ミッション:飲食店の販促活動をトータルサポート、売上高アップに貢献
1996年のサイト開設以来、飲食店情報検索サイトの草分けとして着実な成長を遂げてきた「ぐるなび」。現在、掲載店舗数約50万店、加盟店舗数4万8千店、月間アクセス数8億5千万ページビュー、会員数644万人を誇るメガサイトに発展している。消費者の生活に定着したサービスの裏側を支える重要な役割を果たしているのが、今回ご登場いただく大上隆史氏の務める「販促プロデューサー」という職種である。
「ぐるなび」には大きく分けて2つの側面があり、1つは一般生活者であるユーザーに向けた情報サービスの提供。そしてもう1つが、ぐるなび加盟店として、サイト上で消費者に向けた販促活動を展開している飲食店向けのサービス展開である。大上さんの仕事は、この加盟店向けのバックアップ活動にある。
「販促プロデューサーの役割は、新規および既存の加盟店の顧客満足度の向上です。具体的には、ぐるなび媒体を使った販促活動をサポートし、加盟店への集客効果を高め、ひいては売上アップ、取引高のアップにつなげていくことがミッションです。そのためには、それぞれのお店やエリアがもつ隠れた魅力を引き出し、ポテンシャルを最大化することが必要です」
ポテンシャルを引き出す、と一口に言っても言うは易し。実際の提案活動において、重要な武器となるのが、全国で4万8千店を超える加盟店の発信情報および、ユーザーの検索・閲覧によって蓄積されたエリアごとのデータベースである。
「ぐるなびGON」と呼ばれるこのマーケティングデータを活用することで、該当するエリアに潜むポテンシャルや、競合比較において優れた特長、ブラッシュアップすべき課題点といった具体的な提案内容が浮かび上がってくる。
「有名な事例では、数年前に女性客を中心とするトレンドとして話題になった梅酒ブーム。ぐるなびでは、ユーザーの検索ワードの上昇といったデータ分析から、ブーム到来を早くから予測。「梅酒がじわじわと来ていますよ」という予測をもとに、新規メニューの提案など、加盟店への提案営業に活かすことに成功しました」
バナーなど一定の広告枠を売る媒体一辺倒の営業スタイルではなく、お客様のパートナーとして一緒に改善に取り組み、売上アップに貢献する提案型営業。日々取り組んでいる営業活動の実体と照らし合わせて、最もしっくりくる表現は「飲食店のトータルサポーター」という言葉だという。
「営業の基本ですが、アイスブレイクすなわち、お客様の心を開かせることがいちばん重要だと感じています。これまでうれしかったことは、上司とクライアント先に同行したとき、お客さんから直接上司に「大上君の担当は変えないでくれ」と言ってもらえたこと。上司と一緒だったことで担当変更の挨拶と間違われたのかもしれませんが、信頼されていることが実感でき、本当にうれしかったです」
逆に「悔しかったことは?」との質問には、「提案がうまく伝えられなかったとき。あとでお客様の要望が判明すると、ヒアリング不足で心を開いてもらえなかったんじゃないかと感じ、とても悔しいですね」
営業活動に絶対的な秘訣はなく、基本は「人と人との繋がりから生まれる」との信条もある。「とにかく基本は“足”。いかにエリアに精通するか、いかにお客様に深く入り込むか、全ての基本は頻繁に足を運ぶことだと思っています」
そんな現場主義の大上さんには、加盟店営業部の単位であるユニットを率いるユニットリーダーとしての役割もある。ぐるなびは社員数1500名、うち営業は400名程度の体制。3名から成るユニットが最小単位となり、チームリーダーの下、複数ユニットとデスク、アシスタントを加えたメンバーで1チームを構成している。
「ユニットリーダーは、自身がクライアントを担当するプレーヤーでもあるため、限られた時間でのメンバーとの情報共有や業務分担が悩みどころ。とはいえ、机に向かって黙々と作業ではなく、常に会話を交わしながらの仕事スタイルなので、メンバーとはミーティング以外にも随時、コミュニケーションを取り合っています」
自身がプレイヤーとして日々奔走しながら、ユニットメンバーのマネジメント業務もこなす大上さんの一日を追ってみよう。(次ページへ続く)