SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

アドビ流オムニチャネル時代のデジタルマーケティング(AD)

オムニチャネルでのデジタルマーケティングを進化させるには?(2)~パーソナライズを実現する両輪~

 マーケターたちがマーケティングを進化させるために最も重要と回答したのはパーソナライゼーションだった。そしてデジタルマーケティングにおけるパーソナライゼーションとは、様々なタッチポイントでの横断的な個客最適化を意味する言葉となっている。連載第2回目では、まずはサイト内コミュニケーションの個客最適化にフォーカスを当て、ターゲティングという視点からパーソナライゼーションについて考えていきたいと思います。

顧客から個客へ

 「顧客と個客」。この数年、デジタルマーケティングの周辺の様々な記事やセミナーでよく目にされる言葉ではないでしょうか。かくいう私もパーソナライゼーションをテーマにしたセミナーなどで取り上げさせていただきました。

 この個客という言葉を「集合体としての顧客ではなく、一人ひとり、人単位で捉えたお客さま」と言い換えるならば、個客にフォーカスしたコミュニケーションというのは決して新しいアプローチでないことは言うまでもないでしょう。特にお客さまと直接関わる“接点”である販売の現場において、お客さま一人ひとりに応じた対応というのは古くから重要視されてきたかと思います。また、日本のサービスの特徴を表しているとされる「おもてなし」の概念にも通じるものではないでしょうか。

 ではこの個客という概念が、今になってなぜデジタルマーケティングの領域において注目されてきているのか。

 多くの方に語られている通り、テクノロジーが進化したことによってデジタルコミュニケーションの領域でもようやく個客にフォーカスしたアプローチ(つまりターゲティング等によるパーソナライゼーション)が実現できるようになってきたためなのですが、ではその実現のために必要なものとは何でしょうか。

 個客にフォーカスしたコミュニケーションを行うためには、まず「個客を知る」事が重要です。

個客を知る

対面でのお客さまとのやり取りにおいては多種多様な情報を得ることができます。例えば、初めて来店したお客さまに対してでも、視覚情報としてお客さまの性別/年代、場合によっては家族構成も推定することができます。更に直接やり取りを重ねる過程でその推定を正しい情報に修正し、更に詳細なお客さま情報(カスタマープロファイル)を入手することも可能です。また馴染みのお客さまであれば一目でそのお客さまだと識別でき、これまで取得したお客さま情報を利用することが出来るでしょう。

 対面でのお客さまとのやり取りにおいては多種多様な情報を得ることができます。

 例えば、初めて来店したお客さまに対してでも、視覚情報としてお客さまの性別/年代、場合によっては家族構成も推定することができます。更に直接やり取りを重ねる過程でその推定を正しい情報に修正し、更に詳細なお客さま情報(カスタマープロファイル)を入手することも可能です。また馴染みのお客さまであれば一目でそのお客さまだと識別でき、これまで取得したお客さま情報を利用することが出来るでしょう。

 デジタルマーケティングにおいてはどうでしょうか?

 お客さまはブラウザやアプリのスクリーンを挟んだ、“向こう側”にいるため顔が見えません。そのためオフラインでの直接のやり取りの場合と勝手が違ってきます。しかし一方で、デジタルならではの情報が得られることもまた事実です。そこで当記事内では、便宜的にデジタルマーケティングにて知り得る個客像を「デジタル個客」と呼ぶことにします。

 ではその「デジタル個客」を形作るカスタマープロファイルには、どのようなものがあるのでしょうか?

特設ページ「オムニチャネルでのデジタルマーケティングを進化させるには?」公開中!

「デジタル個客」を知るためのカスタマープロファイル

 デジタル領域で取得できるお客さま情報、カスタマープロファイルの種類については大きく5つにまとめてみることができます。

  1. Environment Variables(環境変数)
  2. Online Behavior Variables (オンライン行動履歴変数)
  3. Offline Variables(オフライン変数)
  4. Temporal Variables(時間的変数)
  5. Referrer Variables(リファラー変数)

 環境変数とはお客さまがどのような環境からアクセスしているかを示した情報で、IPアドレスやデバイスタイプ、画面解像度といった技術的な情報を含みます。

 オンライン行動履歴変数とはお客さまのサイト上でのアクションに関する情報で、オンラインでの購入履歴や訪問回数、ページの閲覧状況などが該当し、これらの変数はリマーケティングなどで既に活用されている方も多いかと思います。

 オフライン変数とはDMの送付状況やコールセンターの情報など、自社サイト以外で取得された情報を取り込むことで利用できます。

 また時間的変数とはお客さまがアクセスしてきた時間や曜日、訪問頻度といった情報を指します。そしてリファラー変数とはサイトに流入してきた際に得られる情報で、リファラードメインやキャンペーンID、流入元種別等を含んだ変数です。

 デジタル上での個客、「デジタル個客」を知るためには、これら5つのカスタマープロファイルの切り口から、現在自社のサイトではどのようなカスタマープロファイルを利用することができているのか、まずは洗い出してみることをお奨めします。

個客を知る目的は?

それらのカスタマープロファイルを使うことで「デジタル個客」を知ることができるわけですが、それで終わり、ではありません。「個客を知る」目的は、個客の情報をどう活用すれば売上/利益につながるのかを見出していくことではないでしょうか。そのため、実際に売上/利益につながるカスタマープロファイルは何かを見定めることが重要です。言い換えるならば、ターゲティングで成果を出せそうなセグメントを定義できるカスタマープロファイルは何か、を見つける必要があります。

 それらのカスタマープロファイルを使うことで「デジタル個客」を知ることができるわけですが、それで終わり、ではありません。「個客を知る」目的は、個客の情報をどう活用すれば売上/利益につながるのかを見出していくことではないでしょうか。そのため、実際に売上/利益につながるカスタマープロファイルは何かを見定めることが重要です。言い換えるならば、ターゲティングで成果を出せそうなセグメントを定義できるカスタマープロファイルは何か、を見つける必要があります。どのカスタマープロファイルが有効かどうかは、業種業態などによって異なってきます。

 例えば環境変数であるIPアドレス。そのままでは少々使い途が見出だせないかもしれませんが、IPアドレスをアクセス元の企業名/業種に変換すればBtoBビジネスにおいては非常に重要なプロファイルとなり得ます。

 このカスタマープロファイルの選定においては、まずは仮説をベースにアナリティクスでデータを分析するところから始めてみるのが良いでしょう。

特設ページ「オムニチャネルでのデジタルマーケティングを進化させるには?」公開中!

アナリティクスとターゲティングという両輪

そうやってターゲティングの対象となるカスタマーセグメントを定めることができれば後はアクションするだけです。それぞれのカスタマーセグメントがどのようなインサイトを持っているか、``分析``を通じて仮説を導入し、それに基づいた``ターゲティングコミュニケーション``を実施します。そしてその結果を``再度分析``しPDCAを回す事で、インサイト仮説が正しかったか検証/修正し、場合によってはセグメントの見直しも行い、``より効果的なターゲティングを実現``していくことが重要です。

 そうやってターゲティングの対象となるカスタマーセグメントを定めることができれば後はアクションするだけです。それぞれのカスタマーセグメントがどのようなインサイトを持っているか、分析を通じて仮説を導入し、それに基づいたターゲティングコミュニケーションを実施します。そしてその結果を再度分析しPDCAを回す事で、インサイト仮説が正しかったか検証/修正し、場合によってはセグメントの見直しも行い、より効果的なターゲティングを実現していくことが重要です。

 しかしアナリティクスターゲティングのソリューションがそれぞれ別のプラットフォーム上にあるとこのプロセスはなかなかうまく行きません。特にセグメント条件に複数のプロファイルが設定され、またそこに過去の履歴を含んでいる場合に壁にぶつかるケースが出てきます。

 例えばアナリティクスを通じて「ここ最近何度も訪問しているが、まだ購入に至っていない訪問者」セグメントに向けたターゲティングコミュニケーションが重要とわかったとしても、ターゲティングソリューションでそのセグメントを正しく設定できなかったり、できたとしてもデータの貯め直しが必要となったりと、結果的に直ちにはターゲティングを行うことができない、というケースが出てきます。

 またターゲティングの結果を分析しようとしても、そもそもソリューション間でセグメントの定義が一致していなければアナリティクスで深く検証を行うことができず、PDCAを回すことも難しくなります。

 そのためデジタルマーケティングにおいて個客にフォーカスしたコミュニケーションを行う場合、スムーズにPDCAを回し、コミュニケーションの精度を高めていくためにはアナリティクスとターゲティングのソリューションの連携が必須と言えます。

Adobe Marketing Cloudが実現するパーソナライゼーションのワンプラットフォーム

Adobe Marketing Cloudにおいては、アナリティクスとターゲティングの機能はもともと連携を前提に構築されています。そしてコアサービスの1つであるMaster Marketing Profileを活用することで、Adobe AnalyticsからAdobe Targetへセグメント条件を非常に簡単に引き渡すことができるようになり、データ分析に基づくターゲティングを容易に行うことができるのです。

 Adobe Marketing Cloudにおいては、アナリティクスとターゲティングの機能はもともと連携を前提に構築されています。そしてコアサービスの一つであるMaster Marketing Profileを活用することで、Adobe AnalyticsからAdobe Targetへセグメント条件を非常に簡単に引き渡すことができるようになり、データ分析に基づくターゲティングを容易に行うことができるのです。

 例えば、Adobe Analyticsで分析したところ「通算訪問回数が5回以上かつ未購入の訪問者」というセグメントにターゲティングのオポチュニティがあると判明した場合、そのセグメントをAdobe Marketing Cloudにパブリッシュします。

 そうすると、Adobe Analyticsで作成されたセグメント条件に該当する訪問者がAdobe Targetに連携され、Adobe TargetのテストやターゲティングのセグメントとしてAdobe Analyticsの訪問者セグメントをそのまま利用する事ができるようになります。

 ターゲティングのために新たにセグメントを再作成する必要がないため、連携が終わり次第、すぐにターゲティングを行うことができるようになります。

 またReal-Time Shared Audiences機能を利用すると、Adobe Analyticsで計測している一部の変数を条件とし、ユーザーのリアルタイムなアクションを条件にターゲティングの対象とすることもできます。

 前回も触れた通り、デジタルマーケティングをより進化させるためにはパーソナライゼーションは最も重要、と多くのマーケターは認識しています。皆さんはどうお考えでしょうか? 

 そしてそのパーソナライゼーションをよりスムーズに、かつ高度に実現するためにはアナリティクスとターゲティングのソリューション連携は必須と言えるでしょう。Adobe Marketing Cloudはそれを既に実現したデジタルマーケティングプラットフォームであり、パーソナライゼーションを推進したいマーケターの皆さまの「強力な武器」となるに違いないでしょう。

 連載第3回目は、こういった個客にフォーカスしたコミュニケーションの具体的な事例のご紹介と、さらにそのアプローチをクロスデバイスで実現していくにはどうすべきか、という点に触れていきたいと思います。それではまた次回、お楽しみに。

特設ページ「オムニチャネルでのデジタルマーケティングを進化させるには?」公開中!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

祖谷 考克(ソタニ タカヨシ)

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長

広告会社にてマーケティング領域全般のプロデュース業務に約15年従事。ブランドマーケティングだけでなく、デジタルコミュニケーション戦略立案、施策最適化など、デジタル領域でのプラニング/プロデュース業務も担う。2013年よりアドビに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2015/06/18 16:06 https://markezine.jp/article/detail/21630