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運用型広告時代の要!トレーディングデスク最前線(AD)

プログラマティック・バイイング市場の急成長を支えるトレーディングデスク、“運用”面から収益向上に貢献!

 アドテクノロジー業界の隆盛に伴い、運用型広告、いわゆるプログラマティック・バイイングの市場が急拡大している。その代表的なDSP/SSPを活用したRTBで成果を上げていくには、実際の“運用”が肝になる。運用を担うトレーディングデスク業務の重要性が増している今日、トレーディングデスク事業を専門にしているエスワンオーインタラクティブの淵上優氏と高瀬大輔氏にお話をうかがった。

プログラマティック・バイイング時代の到来

 「枠から人へ」。広告・マーケティングに携わっている人は、きっとこのフレーズを何度も耳にしたことがあるだろう。メディアの広告枠にとらわれるのではなく、データを活用してオーディエンス一人ひとりに適した広告を最適なタイミングで配信するモデルへのパラダイムシフトが起きている。

参照:マイクロアドの調査発表より

 電通が毎年発表している日本の広告費によると、2013年の総広告費は前年比101.4%で5兆9,762億円。その伸長に大きく貢献しているのがインターネット広告市場、特に運用型広告市場の拡大だ。運用型広告は、いわゆるプログラマティック・バイイングのこと。その代表例であるDSP/SSPを活用したRTB(Real Time Bidding)経由のディスプレイ広告市場規模の推移からも、今後の市場の急成長が予測できる(参照:マイクロアド調査)。

 ところで、“運用型広告”というネーミングからもわかるように、プログラマティック・バイイングで成果を上げていくためには、高速でPDCAを回していく日々の“運用”が一番の肝だ。その運用を担うのが「トレーディングデスク」だ。

脚光を浴びるトレーディングデスク

 「トレーディングデスク」というと、証券会社などで債券、金利、デリバティブなどの売買取引を行う部署を思い浮かべる人もいるかもしれない。もともとアドテクノロジーは金融工学から派生してきたもので、広告業界においてはDSPなどの運用を行う組織をトレーディングデスクと呼ぶ。“取引をシステムを介してリアルタイムに行う”という点は、両業界に共通していると言えるだろう。

 このトレーディングデスクを事業として専門的に請け負っているのがエスワンオーインタラクティブだ。2011年の事業開始以来、トレーディングデスクに特化したビジネスを展開している。

株式会社エスワンオーインタラクティブ 代表取締役社長 淵上優氏

 「RTBの市場が立ち上がったころ、多くの企業はそのプラットフォームを作ろうと考え、その道を進んでいきました。ですがプラットフォームができれば、次の段階としてそれを運用する人が必要となるので、そのニーズを取り込むビジネスが成り立つと考え、エスワンオーインタラクティブはトレーディングデスク事業に邁進しました」と同社 代表取締役社長の淵上優(ふちのうえ・まさる)氏は語る。

 日本でRTBの市場が立ち上がったのは2011年。3年前はゼロだった市場は急拡大し、実際に運用する段階に入った今日、トレーディングデスクに脚光が当たり始めている。

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運用面からプログラマティック・バイイング市場の拡大に貢献

 日本に先駆けて、プログラマティック・バイイングが進んでいる米国では、トレーディングデスク専業企業は極めて少ないという。その理由について「米国の広告主企業はトレーディングデスクを内製化したり、エージェンシーは自社に紐付いた運用会社、いわゆるエージェンシートレーディングデスクを立ち上げたりしています。そこが日本の状況とは異なる」と淵上氏。

米国のエージェンシートレーディングデスクの現状

 またすでに米国では市場が立ち上がりきっているため、トレーディングデスク専門会社として後発で参入しても、スケーラビリティを上げることは難しいといった事情もある。

 それに対して日本では、先に述べたようにRTBのマーケットが立ち上がったのは2011年。歴史が浅いこともあり、米国のようなエコシステムが出来上がる前に、エスワンオーインタラクティブはいち早くニーズを見出し、トレーディングデスク専門会社として実際の運用面をサポートすることで、日本のプログラマティック・バイイング市場の拡大に貢献してきた。

ノウハウを出し惜しみせずに、業界を盛り上げていくことが先決

 また、Advertising Ageが行ったCMO調査によると、130社のうち6割を超える広告主がプログラマティック・バイイングに関しては直接メディアを購入する・検討すると回答しており、実際に海外の大手広告主はすでに自社内の運用に積極的に取り組んでいる。

株式会社エスワンオーインタラクティブ 取締役 高瀬大輔氏

 最近は日本においても、トレーディングデスクへの注目も高まり、日本のエージェンシーも専門部署を設けるようになってきた。また米国と同様に、日本の広告主企業が自社内での運用に取り組むニーズも徐々に増えている。エージェンシーと広告主、双方のニーズに対して、「広告主がインハウスでトレーディングデスクを行うサポートはもちろん、エージェンシーのトレーディングデスク事業のアウトソースにも対応する」と同社 取締役の高瀬大輔氏は語る。

 インハウスの需要に対応することは、エスワンオーインタラクティブが蓄積してきたノウハウの流出につながるのではないかとたずねたところ、「それでいいと思っている」と淵上氏。「今、重要なのはプログラマティック・バイイングのマーケットを盛り上げることだ」と指摘する。

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トレーディングデスクはコストセンターではなく、投資と捉えるべき

 トレーディングデスクを受け持つ部署は、しばしば企業にとってコストセンターと見られてしまうことがある。日々の運用業務だけでなく、日本においてはマーケティングに費やす予算をコストと考えている企業がまだ多いことも否めない。しかしながら、本来であればマーケティングは投資であるはずだ。

 このような現状に対して淵上氏は、「トレーディングデスクが企業のパフォーマンスを向上させ、KPIを伸ばすファクトであることを実証し、きちんと伝えていく必要がある。これを愚直に継続していきたい」と話す。

 また、広告出稿側からだけでなく、パブリッシャーからエスワンオーインタラクティブに声がかかることも多くなったという。エージェンシーや広告主に広告枠を販売して終わるのではなく、DMPを活用してオーディエンスデータを活かした広告商品の開発をしたいといったニーズのサポートもエスワンオーインタラクティブは行っている。

 「米国が“エージェンシー型トレーディングデスク”ならば、エスワンオーインタラクティブは“事業支援型トレーディングデスク”です。広告主から代理店、そしてパブリッシャ―まで、様々な企業にトレーディングデスクのノウハウを提供し、市場を盛り上げていきたい」(淵上氏)

“マーケティングトレーダー”という職種

 エスワンオーインタラクティブでは、トレーディングデスク運用スタッフを「マーケティングトレーダー」と呼んでいる。ただの日々の運用をになうだけのオペレーターではなく、専門家として広告のトレーディングを行い、利益を上げていくという意味が込められている。

 「運用型広告に取り組むにあたって、最も肝となるのはPDCAサイクルを高速で回し、トレーディングデスクのパフォーマンスを上げている運用者の力です。マーケティングトレーダーの役割が高く評価され、その職業を目指す人が増えれば、結果的に市場の成長に大きく貢献することになる」と淵上氏は言葉に力を込める。

 今後、運用型広告市場の拡大に伴い、トレーディングデスクのニーズはますます増えていく。「広告主のインハウス展開、エージェンシーの業務委託、パブリッシャ―のDMP導入支援による運用型広告商品開発など、どのような角度からの依頼でもしっかりと対応していきたい」と淵上氏は展望を語った。

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この記事の著者

百瀬 崇(モモセ タカシ)

フリーライター・エディター。東京都出身、茨城県育ち。学生時代に社会学を専攻し、社会調査実習を経験したことで人から話を聞き、文章にまとめることの面白さに気付く。大学卒業後、ガラスびんメーカーや編集プロダクション、出版社勤務を経て、2007年に独立。ITとビジネス全般を中心に取材・執筆活動を行う。特に情報通信業界での取材経験が豊富で、クラウドコンピューティングやスマートデバイスなどの記事をWebサイトや雑誌 などで数多く発表。屋号はCIPIN...

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MarkeZine(マーケジン)
2014/06/11 17:40 https://markezine.jp/article/detail/20052