SEOを取り巻く状況に変化が
私がこの原稿を書いている今(2007年4月13日現在)、Googleで「インターネット広告代理店」と検索すると、1位に掲載されるのは「アイレップ」のサイトだ。この瞬間、私以外の誰か、つまり世界中の誰であろうとGoogleで「インターネット広告代理店」と検索すると「アイレップ」が1位に表示される。当然ながら自然検索1位に掲載されるWebサイトは「ビュースルー/クリックスルー」が高いわけで、SEOに関心のあるマーケティング担当者であれば検索順位は少なからず気になるだろう。
また、「順位が全てだ。5位よりも4位、3位よりも2位。SEOはアウトソースしているけれども順位が上がらないなら金は払わない」という人もいるだろう。しかしごく近い将来、そんな「順位を中心に考えるSEO」は世の中から消えてしまうかもしれない。その理由をGoogleが推し進める「パーソナライズド検索」、Yahoo!が掲げる「ソーシャル検索」の2つの視点から説明していこう。
Googleが推し進めるパーソナライズド検索
Googleは2004年3月29日、米国でパーソナライズド検索のベータ版を公開した。その後2005年11月にサービスが正式版としてリリースされるが、昨年までパーソナライズド検索の利用はユーザの任意だった。つまり、Googleアカウント取得時点でパーソナライズド検索は無効(オフ)に設定されており、使いたい人だけが機能を有効(オン)することで利用できた。それが2007年2月より、Googleアカウントを新規取得したユーザはパーソナライズド検索が標準で有効となったのだ。
つまり、今後Googleアカウントを取得したユーザ、かつ、自らパーソナライズド検索はいらないという意志を示して機能を無効にする(間違いなく)少数のユーザを除いて、みんながパーソナライズド検索を利用するようになるということだ。
ここで「パーソナライズド検索」について説明しよう。ユーザの検索体験を向上させるためには、検索会社はレリバンシー(関連性)を改善、つまりユーザが探し求めている情報をいかに検索結果に表示できるか、その技術精度を高めることを追求していく必要がある。その主たるアプローチは「ユーザのクエリインテント(検索の意図)を正確に把握する」ということ。そして「Webページのコンテンツを適切に把握・理解・評価する」ということがあげられる。
ユーザが何を探し求めているかを正確に把握できれば、何が検索候補として適切であるかが判断できるし、逆にどのページが何について記述されているかを正確に把握できれば、検索クエリのインテントに応じたWebページの取捨選択が可能になるということだ。ところでパーソナライズド検索は前者のアプローチ、「クエリインテントを正確に把握する」ことを目指している。具体的には、ユーザの過去の検索履歴から興味・関心・傾向を推定し、あいまいな検索キーワードが入力された時に適切な検索結果を表示することが可能になる。
例えば、普段から車に関する情報を収集しているユーザがある日「プリウス」と検索した時には、そのユーザは日立のパソコン「プリウス」を探しているのではなくて、トヨタの「プリウス」を探していることが推定される。したがって検索においては、パソコン関連の情報を押し下げる一方で、車のプリウスの情報を検索上位に表示させることで、そのユーザに対するレリバンシーを飛躍的に高めるということが可能なのだ。
これがGoogleが推し進めるパーソナライズド検索だ。では、Yahoo!の「ソーシャル検索」とはどのようなものなのだろうか。