検索結果でサイトの安全性を伝える「ベリサイントラストシール」
「ベリサイントラストシール」(※)は、ベリサインがウェブサイト運営者の実在性を確認し、マルウェアスキャンの結果問題がなかったウェブサイトに表示される「ノートンセキュアドシール」を使うことができるサービス。マルウェアが見つかった場合はシールが表示されなくなり、管理者に通知が届くしくみになっている。
※このトラストシールはベリサインサーバ証明書全製品に無料で付いています。
このサービスのユニークな点は、サイト上に「ノートンセキュアドシール」を表示できるだけでなく、Google、Yahoo!、Bing、gooなどの検索結果ページで、ウェブサイトのリンクの横にそのサイトの安全性の目安となるチェックマークを表示すること。これを「シールインサーチ機能」という。下図はgooでの検索結果だが、一番下のリンクに黄色と黒のチェックマークが付いているのが確認できる。
インターネットにおける安全の目印として認知されたマークは検索ユーザーの視線を集め、リンクのクリックを促進する効果も持っている。マークを表示した結果、アクセス数が増えるといった成功事例も多く出ているという。
ちなみに、goo、OCNウェブ検索、BIGLOBEウェブ検索、Exciteウェブ検索は、ブラウザにプラグインをインストールしなくても、検索結果にこのマークを表示してくれる。Google、Yahoo!、Bingでは、「ノートン インターネットセキュリティ」や「ウイルスセキュリティZERO」などのプラグインをインストールする必要がある。
検索結果ページで自社サイトの安全性をアピールできるこのサービス、SEOサービスで知られるアウンコンサルティング社に実際に利用してもらい、SEOの専門家の眼から見たその特徴と効果について語ってもらった。
タイプの異なる3つのサイトに導入
MarkeZine(以下MZ):今回は、アウンコンサルティング R&Dグループ チーフアナリストの古川慎太朗氏に、実際にトラストシールを導入し、効果を検証していただきました。まず最初に、古川さんはアウンコンサルティングのSEOサービスにおいて、どのような役割を担当されているのでしょうか。
古川:弊社のコンサルタントは1件1件のお客様をサポートしているのですが、私は弊社でご支援させていただいているすべてのお客様の順位などの推移を見て、グーグルの全体のアルゴリズムが今どう動いているのかという分析を行い、それに対する対応を考える立場になります。
MZ:今回、SEOの専門家の方にトラストシールの効果を検証していただくということで、実際にサイトに導入して2週間にわたって検証していただきました(※)。
古川:導入したのは、弊社が運営している3つのサイトですが、導入にあたっての登録作業は思ったより簡単でした。SSLサーバ証明書の審査と同じく、会社の実在性確認が入るので、それに3~4日かかりました。
MZ:今回、検証に使われたサイトについて紹介していただけますか?
古川:1つ目は「SEO-ch(SEOチャンネル)」というサイトで、これはSEOの情報ポータルサイトです。2つ目の「Global Marketing Channel」は、弊社が注力している海外向けウェブマーケティングの情報サイトです。最後が「More」というサイトで、これは台湾や韓国に旅行に行かれる方が、現地で使えるマッサージや占い、レストランのクーポンを見つけることができる、旅行クーポンサイトになります。
MZ:それぞれテーマも対象ユーザーも異なるサイトですね。どのような検証結果になったのか楽しみです。
B2BとB2Cでは、トラストシールの効果に違いが
MZ:導入後2週間の検証期間ののち、そのデータをもとに3サイトにおける効果を分析していただきました。その結果から、トラストシールの効果について、どのような感触をお持ちになりましたか?
古川:大掴みにサイト全体の訪問数、訪問ユーザー数を初めて見たときは、さほど急激な変化は見られないという印象でした。ただ、追加検証してもう少し掘り下げていくと、ブラウザにプラグインを入れなくても検索結果画面にマークが出るケースを中心に、クリック率に変化が見られました。特にB2C向けのサイトである「More」ではその傾向が見られたのかなと思います。
MZ:具体的には、どのような数値に変化が見られたのでしょうか?
古川:「More」では、「not provided」(※)が導入後の訪問者数増を支えていました。この数値が従来から見られる検索キーワードの訪問増を上回ったということは、導入後は以前よりもさらに幅広い新規検索キーワードからの集客増に効果があったと言えると思います。
総じて「検索キーワード数の多いサイト=C向けサイト」ほど、トラストシールによるロングテールSEO効果が出やすいということが言えると思うので、トラストシールはどちらかというとC向けに有効なのではないかという印象です。
MZ:なるほど。B2CとB2Bで違いが出たというところが興味深いですね。では、「SEO-ch」と「Global Marketing Channel」の2つのB2Bサイトについてはいかがでしょう。
古川:B2B向けサイトについては、もう少し調査期間を長くとれればより正確なデータを出せたのかなと思います。ただ、C向けサイトで有効な結果が出たので、今後できればB2B向けサイトでしっかり検証をしてみたいですし、そうする価値があると思っています。
Googleのウェブ検索を、ユーザーがGoogleアカウントにログインした状態で利用している場合は、流入キーワードを取得することはできない。そのことを表すのが「not provided」である。
SEO施策を考えるときに大切なこと
MZ:トラストシールというサービスを実際に使ってみて、SEO施策のひとつとしてどのように評価、あるいは課題を感じられましたか?
古川:SEOというと「これをやれば順位が上がるんだ」と単純に考える方が多いと思うのですが、タイトルタグを変える、スニペットに表示されるmeta descriptionタグ(※)の文章を変えてクリック率を上げるというのも、重要なSEOの一部です。
SEOの効果に加えて、やはりサイトにアクセスする前にアクセスしても安全かどうかを確認できる点も評価できますね。SEO施策を逆手にとって悪意のあるサイトに誘導しようとするサイトも存在しますが、このマークが表示されていれば、それらの悪質なサイトとは明らかに違うということが簡単にわかります。ユーザーフレンドリーなサイトであることをアピールすることもできるのではないでしょうか。
プラグインなしでトラストシールが表示される環境がさらに増えれば、さらに有効な検証ができるだろうと期待しています。
MZ:競争が激化するSEOの世界ですが、サイト全体のクオリティを向上させ、それをアピールすることで、結果として検索順位も向上するという大きな視点を持つことは大切ですね。
サイトの説明を記述するHTMLのタグ。ここに記した情報が検索結果ページに表示される。
「このマーク、意外と目立つんです」
MZ:最後にSEOの専門家としてではなく、ネットユーザーとしての古川さんにも、トラストシールについての印象をおうかがいしたいのですが。
古川:そうですね。一人のネットユーザーとして言いますと、実はサイト内にこのベリサインのマークが出てきても、そんなに気にならないのかなと思っていました(笑)。それが導入してみると意外と目について、「あ、ベリサインのマーク付いてるな」と意識するようになりました。
印象としては、サイトとして安心のレベルが上がった感覚がありました。開設したばかりの新しいサイトで信頼性が不明なサイトの場合でも、このマークが表示されていると、一気に安心感が上がる印象がありました。このマーク、思った以上に目立つんです。
MZ:それは、実際に導入してみないとわからないポイントですね。今回はサイトの安全性をアピールすることでSEOに活かすベリサインのサービスを検証していただきましたが、このように多角的にSEOに取り組むことは今後も重要になっていきそうですね。