四者四様のビッグデータの定義
今年で4回目の開催となったアドテック東京。今回、初めてアドテック東京のトラックに登場したテーマが「ビッグデータ」だ。このセッションでは、様々な立場のパネリストの4人が、各々が思い描くビッグデータの可能性について語っていく。会場内は立ち見が出るほどの人気セッションで、参加者のビッグデータへの関心の高さが実感できる。
「みなさんが考えているビッグデータってそもそも何ですか」とモデレーターの本間氏はセッションの口火を切った。
「ゼンリンと聞くと地図の会社と思われる方も多いと思いますが、弊社はその地図データをつかって、Webやモバイルでサービスをつくっている会社です。位置情報をクライアントの店舗売上データなどと組み合わせて、販促の最適化やビジネスプロセス改善のお手伝いをしています。位置情報に関連づけられたあらゆるデータが我々の考えるビッグデータということになります」(足立氏)
「ネクストはホームズという不動産ポータルサイトを運営している会社です。媒体社と広告主の2つの立ち位置があります。媒体社として売上はおよそ100億くらい。一方でネットやテレビなど全部含めて30億以上広告宣伝費費を使っているスポンサー側でもあります。
まず、メディアとして持っているデータとしては、つまり一番のビッグデータはクライアントデータです。370万件にのぼる物件情報ですね。それから二番目としては利用者のデータで、およそ390万人です。
結果として売上拡大につなげていけるように、オーディエンスデータをうまく活用しながら、アトリビューション分析を行い、より効率的にユーザーがアクションを起すようにしていきたいです」(井上氏)
「弊社はモバイル広告を中心にやっている会社です。保持するデータとしてはKDDIのユーザーである3,500万人の契約者情報、あるいは、その使える使えないは別として位置情報や行動履歴情報などを持っています。
私が考えるビッグデータは、あくまでこれは私個人の考えですが、まずはオウンドメディアきっちりと可視化することですね。ユーザーがどのような経路をたどり、どう行動しているのか、これをきちんと可視化していくことが重要です。デバイスはますます多様化していきますし、まずはそこが起点になると思います。
オウンドメディアからわかるものはもっといっぱいあるはず。それをさらにオリジナルデータとして使ってくこと、つまり他社にないものをつくりだすことが一番重要です」(大朝氏)
「当社は広告プラットフォームの会社をやっていて、DSPやSSPなどの広告プラットフォームとして、だいたい6,000万人くらいのユニークオーディエンスのデータを国内で保有しています。そのデータを使って、媒体社と広告主にプラットフォームを提供しています。
ビッグデータで何が変わったかというと、膨大なデータを解析することで、結果がいきなりでてくる、そういう新しい世界が生まれています。今まで仮説であたりをつけて、それほどビッグではないデータを検証していたが、それがビッグデータになると、そもそも最初に仮説が必要なくなりました」(渡辺氏)