日本マーケティング学会は2025年10月12日、マーケティングカンファレンス2025にて第8回「日本マーケティング本 大賞2025」の受賞書籍を発表した。今回の大賞には、栗木契氏による『エフェクチュアル・シフト:不確実性に企業家的機会を見いだすマーケティングの探求』(千倉書房、2024年6月刊行)が選ばれた。
本賞は、1年間に国内で出版されたマーケティング分野の書籍(翻訳書を除く)を日本マーケティング学会員が推薦・投票し、その中で最も優れた書籍を毎年表彰するもの。2025年は9作品がノミネートされ、2次投票で大賞・準大賞が決定された。
『エフェクチュアル・シフト』は、エフェクチュエーション概念を中心に、ベンチャー企業から既存企業まで幅広い事例を交え、戦略立案やイノベーション創出について学術的かつ実践的に論じている。不確実性が高まる時代において、計画的戦略と実験的、共創的アプローチをいかに組み合わせるかを具体的に示しており、理論を実務に橋渡しする視座を提供し、企業活動の閉塞感を打破する可能性を示している点が高く評価された。

栗木 契 著、千倉書房
また、準大賞には久保田進彦氏の『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣、2024年8月刊行)、音部大輔氏の『君は戦略を立てることができるか:視点と考え方を実感する4時間』(宣伝会議、2024年12月刊行)の2冊が選出された。両書とも、マーケティング実務における重要なテーマについて体系的な知見や実践的なフレームワークを提供している点が評価された。

久保田 進彦 著、有斐閣

音部 大輔 著、宣伝会議
日本マーケティング学会の本賞は2018年より実施されており、会員による1次・2次投票を通じて、公平な選出が行われている。
【関連記事】
・日本マーケティング本 大賞2024は『エフェクチュエーション:優れた起業家が実践する「5つの原則」』
・「日本マーケティング本 大賞2023」が決定 大賞は内田和成氏の『イノベーションの競争戦略』
・優れたマーケティング書籍を選出!「日本マーケティング本 大賞2022」3作品が決定
・20代の70%以上が紙より電子書籍を好む/10代には「コミックシーモア」が人気【ナイル調査】
・【結果発表】実務者が選ぶマーケティング本大賞2025、大賞は「カテゴリー戦略」解説書に決定