアクセスできるようになった。

「AIエージェント」を使う/作る時代へ β版サービス展開

 キーノートには、共同創業者兼CTOのダーメッシュ・シャア氏も終盤に登壇。「皆さんのほとんどが、2024年のうちにAIエージェントを使う、それだけでなく、AIエージェントを作るようになる」と予言し、同氏が推進する実験的なプロジェクト「agent.ai」を紹介した。

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ダーメッシュ・シャア(HubSpot Inc. 共同創業者兼CTO)

 agent.aiはAIエージェントのためのプロフェッショナル・ネットワーク。ビジネスチームは将来的に人とAIのハイブリッドになるという考えの基で作られ、数々の業務に特化したAIエージェントを“雇用”できる場となっている。たとえば、マーケターがLPを改善しようとしたとき、コピーの改善、CTAの確認、見出しの調整など様々なスキルが必要になるが、エージェントを活用すると、コンバージョンレートを改善するためのアイデアを多く提案してくれる、という活用イメージだ。マーケターはその中から実行したいものを選んで実行する、という業務フローが実現できる。

 また、agent.aiの機能として提供される「Agent Builder(β版)」は、ドラッグ&ドロップの操作でシンプルなフローを組めば、誰でもエージェントを組み立てられるようになるサービス。GPT 4o、Geminiなど、主要なすべてのAIモデルとツールを使えるのが特長となっている。

 ダーメッシュ氏は、agent.aiをモバイルアプリ普及の足がかりとなった「App Store」のようなものだと表現。エージェントの概念もアプリと同様に今後広まっていくと予見する。「HubSpotはエージェントという概念におけるAppleのような存在を目指す」と同氏は述べた。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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2024/09/19 14:15 https://markezine.jp/article/detail/47009

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