ソーシャルメディアの台頭によって変わるオンラインマーケティング
セッションの冒頭では、ユニバーサル・オーランド・リゾートのプロモーション事例をもとに、サーチマーケティングやソーシャルメディアのパワーについて紹介されました。
その事例は、今年オープンする「ハリー・ポッター」テーマパークの広報手段にマスコミを一切使わず、ブロガー7人を使って大成功させたという物です。
マーケティングを担当しているシンディ・ゴードン氏は、有名ブロガー7人だけを極秘のウェブキャストに招待し、テーマパークの情報を流しました。ウェブキャスト後に7人のブロガーがテーマパークについて記事を書いたところ、フォロワー達がその記事についてのブログを次々と書き、そのうちメディアの目にも留まって、たった24時間で3.5億もの人々が、ハリー・ポッターのテーマパークがフロリダにオープンする事を知りました。
日本のリサーチでも、「ウェブサイトの情報よりも家族や知人の話を信じる」という結果を目にしますが、口コミ効果を狙ったバズマーケティングが大成功した例ですね。
次に、スコット氏は来場者に対して簡単な調査を行いました。質問と結果は次のようなものでした。
- DMやチラシを見て注文した人はいますか?
⇒会場の4%弱が挙手 - テレビや新聞のようなマスメディアで欲しい商品やサービスについて調べた人はいますか?
⇒約22%が挙手 - イエローページの様な電話帳やタウン情報誌を使った人はいますか?
⇒手は挙がらず、笑い声が上がる - グーグルなどの検索エンジンを使った人はいますか?
⇒100%が挙手 - (ソーシャルメディア、電子メールなど)オンラインで繋がっているネットワークを使って欲しい商品やサービスについて調べたり、質問した人はいますか?
⇒約85%が挙手
会場では、情報収集にチラシやテレビなどのメディアよりも、検索エンジンやオンラインの情報を利用している人々が多いという結果がでました。デジタル/サーチ関係のカンファレンスだから、このような結果が出たのではなく、実は同氏が今まで講演してきた世界各国の会場で、似た様な結果が出ていると言います。会場で流されたビデオでは、本当に同じような結果がでていました。
また、ボストンの歯科医の事例を取りあげ、オンラインマーケティングでは、会社の大きさに関わらず成功する可能性がある事も説明されました。
この歯科医はイエローページ(電話帳)の広告に毎月2,000ドルを投資していましたが、その効果(価値)に不満を持っていました。当時の業績は年収約15万ドル。
ある日「ヘルシー・スマイル」というブログを立ち上げ、歯や口内の健康と性生活との関係についての電子書籍を無料で発刊。無料のため、ドンドンと読者が広がり、あちこちで話題になりました。このブログはニュースにもなり、「Boston cosmetic dentist」というキーワードでの検索結果第一位にランキングするようになりました。
その結果、100万ドルの年商をあげる企業に成長し、もうイエローページに広告は出稿していません。
他のブロガーや代理店に頼らなくても、自分でオンラインマーケティングはできるという例ですが、ブログを書くにしても本を出すにしても、口コミ効果を狙えそうなトピックが何か、それをどう書くかがポイントですね。読み手や顧客がどんな話題を求めているかを考え、ブログやツイッターやコミュニティなど、顧客がどこに集まっているのかを考える事が成功の第一歩だと思います。