消費者に「愛着」を持たせ、ファンを増やすマーケティングが重要とされる時代、味の素「Cook Do」は顧客育成をテーマにしたユニークな施策を展開した。施策内の広告配信・検証には、フェズ社のデータマーケティングソリューション「Urumo Ads(ウルモ アズ)」を活用。単なるリーチやクリックの計測にとどまらず、「購買リフト」や「ライト層からミドル・ヘビー層への構成比の変化」といった指標でも計測し、顧客育成の確かな手ごたえを得た。本稿では両社に取材のうえ、購買データを起点とした持続的な顧客育成手法と「Urumo Ads」の有用性を探る。
「Cook Do」がライトユーザーの「育成」にチャレンジ
MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは「Cook Do」ブランドが抱えていた課題感を教えてください。
油谷:ここ数年はテレビCMなどのコミュニケーションを中心に、新しいお客様との接点を順調に増やすことができています。一方で、常にご家庭に商品を複数ストックし、当たり前の選択肢として使い続けてくれるような、ミドル・ヘビーユーザーを育成する点に課題を感じてきました。
MZ:なぜ、ミドル・ヘビーユーザーが育ちにくい状況だったのでしょうか。
油谷:コロナ禍を経て、家庭の食卓で「手作り回帰」の傾向が高まっている背景があります。新規のお客様に「Cook Do」をもっと普段使いしていただけないかと考え、「ユーザー育成」にフォーカスした新しいチャレンジ施策が「Cook Do これもありでした 99メニュー(以下、99メニュー)」です。
MZ:「Cook Do」を普段使いしてもらうための施策として、99メニューを企画された理由や施策概要をお聞かせください。
油谷:「手作り回帰」の傾向が強まるなか、“身近な食材で作る炒め物”は高頻度で家庭の食卓に並ぶ定番メニューとなっています。当社の調査によると、炒め物には「味が決まりにくい」「達成感が得にくい」といった悩みがあることが見えてきました。そこで「どんな食材でも味が決まる」という「Cook Do」の特長を活かし、これまでの「決まった食材で決まったメニューを作る」という固定観念を覆す、99のアレンジレシピを開発しました。
毎日の食卓を支える炒め物を、その時々で手に入りやすい食材で、もっと自由に楽しんでいただきたいという想いが込められています。ちなみに、「99」は「Cook」にかけた数字。一つひとつのメニューを実食しながら「あり」「なし」を判断し、自信を持ってお届けできる99のレシピを選定していきました。
特におすすめしたいレシピは動画でも発信しており、現在、20本をYouTubeで公開しています。レシピは2025年10月から3回に分けて順次リリース。その都度これらの動画を使ったYouTube広告配信なども並行して実施してきました。

「誰に届け」「行動は変わったか」を精緻に追う「Urumo Ads」
MZ:99メニューでは、YouTubeをはじめとしたデジタル広告の配信・計測・分析にあたり、フェズのデータマーケティングソリューション「Urumo Ads」を活用されています。採用の理由を教えてください。
油谷:「ライトユーザーをミドル・ヘビーユーザーへ育成する」という今回の目的にマッチしていたことが最大の理由です。通常は広くマスをターゲットにした広告を配信することが多いですが、今回は明確なターゲットが定まっていたため、従来とは異なるターゲティングや計測手法を求めていました。
「Urumo Ads」のデータを活用すれば、ライトユーザーを精緻にターゲティングできるだけでなく、広告配信後の購入回数もウォッチ可能です。本当にミドル・ヘビーユーザーへ移行しているのか、明確な指標で定量計測できます。加えて、プランニングから配信、分析、改善まで一任できるフェズのサポート体制にも魅力を感じ、導入を決定しましたね。
MZ:「Urumo Ads」について、改めて教えてください。
鈴木:「Urumo Ads」は、購買データを起点にしたデジタル広告のデータマーケティングソリューションです。YouTubeをはじめ、各種SNSやTVer、Yahoo!などの国内主要広告メディアと連携しているため、媒体を問わず幅広い広告配信に活用可能です。
最大の特徴は、全国47都道府県を網羅するドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなど複数業態における15流通のデータを「横断型」で保有していること。流通ごとに分断されたバラバラの購買データではなく、1つのIDに紐づいた購買データをプラットフォーム横断で活用しています。
それを広告媒体側のIDと突合することで、たとえば「広告接触者は実際に購買したのか、どんなクリエイティブを通じて購買したのか」「広告接触から数ヵ月後、購買はどのくらい積みあがっているのか」など、広告接触者に絞った非常に高精度な検証ができる点や、「特定の商品購買者」や今回ご紹介するような「ブランドヘビーユーザー」への高精度なターゲティング配信が可能な点が「Urumo Ads」ならではのユニークなポイントと言えるでしょう。
単価高騰を防ぎながらターゲティングの質を担保するには
MZ:今回の配信ではライトユーザーに向けたとのことですが、具体的にどのようなターゲットを定義・抽出したのでしょうか。
西内:まずは直近1年間の「Cook Do」購入回数をもとに、ライト・ミドル・ヘビーユーザーの各層を定義しました。そこから今回の対象である「ライトユーザー」のみを抽出して広告配信することも可能ですが、ターゲットボリュームが狭小すぎると配信単価は高騰してしまいます。
そこで活用したのが、「Urumo Ads」ならではの特許技術「セグメントファインダー」です。購買親和性の高いユーザー群を自動選定し、リーチの質と量の両方を担保する機能です。今回の場合は、いわゆる「メニュー用調味料」を購入している層かつ、「Cook Do」の購買率が低い層をシードデータに設定。そのユーザー層がYouTube上でどのような興味関心の傾向を持っているのかを分析し、購買親和性の高いセグメントへも配信することにしました。
加えて、第1弾では媒体データを活用した一般的な「料理興味関心」セグメントへも配信。どちらが効果的か比較検証しました。結果、「セグメントファインダー」を活用したデータのほうが高い購買リフトが見られたため、第2弾、第3弾ではこちらを軸にターゲティングしています。
MZ:ターゲティングを考えるにあたり、味の素として重視した点はありましたか?
油谷:西内さんもおっしゃるとおり、ターゲットが狭いとどうしても単価が高騰してしまうことは、大きな懸念と捉えていました。しかし、「セグメントファインダー」によって質を保ちながら拡張配信することができたため、既存の興味関心セグメントと比べても、単価に大きな差はありませんでしたね。
MZ:ターゲティング以外にも、広告配信にあたり工夫したポイントがあれば教えてください。
油谷:配信途中に計測指標を当初の「動画視聴」から「サイト流入(クリック)」に変更したことが大きなポイントです。当初は1メニューにフォーカスした動画をしっかり見てもらうことがゴールでしたが、「『Cook Do』の懐の深さ」を知ってもらうためには、多くのメニューが並ぶサイトでバリエーションの豊富さを実感してもらうことが大切だと考えました。サイトでは商品、食材、季節からレシピを探せるので、「家にあるこの食材で何を作ろう?」と悩むタイミングに、何度も来訪して参考にできるインデックスのような場所を目指しています。
ミドル・ヘビーユーザーの構成比UP! クリエイティブの成否も「購買」の観点から可視化
MZ:施策を実施した結果、ライトユーザーからミドル・ヘビーユーザーへのシフトや購買リフトについて、定量的な成果は表れましたか。
西内:はい。ID-POSデータを使って、未購入層・ライト層・ミドル層・ヘビー層の人数構成比を毎月定点観測していたのですが、ライト層からミドル・ヘビー層へと割合が移っていく顕著な傾向が見られました。運用改善を重ねたことにより、当初の目的である「ミドル・ヘビーユーザーを育成すること」を果たせたと考えています。
また、「Urumo Ads」ではクリエイティブごとに広告接触者の購買成果を計測することもできるため、これまで「再生回数」で評価されがちだった動画広告に、「購買につながったかどうか」の視点が加わりました。媒体の管理画面だけでは分からない、“購買を起点にした”クリエイティブの良し悪しが見えてきたのは、「Urumo Ads」ならではの成果ではないでしょうか。
MZ:定性的な成果についてはいかがでしょう?
油谷:キャンペーン自体に対してですが、営業部門からは「特定の食材のみならず、様々な食材と幅広く組み合わせられる」というメッセージを発信したことで、売場と連動した展開やPOPでの訴求など、提案の幅が広がっています。これまで以上にバリエーション豊かな店頭でのタッチポイントを創出することに成功しました。

MZ:支援側の視点として、今回の成功要因をどのように分析されますか?
西内:味の素様の企画力やブランド力があったことはもちろんですが、それを単発の施策で終わらせず、年間を通じて複数回取り組めたことも、成功の要因だったと考えます。購買データは一度効果を測って終わりではありません。第1弾の結果を活かし、第2弾、第3弾に反映し続けたからこそ、着実な購買リフトにつながったのではないかと考えています。
“顧客起点”の検証データが、ブランドの「出会う、つながる、はぐくむ」を支援する
MZ:今回の成果や手応えを踏まえて、今後「Cook Do」ではどのようなマーケティングやコミュニケーションに取り組んでいきたいですか。
油谷:「Cook Do」に限らず、これからの時代は商品や会社にどれだけ愛着を持っていただけるかが、ますます重要になってくると考えています。私たちが大切にしているのは「出会う、つながる、はぐくむ」という考え方。お客様と一度出会って終わりではなく、その後も継続的にコミュニケーションを取り、ブランドへの愛着を深めていただく施策を、これからも続けていきたいですね。
「ファン化」を狙う施策では、様々なデータ活用が欠かせません。なかでも「購買データ」は非常に重要なキーだと考えていますので、「Urumo Ads」には今後も期待しています。
MZ:フェズとしては、今後どのような支援を広げていきたいと考えていますか。
西内:今回は「ライトユーザー」への限定的な施策でしたが、マス向けの認知施策でもぜひご活用いただければと考えています。配信自体は媒体データを使ってブロードで安価にリーチしつつも、分析は「Urumo Ads」を使って購買まで追うという活用も可能です。「購買データを起点にデジタル広告、ひいてはマーケティングのPDCAを回す」という観点でも、お役に立てればと思っています。

MZ:最後に、「Urumo Ads」を通じて実現したいことや今後の展望を教えてください。
鈴木:“顧客起点”を追求し、ブランド担当者様の意思決定を本質的に支援するソリューションでありたいです。広告に接触してからブランドや商品特性を認知し、購入を検討し、購買をする、その後ブランドのファンになりリピートをするまでの流れを一気通貫のデータで示すことができれば、PDCAを回しやすくなったり、コミュニケーションの精度が高まったり、経営層へマーケティング成果を説明しやすくなったりと、あらゆるメリットをマーケターのみなさまへ提供できるでしょう。

今後は「Urumo Ads」で活用している購買データと様々な外部データを掛け合わせながら、単に「買ったかどうか」だけでなく、「なぜ買ったのか」「購入者はどのような属性なのか」「なぜライト層にとどまっているのか」といった購買行動やそれに至る行動・態度の“背景”をさらにクリアにしていきたいと考えています。深く消費者の声を探り、そこからブランドが勝てる戦略を立案~実行まで担える、そんなソリューションを目指して成長を続けていきたいですね。
「Urumo Ads」に関するお問い合わせはこちら:お問い合わせページ
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安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)
Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:株式会社フェズ
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