広告費削減への危機感が募る中、ネット広告への取り組みを強化
全国に広告主が増えている検索連動型広告だが、前回の記事でもお伝えしたように、不慣れなインターネット広告の運用サポートへの要望も強くなっている。オーバーチュアは早くから代理店制度を整えており、これを利用する広告主も多いが、今までは、比較的大きな予算を投じている企業しか利用できないのが実情だった。
しかし、2007年から認定制度が開始された「オンライン代理店」は、中小企業の出稿をサポートするしくみであり、大きな注目を集めている。スポンサードサーチの運用を代行するオンライン代理店には、2009年4月末現在で200社以上が登録されている。
認定を受けることでノウハウを磨き、高付加価値のサービスを
オーバーチュア主催の全国9都市セミナーでも、オンライン代理店制度についての相談が多く寄せられたので、その中から代表的な声を紹介しよう。企業の規模や業種は多岐に渡るが、代表的なのは、ウェブ制作会社と広告代理店だ。
【ウェブ制作会社】
・制作にとどまらない、「集客・運営」への要望が大きいので、これに応えたい
・広告の運用からサイトのリニューアルにつなげていく営業シナリオにも期待できそう
【ウェブ制作&自社メディア運営】
・自社メディアでのスポンサードサーチ運用経験を活かした、コンサルティング事業を検討している
・オンライン代理店になり、さらなるノウハウを身につけることで、しっかりとしたサービスメニューにできるのではないかと期待している
【広告代理店A社】
・お客様に提案しやすい商材の一つと認識している。「やっていないの?」と聞かれることが増えてきた
・代理店のレベルによって、受けられるサポートがどの程度が違うのかを知りたい
【広告代理店B社】
・どれくらい手間をかければ採算が合うのか、ITの知識がどの程度必要かを知りたい
・新分野なので、どこまでノウハウを提供してもらえるか知りたい
既にサービスのひとつとしてスポンサードサーチの運用を行った経験をもつ企業がほとんどだが、特に多いのが「サービスの有用性・将来性は認識しているが、運用を行うことが、『サイト制作の付加サービス』として認識されてしまい、作業に見合った対価に結びつきにくい」という声。オンライン代理店としての認定を受けることで、専門的な教育・情報提供の機会を活用することでノウハウを磨き、スポンサードサーチの運用を確固としたサービスメニューに育てたい意向の企業が多いのだ。
確かに、ウェブサイトを「持つこと」ではなく、「成果を上げること」が目標であるという認識が広がってはいるものの、具体的なプランを描き、自社で実行するノウハウを持つ企業はまだ少ない。販促・広告に関する充分なスキルを持つ制作会社には、今後も多くの期待が寄せられるだろう。また、広告の運用を通じて恒常的なコミュニケーションが行えることで、サイトのリニューアルや新規のキャンペーンなど、新たな商談を発掘しやすいのも大きなメリットだ。
トラディショナルな広告代理店の多くが感じる危機感については、もはや説明不要だろう。ITに関する知識への不安から検索連動型広告の取り扱いに消極的だった企業も、広告主から対応を迫られたことがきっかけで、重い腰を上げつつある。
顔が見える関係がカギに
セミナー後の相談会ではさまざまな質問が飛び交い、参加者の強い意気込みが感じられた。オーバーチュア オンラインセールス&サービス部の福山広樹氏は、地方におけるスポンサードサーチの今後について「人がカギになる」と語る。
「地方のビジネスは、人と人との信頼関係を大切にしたスタイルが中心となっています。直接顔を合わせ、仕事以外の付き合いなども含めた人間関係が出来上がってこそ、ビジネスの話ができるわけです。ですから、オーバーチュア単体というよりも、広告主のビジネスを支援する立場にある広告代理店やウェブ制作会社などを支援する立場としての役割をしっかりと認識し、サポートしていくことが特に大切だと考えています」