2025年10月9日、ミンテルは「2026年:グローバル消費者トレンド予測」を発表した。本レポートでは、「アンチアルゴリズム」「若さの新定義」「愛情の欠如」の3点を2026年の主要な消費者トレンドとして位置づけ、企業やブランドに向けて現代社会の変化に対応した戦略の必要性を提言している。

アルゴリズムへの懐疑と人間らしい体験の重視
かつて便利さの象徴だったアルゴリズムは、その支配的な存在感に対し消費者の間で疑念が広がっている。とくに日本では57%の消費者がインフルエンサーから紹介される製品を購入しないと回答するなど、情報の信頼性や選択の自由に改めて注目が集まっている。
イギリスでも63%の消費者がAIの台頭によって「人間が作ったもの」により高い価値を見いだすとし、企業には透明性や直感的体験の提供が求められている。ブランドはAIやアルゴリズムを単なる効率化ツールにとどめず、感情的なつながりを意識した対応が必要とされている。
年齢概念の変化がもたらす新たなライフステージ
寿命の延伸や人生の多様化によって、年齢による節目や役割の意識は希薄になりつつある。カナダのミレニアル世代の36%は、今後5年間で最も大切にしたいのは「人生を楽しむこと・思い出作り」であり、「老後の貯蓄」を重視するのは23%にとどまった。
日本は高齢者の割合が世界的に見て最も高く、65歳以上の人口は2045年にピークに達すると予想され、高齢者率は1950年の5%から2070年には39%まで上昇する見込みである。企業は「若さ」にとらわれないサービス設計やユーザー体験を重視し、中高年層の新たな行動意欲や自己実現に寄り添う商品戦略が不可欠となる。
リアルなつながりへの希求とブランドの新たな役割
オンラインでの生活が進化する一方で、人と人との交流は失われつつあり、消費者の孤独感や疎外感は深まっている。日本のミレニアル世代の33%が「一人で過ごせる時間」を最も重要とした一方で、「友人と過ごす楽しい時間」は12%にとどまる。
米国では、AIになじみのある消費者の29%が過去3か月に話し相手や寂しさを紛らわせる存在としてAIを活用したと回答するなど、孤独やコミュニティへの欲求が浮き彫りになっている。ブランドに求められるのは、コミュニティや感情的価値の創出であり、体験を育む場を提供することが差別化のポイントとなる。
本レポートの詳細は、ミンテルの公式サイトで確認できる。
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