日本マーケティング学会は、第6回「日本マーケティング本 大賞2023」の受賞書籍を発表した。同賞は、2022年4月1日から2023年3月31日までの1年間に日本で出版されたマーケティング書籍(翻訳本を除く)を対象に、日本マーケティング学会の会員が推奨する優れたマーケティング書籍として投票形式で選出するもの。
2023年は8作品がノミネートされ、内田和成氏の『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?』が大賞を受賞した。推薦理由には「マーケターの実践に示唆を提示する、行動変容としてのイノベーションの理解」が挙げられた。
同書は顧客の行動変容こそがイノベーションの本質であると捉えた上で、それを実現するマーケティング戦略を解説。社会構造・心理変化・技術革新という「イノベーションのトライアングル」がドライバーとなって新たな価値を創造し、その新しい価値が顧客の態度、さらには行動を変えることによってイノベーションが創出されるプロセスを事例とともに示す。
従来、新製品・サービスの開発とマーケティングとは区別されることが多かったが、行動変容の達成までを射程に含めることで、イノベーションの創出のためにマーケターや大企業が何をなすべきか、革新的なアイデアと実践的戦略を提示している。
【「日本マーケティング本 大賞2023」受賞書籍】
大賞(1冊)
・『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?』
内田 和成(編著)、東洋経済新報社、2022年4月刊行
推薦理由:「マーケターの実践に示唆を提示する、行動変容としてのイノベーションの理解」
準大賞(2冊)
・『応援消費:社会を動かす力』
水越 康介(著)、岩波書店、2022年7月刊行
推薦理由:「応援と消費を結び付ける論理から、新しい消費社会の可能性を描く」
・『進化するブランド:オートポイエーシスと中動態の世界』
石井 淳蔵(著)、碩学舎、2022年8月刊行
推薦理由:「進化するブランドの本質を、日本的ブランディングと新たな理論視座から探究する」
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