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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

イベントレポート

カオナビとGROOVE Xはコミュニティをなぜ重要視するのか。経営陣とJAWS-UGの発起人が語る

 日本でコミュニティマーケティングが広がり始めて約10年。ユーザーとの継続的な関係構築を通じて、ブランド価値向上や顧客創造を実現している企業は増えつつある。2025年6月に初開催された「Community Marketing Conference 2025」には、コミュニティマーケティング推進協会 代表理事の小島英揮氏をモデレーターに、株式会社カオナビ執行役員COO・最上あす美氏、GROOVE X 株式会社代表取締役・林要氏が登壇。コミュニティ活用の最前線に立つ企業のCxOたちが、経営視点からコミュニティの価値を再確認し、変化の時代における企業成長の中核としての可能性を探った。

2万人規模でも専任者1名で。コミュニティのスケーラビリティ

 日本におけるビジネスコミュニティの黎明は2006年頃に遡る。一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会代表理事で、Still Day One合同会社代表社員、株式会社ヌーラボ取締役CROの小島英揮氏は、自身が関わってきたコミュニティの変遷を振り返りながら、その価値創造プロセスを解説した。

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小島英揮氏
パラレルマーケター/シリアルコミュニティビルダー。一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会代表理事、Still Day One合同会社代表社員、株式会社ヌーラボ取締役CRO。株式会社primeNumber社外取締役も務める

 「IT業界には元々たくさんのコミュニティがありましたが、ほとんどはメーカーがあまり関与しない、自然発生的なものでした。しかし2006年に私がAdobe在籍時に作ったFlexユーザーグループ『FxUG』、2010年から始まったAWSユーザーコミュニティ『JAWS-UG』などが出てきて、ビジネスとコミュニティの関係の潮目が変わってきました」(小島氏)

 特にAWSユーザーコミュニティの成長は驚異的だった。2010年2月に行われた勉強会の初回に120人の参加者が集まったというが、2023年には全国60拠点、年間400以上のイベントを開催し、延べ2万人が参加する規模に成長している。注目すべきは、この巨大なコミュニティを専任者1名で運営していることだ。「コミュニティマーケティングはスケーラブルで、サステナブル。この数字がそれを表しているのではないか」と小島氏は語る。

 この成功に至るまでには15年という時間と、様々な試行錯誤があった。2009年のAWS日本法人設立当時、クラウドサービスに対する理解は低く、国産を重視する風潮もあったため、市場開拓は困難を極めた。

 しかし、現在AWSの売上は、当時の日本のサーバー市場におけるTAM(Total Addressable Market)約6,000億円を上回っているとみられている。単に市場シェアを獲得しただけではなく、新たな市場創造を実現したということだ。

ターゲットの想起集合に入っていないと、問い合わせすら来ない

 コミュニティマーケティングの本質は「想起」の獲得にある。小島氏は、広告や従来のマーケティング手法では限界があることを指摘し、顧客同士のインタラクションの重要性を強調した。

 「どんなに広告を投下して商品をプロモーションしても、お客様は受け取りません。従来のような『認知を取れば購買につながる』という構造は、もはや機能していないのです。現在は購買後のお客様が情報を共有し、次のお客様の購買行動に影響を与えるCtoCインタラクションの時代。これはBtoBのビジネスでも同様でしょう」(小島氏)

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 「口コミやUGCによってお客様の想起集合に入っていないと、問い合わせすら来ないでしょう。そんな中で想起のきっかけになるのが、お客様の集団であるコミュニティなのだと考えています」(小島氏)

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 このような背景から、小島氏は2023年にコミュニティマーケティング推進協会を設立した。同協会では、コミュニティマーケティングを「知っている」から「できる」「成果につなげる」へと押し上げる支援と、自社にはまだ関係ないと思っている企業への啓蒙活動を両輪で進めている。

 本セッションではここから、今まさにコミュニティマーケティングを推し進める2社として、カオナビ、GROOVE Xの事例が共有された。

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プロダクト以外の強みを確立する。カオナビのコミュニティ戦略

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/31 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49332

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