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「あのキャンペーン」の担当者に直撃!

海外旅客数 前年比164%を達成! 沖縄県が仕掛けた「外国人視点」にこだわった動画コンテンツ

 沖縄県といえば、日本屈指の観光地。ですが、欧米豪露を中心とした外国人の観光誘致に課題を抱えていたそうです。そこでとられたインバウンド対策が、台本一切なし・リアリティーショー形式で制作された動画コンテンツの公開でした。高いPV獲得もさることながら、過去最高の海外観光客数を記録するなど確実な効果を出しています。一体、どのようにしてこのコンテンツは生み出されたのでしょうか?

日本屈指の観光地・沖縄の課題とは?

 沖縄県へ観光に訪れる人は、毎年700万人を超えるそうです。日本有数の観光地である沖縄県ですが、ある課題を抱えていました。それが「訪日外国人の誘致」です。実は、観光客のうち外国人が占める割合は約10分の1。その中でも、多くはアジアからの観光客でした。「欧米豪露を視野に入れた、長距離渡航観光客の誘致および、観光客の消費単価を上げることが主な課題になっていました」と語るのは、沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課の山城 憲一郎氏です。

 これらの課題をクリアするために制作されたコンテンツが「OKINAWA: A Journey of Discovery」です。

 

 これは、外国人目線にこだわった、台本のないリアリティショー形式のWeb動画シリーズ。欧米豪露出身の7人の外国人をキャスティングし、沖縄の人々との出会いや文化体験を通じて、それぞれに課せられた「チャレンジ」に挑む様子が描かれています。動画制作もロンドンに拠点を置くプロダクションを起用するという徹底ぶりです。

 施策の結果、動画総再生数190万回以上動画紹介記事のインプレッション2250万を記録。そして何より、施策展開後の沖縄への海外旅客数が前年比164%を達成しました。「肌感覚でも、欧米系の観光客に日常で出会う機会が増えていると感じます」(山城氏)

 ちなみに同施策は、コードアワード「グッド・イフェクティブ」も受賞しています。この賞は、売り上げや会員獲得など、成果を伴ったマーケティングコミュニケーション施策に贈られるものです。ホットワードのひとつである「インバウンド・マーケティング」で具体的な成果を出したコンテンツは、一体どのようにして生まれたのでしょうか?

日本人の「良い旅」、外国人にとっても良いとは限らない

――「OKINAWA: A Journey of Discovery」を企画するに際して、気を付けた点を教えてください

沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課
誘致企画班長 山城 憲一郎氏

山城氏:事業全体の目的と主旨を沖縄県側で策定後、事業者を公募して最終的に電通へ委託しました。今回は行政の情報発信という固い枠組みや固定観念を排除し、できるだけ市場にマッチできるよう、電通側の提案に任せました。その中で、特に留意したのは、制作プロダクションも海外のスタッフを起用するという点です。

 15か国、17地域を対象に行ったターゲットインサイト調査があるのですが、その結果からは、一口に「旅」といっても国によって求めるものが違うことがわかります。それ故に「刺さるコンテンツ」も異なってくる。同様に、日本人が良しとする旅のスタイル、「これが良いだろう」という観光要素も、異なるインサイトを持つ外国人からは、ピンとこない場合もあります。

 裏を返せば私たちからは「こんなところが魅力なの?」と思えるスポットに、訪日外国人の人気が集まることもあります。ですから、ターゲットである欧米豪露の人々の視点で、彼らが良いと思ったものをそのまま伝えることが重要だと考えたのです。

 これまでの観光ブランディング広告を振り返ると、美しいイメージビジュアルをベースとしたTVCMや屋外広告などの純広告、イメージムービー等が中心だったかと思います。しかも、日本人または観光地側が「きっとこれが受けるだろう」という伝え方をしていました。対して、今回のキャンペーンでは「ターゲット目線」「リアルな体験」にこだわりました。

――外国人に沖縄の魅力を伝えるコンテンツと、日本人向けの観光コンテンツには、どのような違いがあるのでしょうか?

山城氏:今回のコンテンツは台本のない「リアリティーショー形式」にしてあります。この形式は欧米の人々にとっては見慣れたもので親和性が高く、かつ、「体験価値」の訴求がしやすいと考えたからです。観光地の要素は沖縄県が提供しながらも、魅力は実際に訪れる外国人の目線で表現してもらいました。

 ですから、こちらから「こう言って」というオーダーはせず、体験して感じたままのコメントを言ってもらいました。「そのまま」を伝えるからこそ、視聴者はキャストの目を通じて沖縄を疑似体験できると考えたのです。その結果、ターゲットにより深く訴求する事ができたと思います。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/30 10:00 https://markezine.jp/article/detail/23263

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