檀上には、アメリカ合衆国国務省のジェフ・ジャクソン氏、O2 Irelandのターニャ・タウンゼント氏、LDS Churchのヴィッキー・バード氏、KnowledgeVision のマイケル・コロウィッチ氏が登壇し、動画のライブ配信をどのように活用しているのか、またその効果はどうなのか、といった点について意見交換がされた。
アメリカ合衆国国務省のライブ動画活用
日本の外務省に相当するアメリカ合衆国国務省は2010年1月より様々なイベントのライブ配信を行っている。
バラク・オバマ政権下ではヒラリー・クリントン女史が国務長官を努め、様々な外交施策を行っているが、2010年1月にヒラリー氏が行ったInternet Freedomというスピーチが記念すべき最初のライブ配信を行ったイベントである。
「2010年はライブ配信をパイロットプログラムと位置づけ、今年からは平均月間3回と定期的に行っています。ライブ配信を初めてから5か月でサイトへのトラフィックは2倍になり、オンデマンドで公開している動画へのトラフィック増にもつながっています」とジャクソン氏は語った。
ユニークビジター数ではなく新規のビジター数も大幅に伸ばし、これまでリーチできていなかった層へのリーチが確実にできていると感じているという。
また、ライブ配信後にサイトのトラフィックに与える好影響については、brightcove PLAY初日のキーノートでもジェレミー・アレイヤ氏が語ったトレンドに合致しており、その他のパネラーからも同様の効果が得られているという意見が目立った。
アメリカ合衆国国務省では、これまでも国務長官のスピーチだけでなく公聴会の模様や各地域での講演などをアーカイブし、オンデマンド形式での配信を行っていた経緯はあるが、ライブ配信の要望が多かったという。
ライブ配信はオンデマンドに比べ、手間やリソースがかかるのではないかという省内での危惧があったそうだが、実際にやってみるとオンデマンドでの動画コンテンツの制作に比べ10%程の手間で済んだそうだ。
これは技術の進歩や省内のネットワークの環境整備に加え、brightcoveのようなオンライン動画プラットフォームの採用による作業工程の軽減化、標準化が大きく寄与していると明かした。
一方、ライブ配信コンテンツへの集客には国務省のサイト内での告知だけでなく、Facebookページを大いに活用している。
ライブ配信開始前の告知だけでなく、ライブ配信が視聴できる動画プレーヤをFacebookだけでなく、関係省庁のページやブログ、USATodayやNew York Timesなど主要なニュースメディアとも共有し、告知を行っているようだ。
主要なニュースメディアでbrightcoveが採用されていることも、ライブ動画の共有を簡単にしているひとつの要因であると語った。
国務省のサイトは、現在総時間数で計算すると、250万分の動画コンテンツが公開されているがその約10%はライブ動画配信であるという。今年の夏にはスマートフォン向けのアプリも公開する予定で、ソーシャルメディア上での拡散をさらに拡大していく戦略を引き続き行っていくことを述べた。
また、今後は米国で普及を見せ初めているセットトップボックスや、スマートフォンに向けても積極的にライブイベントの配信を行っていきたいとした。