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Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

「企業視点ではなくユーザー視点を持つことが大切」
東芝のB2Bオウンドメディアにおけるインバウンドマーケティング


コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティング

 ── 昨今ではコンテンツマーケティングにも注目が集まっています。インバウンドマーケティングとは異なるものとお考えでしょうか?

 まず、両方ともマーケティングの手段という前提でお話すると、インバウンドマーケティングにおいて重要な要素はコンテンツとなります。SEO効果のあるコンテンツやお客様が興味関心を抱いてくれるコンテンツですね。コンテンツにはテキスト、動画、スライドなども含まれます。

 4年前に制作したコンテンツが今でもリード獲得に貢献しています。過去のコンテンツでもサイト訪問者にとって価値のあるものであれば、営業資産となります。見込み客獲得のためにコンテンツを中心に施策を実行する一連のプロセスがインバウンドマーケティングと言えます。

 コンテンツマーケティングは企業・組織が自らメディアを作り、ファンを獲得・維持するためにコンテンツを提供するといったイメージでしょうか。

 ── 以前の荒井さんの記事で「コンテンツは長期ブランド構築が可能なプラットフォームAdverTimes)」というお話がありました。スマートコミュニティもそのコンセプトが根付いているのでしょうか。

 オウンドメディアのコンテンツは、企業目線ではなく顧客目線で役立つコンテンツであることが大前提です。そのような視点に立ったコンテンツであれば長期的に役立ちます。例えば一度作った動画コンテンツでもそれを切り出したり、再編集して一部をスライド化したり、噛み砕いてブログにしたりなどいろいろな使い方ができます。

 ── 次にペイドメディアについて教えてください。ソーシャルメディアとPRをうまく活用して、広告会社に頼らずにサイトとして成功した「Fifteen Minutes Love」というキャンペーンがありました。広告出稿せずにツイート数約2,000件、90万ユーザーにリーチ、月間PV25万という大きな結果を残したと聞いています。今回のスマートコミュニティサイトもペイドメディアには頼らないのでしょうか。広告に頼らない情報拡散の考え方についても教えてください。

「Fifteen Minutes Love」トップページ

  美女5人と疑似メールをして、モテる体験をできるコンテンツ。東芝2次電池「SCiB」のWebキャンペーンとして展開。「SCiB」を搭載した電気自動車 i-MiEV「M」(三菱自動車)は、「15分で電池容量の80%が急速充電可能」というのが特徴で、「15分で充電」というメッセージをターゲットへ伝播するためのキャンペーン(参考情報)。

 「Fifteen Minutes Love」は、B2C2Bの考え方をもとに弊社の営業チームとゴールを共有してからはじめていますので、ゴールに到達したから広告出稿しなかったという見方もあります。逆に言えば目標に到達しなければ広告出稿したかもしれません。楽しんでもらう相手がB2Bビジネス対象者だったとしても、その対象者に到達できれば良いわけで営業マンが商談相手と話題にできること、きっかけになることが重要と捉えています。

 目的によると思いますので広告は否定していませんし、必要なケースもあると思っています。例えばインバウンドマーケティングでSlideShareを使う場合でも、伝えたいターゲットへ訴求するために広告を利用することもあります。媒体に合わせて広告物を作るのではなく、自社コンテンツをプッシュするための広告ということですね。お客様にとって邪魔になるような広告は、ますます厳しい状況になるのではないでしょうか。

 ── 米ネット広告業界団体のIABでも話題になっている、ネイティブ広告で成功している事例などはありますか。

 まだこれからではないでしょうか。タイアップ広告=ネイティブ広告ではありません。タイアップ広告とは媒体サイドに広告を制作してもらっているもので、ネイティブ広告は自分たちで制作したコンテンツを媒体に馴染んだ形で掲載していくものだと認識しています。ネイティブ広告とは、“ユーザーの消費体験にシームレスに統合するようにデザインされた広告ユニット”とiMedia Communicationsでは紹介されています(参考記事:New opportunities in native advertising, iMedia Communications)。Facebookも新しいネイティブ広告を発表しており、話題を集めています(参考記事:FACEBOOK'S NEW, ENTIRELY SOCIAL ADS WILL RECREATE MARKETING,fastcompany)。

 スケーラビリティ、費用対効果など課題はあると思いますが、日本でもこれからこの領域の広告の在り方が議論され、実装されていくのではないでしょうか。SlideShareのLinkedInアドを日本で初めて展開したのは東芝ですが、自社コンテンツをネイティブ広告にする日も近いかもしれません。

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アニメのコンテンツを選んだ理由

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/02/07 15:45 https://markezine.jp/article/detail/19119

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