YouTubeの共同創設者のチャド・ハーレー氏とスティーヴ・チェン氏がGoogleのデヴィッド・ユン副社長とともに約束どおり2月6日に来日し、日本の著作権関連団体と協議を行ったことを、asahi.comやNHKなど複数のメディアが伝えた。
YouTubeは、2006年10月にJASRACやテレビ局をはじめとする日本国内の23の著作権関連団体の要請を受け、著作権者に無断で投稿された動画ファイル約3万件を削除した。しかし、権利侵害の発生をYouTubeが予測して、十分な対策を講じた上でビジネスを行うべきだと考える著作権団体は、2006年12月、あらためて要望書を送付。YouTube側は前向きに対応したいという回答を寄せ、幹部来日を約束していた。
日本側の主な要望は以下のとおり。
1. YouTubeサイトのトップページに、「投稿者本人が著作権を有せず、権利者の許諾も得ないまま映像作品を投稿またはアップロードする行為は違法であり、民事・刑事上の責任を問われる場合があること」を日本語で掲示すること。 ※日本語表記については必要な協力を行う用意がある。
2. 今後アップロードを行うユーザーに対しては、氏名・住所などを登録させ、その情報を保持すること。
3. 私たちの求めに応じ貴社が本年6月以降に削除した映像作品をアップロードしたユーザーが以後投稿できないように、ユーザーアカウントを無効とすること。
これに対してYouTube側は、「できるだけ早く違法投稿への警告を日本語で表示する」、「著作権を保護する技術的取り組みを続ける」と述べるにとどまったという。JASRAC幹部は協議後の記者会見で 「話し合えたことは有意義だが、著作権侵害防止の具体的な成果には満足していない」として、これからもYouTubeとの協議を続けることを明らかにした。
YouTubeが著作権保護のために提供する技術的な対策は、削除した映像が再び投稿されても、自動的に見つけ出して削除するというもの。先日、YouTubeに10万件のクリップ削除要請をしたViacomは、YouTubeが著作権で保護されているクリップを自動的に検出し、著作権者自身が削除するか広告収入を得るかを選択できるフィルタリング・ソフトを開発することを約束していたが、それが果たされなかったと発表している。
また、チャド・ハーレーCEOは、今年1月に行われたダボス会議の席上で、YouTubeで得た収益を、コンテンツを提供したユーザーに分配する用意があることを明らかにしている。今後は、YouTubeがこうした要望にどのように対応していくのか注目される。
参考資料:
「米ユーチューブとJASRAC、テレビ局などが初の協議」 (asahi.com)
「ユーチューブ 削除技術開発へ」 (NHKオンライン)