ソーシャルメディア販促は、直接販売以外にも高い効果を発揮
そもそも、「ソーシャルメディア販促」の定義とは何だろうか。EC連動や実店舗への集客に加えて、商品開発、サイト誘導、顧客サポート、ブランディングなども、最終的には販売促進につながる。そこで本連載では、商品・サービスの直接販売だけでなく、こうした広い意味での販促もまとめて、ソーシャルメディア販促と定義したい。
- EC連動
- 実店舗への集客
- 商品開発
- サイト誘導
- 顧客サポート
- ブランディング
ソーシャルメディアを販促に使うことには、主目的以外にも様々なメリットが得られる可能性がある。ファンやフォロワーが多いことが検索結果に影響したり、「いいね!」やリツイートなどによる拡散効果、口コミの力などが期待できるだろう。
また、それぞれのソーシャルメディアごとユーザー層は異なる。そのため、戦略に合わせて、ターゲットにマッチしたソーシャルメディアを選んだり、複数のソーシャルメディアを組み合わせることにより、販促の効果はいっそう高まるだろう。
各ソーシャルメディアのユーザー層についての最新データは、各社が投資家向けに公表している最新の決算報告、広告代理店・クライアント向けに発行している媒体資料、専門家や企業などが発表しているレポートを参考にするとよい。
ソーシャルメディア販促に向く業種、向かない業種
とはいえ、すべての商品・サービスでソーシャルメディア販促が効果的に動くわけではない。リチャード・ヴォーン氏の製品関与マップをベースに、ソーシャルメディア活用と商品・サービスの相性を考察しよう。
商品には、高関与(購入の際の検討時間が長い商品)、低関与(購入の際の検討時間が短い商品)、論理的(検討が論理的)、感覚的(検討が感覚的)という軸があると考えられる。
ソーシャルメディアにおいてユーザーは、友人・芸能人などからのリコメンド、企業アカウントやFacebookページなどから情報を得て購入に至る。こうした購入がもっとも効果的なのは、感覚的な検討が重視される商品であり、他人の判断を参考にしたいものであり、価値観を表現するもの。つまり、衣料品やコスメ、IT家電など、「感覚的、高関与商品」がソーシャルメディアに適した商品分野ということになる。
家や車などの論理的な検討が必要な商品や、ブランドがそれほど影響せずあまり頻繁に買い換えられることがない冷蔵庫や洗濯機、クーラーなどの白物家電、性能やブランドではなく安さが求められるトイレットペーパーや灯油などの消費物にはソーシャルメディア販促はあまり向いていないというわけだ。
ただし、販促をもう少し広義にとらえた場合は、向いている業種・業態は一気に広がる。
IMJモバイルの「Facebookに関する企業とユーザーの意識調査」によると、小売りや実店舗型は他の業種に比べ、「購買促進」「店舗誘導」に効果があるという。食料や衣料などの生活消費財メーカーは、他の業種に比べ「関心喚起」「顧客ニーズの吸い上げ」の効果を実感している。自動車や家電メーカーなどの耐久消費財メーカーは様々な効果が得られるが、主にユーザーからの反応が見られる場として使われることが多い。
一方、あまり向いていないと考えられるのは、不動産や美容、金融などのサービス業だ。他の業種に比べ、目に見える効果が現れづらいという。
ただし、これらのデータはあくまでデータに過ぎず、向いているとされる業種でも使い方を誤れば効果は現れないし、向いていないとされる業種でもうまく使えば高い効果が得られることもあるので、あくまで一般的な傾向と考えるべきだろう。