メリットは<誰が>が存在して強力になる
想像をめぐらせ、ユーザーの心のひだへ入っていく。あざといと思う? いや、考えてみてほしい。コピーは商品とユーザーとの架け橋だ。あなたの商品が誰かの問題を解決する、快適にするなら、商品の優れた価値をハッとするような表現で正しく伝えるべき。気にせず、堂々と訴求しようじゃないか。
コピーにはメリットを示せと言う。もっと丁寧に言うと、誰にとってのメリットかを示すべきだ。食器洗い乾燥機のように、ユーザーや目的がほぼ限られた商品なら想像しやすいのだが、多機能で様々なユーザーが使う商品の場合は、さらに想像力を駆使する必要がある。
次のコピーは電動アシスト自転車(スマートフォンと連動する情報システム機能を持つ架空の商品)についてのキャッチフレーズだ。ここでも誰得?コピーが見られる。
- 賢い相棒といろんな街まで楽しくサイクリングしませんか?
- 毎日使うものだから。楽しく、賢く、気持ちよく、スマートに。
- スマホ+電動アシスト自転車=楽しく便利なサイクルライフ
じっくり読んで考えれば、何を伝えたいのかわからないわけではない。でも、悲しいことに、たいていの読み手は広告コピーにそんな思いやりは抱かない。頭に「??」が浮かんだ段階で、秒殺する。誰が得するのかわからないコピーは、「おととい、来やがれ」という感じになるものだ。
一方で、誰に伝えるかが明確になると、訴求力が強まる。最初の2つは小さな子供を持つお母さんに対して、最後は体力低下に悩む中高年に対しての訴求である。
- 乗るだけの育児ダイエット、はじめてみませんか?
- 子供の送迎やお買い物しながらダイエットできます。
- 楽しく体力アップ、健康アシスト自転車です。
ダイエットという言葉をフックに使ったわけは、スマホのアプリと連動させると最適なカロリーが消費できる走行距離が示されるというアドバイス機能があるからだ。電動アシスト自転車を快適な移動のツールではなく、ダイエットや健康促進のツールとして捉えたわけだ。
機能を使うことで、誰がどんなメリットを手に入れることができるのか。そこが明らかになって、読み手のぼやけた視界がクリアになり、鮮やかなイメージが現れるようになる。コピーライティングの基本、<誰に、何を>だ。
<何を>はわりときちんと示されているけれど、<誰が>が示されていなかったり、示されてはいるがメリットに思いやりが不足しているために、共感や納得が得られにくいコピーになるケースがよくある。
キャッチフレーズでもボディコピーでも完成したら、このコピーは誰が得をするのか示されているか?という視点でブラッシュアップしてほしい。
もし、誰得?コピーになっていたら。思いやりをたっぷり注いでほしい。冒頭で紹介した石田三成のように。おいしいしいお茶を淹れる人はきっと出世する、うん、根拠はないけど。
今回のまとめ
- コピーライティングには思いやりが必要
- 思いやりとは相手への深い想像力
- メリットを伝える時、誰がそれを享受するのかが分かるように

●影響力の武器 実践編(N・Jゴールドスタイン S・Jマーテイン R・Bチャルディーニ著 /誠信書房)
影響力と説得の心理について書かれた、マーケティング方面で人気の著書の実践編。好意や社会的証明などの原理を活かした説得の技術を50の事例で紹介しています。わりと広告やキャンペーンの設計でも使われるものもあったりして、プランニングや制作に関わる方にはお勧めです。「影響力の武器」と併読するとなお良し。
インターネットにより、誰もが気軽に情報発信ができる時代。裏返してみれば、誰もが責任ある文章を書かなくてはいけなくなったとも言えます。どんな情報を、どう表現して発信すればいいのかお困りの方へ。流行りのトリプルメディア、ソーシャルメディア、ペイドメディア、オウンドメディアについて、SEOを踏まえたWebライティング術をそれぞれのプロ講師が教えます。
★☆★「トリプルメディア時代を乗り切る!ノンクリエイターのためのWebライティング講座」の詳細・お申し込みはこちら★☆★