新人記者から出世していく、記事タイトル投稿ゲーム「キジネタ」
プレスリリースは、メディアに記事として取り上げてもらうために発表するもの――。マーケティング担当者のそんな認識は変わるべきなのかもしれない。プレスリリース配信・掲載サービス「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMESは4月24日、ユーザーに記者気分を楽しんでもらえる記者育成ゲームサイト「キジネタ」をリリースした。
このサイトの特徴はゲーミフィケーションの機能により、プレスリリースを楽しみながら見てもらえるところ。キジネタにユーザー登録すると、最初は「キジネタ」の新入社員として扱われる。ユーザーはPR TIMESで配信されているプレスリリースに対して、記者になったつもりで自分なりの記事タイトルを付けてTwitterやFacebookに投稿。ログイン数や投稿数に応じて賞や称号を獲得し、昇進していくしくみになっている。
プレスリリース配信サービスでは、一般ユーザー起点の情報拡散も無視できない
TwitterやFacebookなど、情報拡散力のあるソーシャルメディアが台頭してきたことで、企業にとっても一般ユーザーの情報発信力は無視できなくなっている。PR TIMESでも、おもしろいプレスリリースが出てくるとTwitterなどでかなり話題になるという。
「PR TIMESのサイトに掲載されたプレスリリースは、そのページ内からツイートできるようにしています。内容次第でツイート数は大きく違いますが、中にはわずか数時間のうちに数百ツイート、合計数千を超えたプレスリリースもあります」とキジネタを担当するPR TIMESの山村京子氏は例を挙げる。
「プレスリリースはもともと、メディアの記者の方が情報を探すために見るものでした。それがソーシャルメディアの普及によって、一般の方が起点になってソーシャルメディア経由で情報が拡散し、多くの人の間で情報が共有されることも増えてきています。
一般の人もプレスリリースを見て、拡散してもらえるのは、企業側にとって望ましいこと。一般の人からも、企業からも、喜ばれるサービスになるようキジネタを開発しました」と山村氏は語る。
賞・称号を集める楽しみも。興味のあるカテゴリ分析機能を備えたマイページ
ではここで、キジネタの機能について紹介していこう。まずユーザー登録すると、ポップアップで「入社おめでとう! これからの君の活躍に期待しているよ」と表示され、マイページに遷移する。マイページには、自分の今の肩書きのほか、過去の投稿数などが表示される。
新入社員の任務は、配信されているプレスリリースに、自分なりの見出しを付けて、TwitterやFacebookに投稿すること。PR TIMESで配信されるプレスリリースはどれも、「食品・飲料」「インテリア・雑貨」「スポーツ」「ゲーム・ホビー」などのビジネスカテゴリがタグ付けされている。マイページには、自分が過去にどんなカテゴリのニュースに反応して記事タイトルを付けてきたのかを集計して円グラフで表示してくれる機能や、ライバルになりそうなユーザーを抽出・表示する機能も実装されている。
マイページでは、過去に自分がキジネタ内で受賞した賞や称号も確認できる。賞や称号は投稿数やログイン頻度といった自分の行動によって獲得できるものもあれば、自分の投稿を見た人の反応などによって与えられるものも含まれている。
賞や称号を獲得するヒントは、マイページの中に掲載されている。「まずはこのタスクをクリアしてみよう」とマイページ内で勧められた行動をすれば、賞や称号を入手できるようになっている。
ネタを見つけやすいよう、独自のアルゴリズムでリリースの表示順を決定
PR TIMESのサイトでは最新のプレスリリースが先頭に表示されるが、キジネタでは独自のアルゴリズムに基づいて表示順が決まる。表示される順番は、プレスリリースのツイート数やプレスリリースが配信された時間、キジネタ内で「特ダネ」された数などから算出されるしくみになっている。
「メディア記者の方々は、情報価値を考慮されますが、それ以上に情報の鮮度も重視します。ですから、PR TIMESではプレスリリースを配信順で表示するようにしています。
一方でキジネタは、一般の人にプレスリリースを楽しんでもらうためのサイトです。一般ユーザーなら、そこまで鮮度は重要ではなく、おもしろい情報であることの方が大切です。PR TIMESとキジネタとで表示順を変えているのは、そうしたそれぞれのニーズに応えるためなのです。」
記者目線でタイトルを付けるおもしろさを感じてもらえた
実はキジネタは、当初はゲーム機能がなく、記事タイトルを投稿する機能だけのキャンペーンサイトとして、2月27日にリリースされていた。投稿した人の中から、抽選で50人に1万円分のQUOカードをプレゼントするキャンペーンを実施したところ、予想を大きく上回る反響があった。キャンペーンで手応えを感じたことから、機能を拡張して今回のリリースにつながった。
「キャンペーンに参加してくれたユーザーのタイトルを見てみると、『コメントを付けるような感覚でタイトルを付けてくれているな』と感じました。
普段のつぶやきに近いタイトルもありましたが、リリースをザッと読んで、自分が『おもしろい』と感じたところを抽出して記事タイトルをつけている人も多くいました。記者が情報を探すときと同じ目線で楽しんでもらえたようなので、ねらいどおり、記者になった気分を味わってもらえたのではないでしょうか。」
企業とメディアをつなぎ、「企業と生活者」の関係を強化する役割を担いたい
キジネタを利用してもらうことで、一般の人にもプレスリリースをより身近に感じてもらい、プレスリリースを発信する企業にとってもプラスに働くようにしたいと山村氏は話す。
「3月にはPR TIMESのサイト全体のPVが125万を超えました。メディアの記者の方々にご利用いただいているのもありますが、ソーシャルメディア経由で一般の方にも見ていただけるようになったことが、PV増加の要因だと考えています。
一般の方にさらに使ってもらえるようになれば、PR TIMESのサイト価値が上がることになります。サイト価値が上がれば、プレスリリース配信・掲載のサービスを使っていただいているお客様に、PR TIMESを使う新たなメリットを感じてもらえるはずです。
今回は一般の人にもっとプレスリリースを楽しんでもらうために、ゲームの要素を取り入れましたが、今後もほかのアイデアや、PR TIMESのサイト価値を上げられるような企画があれば、別の方向性にチャレンジしていくかもしれません。」