CMSで製作現場を効率化し、戦略的かつ積極的なサイト構築へシフト
CMSは、もともとページ構成要素と公開されるサイトの関係を管理し、Webコンテンツを効率的に管理するシステムである。しかし、その市場の拡大とともにさまざまな機能が追加され、使い勝手や自由度が飛躍的に向上しているという。たとえば、アイアクトの「のれん」では、より洗練されたUIを搭載し、コーディングの知識のない人でも容易にコンテンツの更新や追加などが可能だ。
しかも、担当者に関係のあるページだけが表示されるなど、アクセスや更新の権限とひもづいている「マイマネージャー」という機能も5.0より搭載された。そのため、作業を分担化しながら、一元管理することができ、全体の構成を常に把握することができるわけだ。
また、今まで人の手で行われてきた時限配信や、不要コンテンツの削除と連携したリンクの消去など、これまで作業を煩雑にしていた問題を一つひとつ解決することができる。もちろん、そこには共通のテンプレートが使用されているため、全体的なトーン&マナーやデザインの統一も図りやすい。
さらに、データベースで管理していることによって、履歴管理が可能になり、以前の状態に戻したりすることも容易にできる。また、ブロックごとのパーツになっているため、それぞれのブロックに複数パターンテンプレートを作成し、効果を検証しながら、より効果の高いランディングページを作ることができる。
このようにCMSの導入によって作業を効率化することで、人員またはコストの削減が可能となる。そうした余力をもつことによって、AJAXやFlashなどを用いた表現や仕組みを取り入れ、人を惹き付けるようなコンテンツ製作や戦略的なキャンペーンの実施などへと、シフトしていけるのではないかと南澤氏は語る。
しかし、南澤氏は「こうした利便性の高いCMSだが、必ずしも導入しただけでは問題は解決しない。むしろCMSを導入したために社内の体制に混乱が生じることもある」という。そうした混乱を招かないためには、的確な体制作りが不可欠となる。たとえば、テンプレートを制作会社やCMSベンダー、システム会社、CMS導入企業と共有すれば、デザインや構成に齟齬が生まれにくい。また、CMSを中心に各部署で更新を担当すれば、ページに対する責任の所在も明確になる。
そうした体制作りの中で、制作会社がどのような立場でどのような役割を分担していくべきか。その答えとして、南澤氏は「これまでの部署・担当者様単位の対応から、全体的なWebプロモーション、マーケティングにおけるナレッジの集積機能であり、実行支援者としての役割を果たせるようになるべき」とし、「戦略パートナーとして、それぞれの部署間の要望を円滑に進めるハブ的な役割を担うものになるべきだ」としてセッションの結びとした。