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動画広告活用最前線(AD)

海外動画広告市場のホットトピックスはライブストリーミング、新旧メディア企業の新ビジネスモデル最新事例紹介

 米国では、テレビの放送局がモバイルデバイスなどを利用したライブストリーミングに力を入れている。その目的は、新たな視聴者を獲得すること。視聴者数を増やし、広告収入増大につなげる目論みだ。「今年弊社に寄せられた問合せの75%が、ライブストリーミングに関するものだった。そこに放送業界、メディア業界における新たなビジネスモデルの可能性を見出すことができる」と語る、ブライトコーブ CMOのジェフ・ワトコット氏にお話をうかがった。(バックナンバーはこちら)

動き始めた日本の動画広告市場

 欧米では、すでにメディア企業の動画広告でのマネタイズが一般的になり、市場が成熟しつつあると言われている。それに比べて、数年遅れを取っていた日本市場ではあるが、今日ではエコシステムが整い、積極的に活用する企業が現れ始めている。

 例えば、動画活用に積極的に取り組むゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)が運営するゴルフ総合サイト内の「GDOゴルフ動画」において、オンデマンドコンテンツ(VOD)と動画広告の活用が行われている。

参照:GDOゴルフ動画
GDO動画では、動画コンテンツが再生される前に、プレロール広告が挿入されている。GDOのサイト訪問者はゴルフを愛好するユーザーであることから、経営層や高所得層の割合が高く、車や不動産・金融商品の関心が高いことが推測される。そのようなユーザーの嗜好と合致する動画CMを中心に配信している。

 「GDOは日本国内の男子、女子、シニアツアーに加えて、米国PGAツアー、スタイルゴルファーアカデミーなどの映像をオンデマンドコンテンツとしてWeb上で配信しています。コンテンツによってはプリロール動画広告を映像の前に差し込んでいるので、広告収入を得ることもできています。GDOはインターネット上でのライブストリーミングの実績もあり、今後は『GDOゴルフ動画』内でのライブ配信を行うことになるでしょう。

 イベント前にTwitterなどのソーシャルメディアでライブストリーミングを行うことを知らせて、視聴者を集めます。SNSによる拡散効果もあり、配信中も視聴者がどんどん膨らみ、盛り上がっていきます。さらに映像の前などに広告を差し込むことで、新たな広告収入を得ることが可能になるのです」と、ブライトコーブ株式会社 CMO ジェフ・ワトコット氏は語る。

海外動画広告市場におけるライブストリーミングの波

 日本よりも数年、動画広告への取り組みが進んでいると言われる欧米。そんな一歩先ゆく欧米の現在のホットトピックスは「ライブストリーミング」だという。

「ライブストリーミング」とは、インターネットなどのコンピューターネットワークを通じて、生中継の映像や音声などのデータを配信・再生する方式のこと。
ブライトコーブ株式会社 CMO Jeff Whatcott(ジェフ・ワトコット)氏

 海外では、より先駆的なライブストリーミングの取り組みが行われているという。カタールのドーハに本社を置く衛星テレビ局であるアルジャジーラの番組「アルジャジーラ・イングリッシュ」は、テレビと同じ内容をネット上で同時に放送している。モバイルデバイスからも視聴でき、さらにテレビとは異なるCMを流すこともできるという。

 「モバイルデバイスであれば、その視聴者がどの地域から見ているのか、またその人の性別などもわかるので、オーディエンスに合ったパーソナライズ広告を出すことができます。パーソナライズ、ターゲティングを行うことで動画広告のCPMを上げることができるのです」

 この仕組みは、「AD Replacement(アドリプレイスメント)」という。自動的に視聴者の地域などを特定し、その人に合った広告を流す仕組みだ。例えば、住んでいる地域が推測できる人には近くのバーの広告を、女性には化粧品の広告を、といったように。

 これは、オーディエンスの属性を問わず一斉に広告を流す、既存のテレビCMとは真逆の発想だ。テレビCMはたしかにリーチは稼げるものの、それを見た人の中に、いったいどれだけ自社のターゲットが存在しているか、広告主であれば一度は考えたことがあるのではないだろうか。

ライブストリーミング流行の要因

 「ライブストリーミングは、特にアメリカの放送局で広がりを見せています」とジェフ氏。同社に寄せられる問合せのうち、今年は75%がライブストリーミングに関する案件だったという。前年は25%だったことからも、その注目度の高さを感じる。ライブストリーミングが注目されている要因について、ジェフ氏は語る。

 「一つは、技術の発達により、カメラやエンコーディングなどにかかるコストが低減したことです。アメリカでは新聞記者が取材風景をiPhoneで撮影し、ライブストリーミングで配信するサービスも始まっています。二つ目は、スマートフォンやタブレットを持つ人の数が増え、単純にオーディエンスが大きくなったことです。三つ目は、ソーシャルメディアを使って、一瞬のうちに視聴者を集められるようになったことです。

 視聴者へのインフォメーション手段がメールマガジンや広告しかなかった時代に比べると、その即時性は比べものになりませんよね。また、ソーシャルメディアを使った仕掛けが、視聴者のワクワク感を醸成することもあり、ライブストリーミングの可能性は広がっています。そして何と言っても、放送局にとって最大の魅力は広告収入が増えることでしょう」

視聴者サービスを向上させ、同時にメディアの広告収入アップを図る

 また、閲覧デバイスを増やすことにより、新たなマネタイズに取り組むメディア企業の事例もある。仏テレビ局の傘下にあるスポーツ専門放送局EURO SPORT NETWORKは米国Universal Sports Networkの「ユニバーサルスポーツ」にコンテンツを提供しており、有料チャンネルで放送したコンテンツをWeb上でも配信をしている。

 「Web上で、最初の1分半は誰でも無料でコンテンツを視聴できます。その後、衛星放送やケーブルテレビで閲覧契約をしているか、という確認画面が表れ、契約している場合はそのまま視聴できる仕組みです」

 「TV Everywhere」というこのサービス。もちろんサービス名の通り、視聴者は「どこからでも」視聴が可能になっている。このサービスのメディア側の狙いは、視聴者がアクセスできるデバイスを増やすことで全体の視聴量を増やし、広告収入増加につなげることだ。これはメディアと視聴者の双方にとってWin-Winの状態を創出していると言えるだろう。

視聴者が見ているのは“テレビ”ではなく“コンテンツ”

 このような視聴デバイスを増やすという取り組みは、地上波のテレビ放送でも行われている。ニュージーランド国営放送局TVNZでは、地上波で見逃したコンテンツを視聴者がWeb上で後から楽しめるように「CatchUp Premium Contents(キャッチアップ プレミアムコンテンツ)」を開始した。その結果、テレビも合わせて昨年対比で70%も視聴量が増加した。さらに、Web上ではターゲットに合わせた広告を配信できるので、テレビ広告のおよそ2倍の単価を値付けすることに成功している。

 かつてTVNZは独自で動画配信システムを開発していたが、エラーも多くクレームの原因になっていた。それを今年から同社の「Video Cloud」に切り替えた後は、エラー率は0.02%に低下し、クレームも激減したという。

 例に上げたように、メディア企業が新たなビジネスモデルを確立できた要因について、「テレビに固執せずにデバイスを広げたことだ」とジェフ氏は語る。「デバイスを広げることで、新しい視聴者層を獲得することができました。忙しいビジネスマンが通勤中にコンテンツを楽しむといった新たな視聴スタイルも今日では確立しています。さらにテレビとは異なり、PCやモバイルデバイスではパーソナライズ、またターゲティングして広告を配信することができるので、広告単価を上げることができるのです」

 「テレビCMが効かなくなった」「若者がテレビを見なくなった」としばしば耳にする。その解決の糸口をジェフ氏は述べる。「そもそも、我々は“コンテンツ”を見ているのであって、“テレビ”を見ているわけではないのだ」

 日本におけるスマートフォンの普及率が約5割(IDC Japan調査/2013年6月)に達していることからも、テレビというデバイスに固執するのではなく、モバイルデバイスに対応していくことにメディア企業の新たなマネタイズの芽があると言えるだろう。

スマートフォン時代の新メディアのビジネスモデル

 また、スマートフォン時代の新たなメディアも台頭しつつある。20億ダウンロードを突破したゲームアプリ「Angry Birds(アングリーバード)」を開発したフィンランドのゲーム会社 Rovio Entertainment(ロビオ エンターテイメント)は、新たなメディアのモデルとして注目されている。

 「Angry Birds」は鳥のキャラクターが主役のゲームだが、同じキャラクターを使ったアニメコンテンツ「Angry Birds Toons(アングリーバードトゥーン)」を始めた。そのアニメをゲーム開始前に流したところ、ローンチから約2か月で1億5,000万ビューを達成し、現在では10億ビューを突破したという。

 「現在、Angry Birdsキャラクターのライセンスフィーが同社の大きな収入となっています。Tシャツなどのグッズが子どもに人気で、21世紀のディズニーとも言われています。モバイル端末で視聴したコンテンツは、アップルTVにもシェアでき、お茶の間でも楽しむことができます」

視聴者とメディアが築くWin-Winの関係

 伝統的なメディア企業から、新時代のメディア企業まで、そのビジネスモデルを動画配信技術によって支援するブライトコーブ。そんな同社は11月27日に、誰でも簡単にライブストリーミングができる「Liveモジュール」のベータ版を日本でも発表したばかりだ。

 「通常、現場で撮影した映像をライブ配信するためには、各デバイス用にエンコーディングが必要です。これまで、時間もお金もかかっていた大変な作業を簡素化しました。またイベント等をライブ配信したあとは、その動画をオンデマンドに切り替えて配信することもでき、様々なニーズに対応できます」

 海外で自国のコンテンツを閲覧するニーズやeラーニングなど、映像配信の活用はこれからも様々な領域へ広がっていくだろう。いつでもどこでも、どんなデバイスからでもユーザーがコンテンツを楽しめる環境を整えることは、メディア企業にとっては収入を増やすことにつながるだろう。今日、メディア業界は環境の変化にともない、ビジネスモデルの変革を迫られている。動画広告配信技術の進化と活用は明るい未来を描く一つの手立てになりそうだ。

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/11/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18804