SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

新規の売上に寄与⁉アサヒビールが挑む、ファンダムと商品をつなぎ売り上げに貢献するブランディング

3時間待ちの大行列!購買にも貢献

──コンセプトショップの反響・結果はいかがでしたか。

梶浦:まず、初日の行列がすごかったです。3時間待ちの大行列ができました。ONE OK ROCKさんとのコラボグッズは即完売、ビールの購買にも大きく寄与しました。数値はもちろんですが、ファンダムの熱狂的な空気をリアルで目の当たりにしたのは大きかったです。今後も試行錯誤を続けていきたいですね。

 ONE OK ROCKさんとは、コラボ缶も制作しました。以前からCMソングをお願いしていることもあり、ファンからすぐに反響がありました。これは単なる一過性のタイアップではなく、長く続けているからこそ、購買までつながる深いものになったのだと考えています。

──ファンダムの内側に入ってブランディングを行う際のこだわっている点はありますか。

梶浦:我々がファンダムを意識した施策を行う時、「ファネルの一番下である、購入まで届くか」にかなりこだわっています。

 少し異なる話になりますが、2023年に阪神タイガースが優勝しましたよね。その際に平田勝男ヘッドコーチが、スーパードライの瓶を持って「おつかれ生です」と、全国ネット・テレビでおっしゃってくださいました。その言葉に対し「それはマルエフ(のキャッチコピー)だ」とツッコミが入るというやり取りがあったのです。

 これをテレビで見て私は、「すぐに広告にしよう」と次の週には平田ヘッドコーチにオファー。優勝を祝うCM動画を制作し配信しました。配信の反響はすさまじく、瞬間的に新規の売上が一時的に急増したのです。ファンであれば「おつかれ生です」と平田ヘッドコーチが言っていた瞬間を知っていますし、熱狂が続いているタイムリーな状況で配信できたので、店頭での販売に直結したのだろうと考えています。

阪神ファンは400万人以上いると言われている。タイムリーに配信されたCMは大きな反響と購買につながった
左:アサヒビール、右:アサヒ生ビール(通称:マルエフ)。
平田ヘッドコーチの優勝コメント後、わずか1週間でオファーし、プロモーション動画を撮影・配信。タイムリーに配信されたCMは大きな反響と購買につながった。なお阪神ファンは400万人以上いると言われている。

「ファンたちの文脈をどう作るのか」が鍵になる

──ファンダムの内側に入るために必要なことは何でしょうか。

梶浦:「ファンたち目線の文脈をどう作るのか」が重要なポイントとなってきます。ファンがカルチャーとして共有する文脈をしっかり理解した上で、ファンとアーティストと商品をつなげるストーリーを美しくかつタイムリーに描けた瞬間、実際のモノが動き、さらなる熱狂が生まれていくわけです。

──音楽カルチャーならではの、ファンダムの特性はどういったところにありますか。

梶浦:スポーツは、デジタルよりもリアルが中心です。その場で見たり、リアルタイムで視聴したりして、それらを分かち合い、楽しむことが多いです。

 一方で音楽カルチャーは、デジタルの世界が大きく広がっています。ライブなどリアルで見られる機会は、スポーツと比べるとそこまで頻繁にありません。だからこそ、デジタルを通じてファンが一緒になってアーティストを育てていき、その熱を凝縮してリアルで熱狂する文化があります。

 K-POPなどがわかりやすい例ですが、“推し活”という言葉にも代表される通り、アーティストを応援する文脈に乗り、「今以上にファンを喜ばせることはできないか」を考えていくのが特徴でもあり醍醐味だと考えています。

次のページ
音楽カルチャーの力、企業が活かすには?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

齋藤 ゆう(編集部)(サイトウ ユウ)

大学卒業後、広告代理店に入社しマーケターに。その後、事業会社に転職。金融・美容分野のマーケティング・企画・運営・セールスに携わる。2020年、翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/12/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47086

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング