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デジマのカギ「メール配信」を「メールマーケティング」に格上げしよう!失敗しないリニューアルの進め方

 テクノロジーが発達しコミュニケーションチャネルが増えても、購買促進に強く情報量と配信コストの点で有利なメールは、依然として重要なチャネルだ。日々のメール配信を「メールマーケティング」のレベルに押し上げることが、デジタルマーケティング全体の成功の鍵を握っている。本稿では5月23日にチーターデジタルが主催した「メールマーケティングアカデミー2017」の内容をもとに、メール施策の効果を上げるためのプラニング手法とリニューアルに役立つポイントを紹介する。

2017年6月8日にエクスペリアンジャパン株式会社クロスチャネルマーケティング事業は、チーターデジタル株式会社に社名が変わりました。リリースもご覧ください。

メールマーケティング成功に向けての3つの基本

 国内にインターネットが広まってから企業と顧客のコミュニケーションは劇的な変化を遂げた。インターネットの普及以前に企業が顧客一人ひとりと接点を持つには、店頭で接客するか、DMを送るか、テレコールを実行するしか方法がなかった。

チーターデジタル株式会社 コンサルティング部 マネージャー 川又潤氏
チーターデジタル株式会社 コンサルティング部 マネージャー 川又潤氏

 メールは登場するやいなや、顧客とのコミュニケーションの主役におどり出た。メールを使えば郵便やテレコールに比べ圧倒的に低いコストで顧客とコミュニケーションできる。そのうえ、テキストメールでは豊富な情報をシンプルに送付できるし、HTMLメールでは伝えたいメッセージを視覚的にアピールできるというように、目的に応じて最適な表現を選べるというメリットもある。

 近年、アプリやLINE、ショートメッセージ(SMS)など新しいコミュニケーションチャネルが登場してきたが、それでも大半の企業は顧客とのコミュニケーションにおいてメールを主軸に据えている。メールは配信コストが安い上に一度に届けられる情報量が多く、商品やサービスの購買につながりやすい特性があるからだ。

 メールが重要なコミュニケーションチャネルであり続けている反面、「メールマーケティングの効果が上がらない」「いくらメールを送っても反応してくれない顧客がいる」と悩む企業も少なくない。こうした課題を抱える企業は、まず何をするべきなのだろうか。長年にわたって企業のメールマーケティングを支援してきたチーターデジタル コンサルティング部 マネージャーの川又潤氏は、成功のためのポイントを3つ挙げる。

 「第一に、ビジネス上の課題や目的を再整理し、メールの目的を明確にすること。第二に、ユーザー視点で伝えたいメッセージと使うチャネルを検討すること。第三に、中・長期的な視点でPDCAを回して施策の有効性を判断することです」(川又氏)

ユーザー目線で考えることの大切さ

 「メールの目的を明確にする」というと、多くの企業は「それはとっくにやっている」と思うかもしれない。だが川又氏によると、実はこれができていない企業は意外と多いという。

 よくある失敗例が、メールの目的を過大に設定してしまうケースだ。たとえば、マーケティング活動全体の目的である「売上/利益の向上」「顧客関係性の強化」といった大きなゴールを、そのままメールの目的とするのは得策ではない。課題の範囲が広すぎてメール1つですべてを解決することは難しいため、メール施策を計画し評価するには役に立たないからだ。

講演資料より(以下、同)
講演資料より(以下、同)

 そこで川又氏が提案するのが、フレームワークを活用した目的の再整理だ。チーターデジタルでは、顧客の「獲得・育成・定着」というフレームワークを使って、マーケティング施策のゴールをブレイクダウンし、メールの目的を明確化することが多いという。メールの目的がはっきりすれば、具体的なメールマーケティング施策を検討する土台ができるわけだ。

 さて、メールの目的をはっきりさせてから、具体的なメールマーケティング施策を検討するとき最も注意すべきなのが、「ユーザー目線」という第二のポイントだ。

 ユーザー目線に立つためにはユーザーが何を望んでいるのかをよく考える必要がある。たとえば、性別や年代はもちろん、新規顧客なのか既存顧客なのかによっても、ユーザーが企業に求めるものは異なる。また、メールを送る頻度や時間帯、受け取るデバイスについても、ユーザーの希望がはっきり存在するものだ。

 こうしたユーザーの希望を無視し、企業側の「目的」ありきでターゲットやコンテンツ、インセンティブ、配信タイミングを決めると、ユーザー離反が起きてしまう。反対に、ユーザーの希望に寄り添い、メールだけでなくLINEやアプリなど様々なチャネルを、それぞれの特性をふまえて有効活用することで、ユーザーにとって快適なコミュニケーションを実現している企業も増えている。

 メールを主軸に置いた場合でも、他チャネルと「組み合わせる」「使い分ける」という観点は常に持つべきだ。多チャネル化によりユーザーの選択肢が増えたことを踏まえず、画一的に単一チャネルで事を進めるのは機会ロスにつながる可能性がある。

 たとえば、DMと並行してメールを補助的に用いることで、「気づいてもらう」「魅力を分かりやすく伝える」効果を得て大きく売上を向上させた事例もある。 一定量メールでコミュニケーションをはかっても未反応である層に絞り、「SMS」でお知らせすることで重要性や緊急性を認識させた結果、ユーザーがアクションを起こしたケースもあるという。 ただし、あらゆるチャネルから同一の内容が送られてくると、ユーザーにストレスを与えコミュニケーション接点を絶たれるリスクも考慮する必要がある。チャネルありきでなく、コミュニケーションありきで考えることが重要だ。

 さらに、「メールを使ってどんなに魅力的な訴求をしても反応しないユーザーがいる場合は、『なぜ反応しないのか』という仮説を立て、その仮説を検証するためのPDCAを回していくことが必要です」と川又氏は続ける。

 「PDCAは、施策の成果や今後の課題を明らかにするための重要な取り組みです。単に個々のメールに対して反応があったかどうかではなく、中・長期の視点で顧客のLTVを追っていくことで、メールマーケティングの成果を高めることができるはずです」(川又氏)

 次ページからは、マーケティング効果を高めるメールリニューアルのポイントを紹介しよう。

効果につながるメールクリエイティブ改善の進め方

 長くメールマーケティングを続けていると、必ず突き当たるのが「いつ、どうやってメールをリニューアルするか」という悩みだ。

 リニューアルのきっかけは、「反応や効果が頭打ちになる」「内容がマンネリ化している」など長期運用ならではの課題から、「テキストメールよりもHTMLのほうが視覚的にアピールできそうだ」「スマホの普及にともないレスポンシブ対応を検討したい」など、表現やテクノロジートレンドにまつわる課題まで様々だろう。

チーターデジタル株式会社 マーケティングアウトソーシング部 クリエイティブサービスグループ マネージャー 金子亜美氏
チーターデジタル株式会社 マーケティングアウトソーシング部 クリエイティブサービスグループ マネージャー 金子亜美氏

 そんなメールリニューアルを成功させるポイントは何か。チーターデジタル マーケティングアウトソーシング部 クリエイティブサービスグループ マネージャーの金子亜美氏は、川又氏と同じく「まず、何を実現したいのか、目的を明確にした上で、『スケジュール×目的×コスト』の掛け合わせで、計画を立てることが必要です」という。

 目的や投資できる費用は企業によって異なるが、スケジュールの立て方はどの企業にも共通する。はじめに大切なのは「デッドラインを確認すること」だ。

 たとえば「半年後にメールをリニューアルする」という計画を立てるとしよう。準備期間はたくさんあるように思えるが、実際に決めるべき事柄や予算取り、効果検証などのフェーズを設定していくと、意外と残された時間が少ないことが見えてくる。つまり、デッドラインを決めて逆算することで、ぼんやりした「半年後のリニューアル」という目標が、具体的な計画へと変わっていくのだ。

 さらにもう1つ、留意すべきことがある。「やりたいことは最初にできる限り洗い出す」ことだ。金子氏によると当初掲げていた目的に応じてメールを制作していたところ、制作途中に別の課題が持ち上がったことで方向性が大きく変わり、最終的に何の結果を見ればいいのか把握が難しくなった、というケースもあるそうだ。「現状の課題や目的をすべて洗い出したら、優先順位を決め、きちんと効果検証するようなリニューアルプランを立てる必要があります」と金子氏は強調する。

代表的な5つのメールリニューアル手段

 「クリック率を上げる」「売上を上げる」「新しいサービスを認知してもらう」などメールの目的は様々だ。これらの目的を達成するためのクリエイティブ改善には、具体的にどのようなやり方があるのか。金子氏は、「クリエイティブのリニューアルにおけるアクションは、大きく次の5つに分けられます」という。

 部分最適化とは、リンクボタンの位置や色、ボタンのテキストの見直しや、ヘッダーやフッターの表現を変えるなど、一部をリニューアルすることだ。デザイン変更は、文字通りメールのデザインを変えることだが、必ずしも大幅な変更を必要とはしない。レイアウトや表示するコンテンツの順番を変えるだけで、大きな効果をもたらすケースも多いという。

 また原稿形式リニューアルとは、コンテンツは変えず、ユーザーの閲覧環境に応じた形式に変更すること。コンテンツ変更とは、メールで送るコンテンツを整理して、アピールしたい内容を明確にすること。最後のフルリニューアルは、原稿形式・コンテンツ・デザインのすべてを全面的に改善する施策だ。

他社事例を鵜呑みにすると失敗する

 クリエイティブのリニューアルにおける各アクションのポイントについて、いくつか詳しく見ていこう。

 部分最適化は比較的取り組みやすい施策のため、「ここを変えてみたらどうだろう」と闇雲にA/Bテストを繰り返す企業もある。だが、これだと手間ばかりかかり、逆に効率が悪くなる。こうした事態を避けるため、金子氏は「配信結果やデータをもとに仮説を立て、最適化するポイントをしぼることです」と注意する。

 また部分最適化を成功させるには、もう1つ意外な注意事項があるという。それは「他社の事例をそのまま鵜呑みにしない」ということだ。他社でうまくいった部分最適化の手法が、自社でもうまくいくとは限らない。業種や商材が違えば配信対象者も違うし、そもそもメールの目的が異なるという例も多い。「他社事例を参考にする際は、まず自社のターゲットの特性をデータでみきわめてから、他社の手法で目的を達成できるか検討することがポイントです」と金子氏は語る。

 さて、ダイナミックなリニューアル施策といえば、原稿形式のリニューアルだろう。大切なのは、周囲の状況に流されず、自社のユーザーの環境に合わせて柔軟に対応していくことだ。たとえばスマホで閲覧するユーザーの割合が増えたのであれば、レスポンシブメールなどスマートフォン対応することでクリックの誘導が期待できる。

 また、テキストメールからHTMLに変更する最大のメリットは、ファーストビューで訴求できる情報量が圧倒的に増えることだ。文字だけだと埋もれがちなメッセージも、表現力豊かなHTMLでアイキャッチを作ることで、ユーザーに伝わりやすくなる。

 ある海外旅行保険会社の事例を紹介しよう。この会社は契約者向けに保険料の支払いを促すフォローメールを送っていたが、契約者が「契約は完了している」と誤解して保険料を払いそびれるケースが多発していた。そこで、フォローメールをテキストメールからHTMLメールにリニューアルして、「まだご契約は成立していません」というメッセージを大きく表示する仕様にしたところ、未払い率が30%低下したという。

フルリニューアルは「振り返り」ができるように指標を決めておく

 コンテンツ変更には、二つの方法がある。一つはコンテンツの追加、もう一つはコンテンツの整理だ。ここではコンテンツの整理について詳しく説明したい。

 メールのコンテンツはほうっておくと、どんどん増えていってしまう。特に、Webサイトのコンテンツが増えたからといって、メールのコンテンツを際限なく追加していると、ユーザーに重要なメッセージが伝わりにくくなり悪影響が大きい。

 また、ついつい似たようなコンテンツを続けてしまう失敗例も多い。たとえば、「今月のおすすめ」「今が旬!」「今月イチオシ!」などと重複したコンテンツが続くと、ユーザーにうっとうしがられる。社内の感覚では異なる性質のコンテンツを並べているつもりでも、ユーザーから見ると似通ったコンテンツが続いていることも多いので、注意が必要だ。

 こうした事態を防ぐため、自社のメール施策の課題・目的によって、ふさわしいコンテンツを厳選すると、効果につながりやすい。「『おすすめ商品情報』は売上向上やクロスセル・アップセル向け、『ユーザーボイスや事例』はブランディングや満足度向上、などと各コンテンツの特性を理解し、必要なコンテンツを選び取ることが必要です」と金子氏は語る。

 フルリニューアルに関しては、形式・コンテンツ・デザインを総合的に改善することで大きな効果が期待できる反面、より多くの時間とコストが必要になる。また、複数のポイントで変更を行うと、どのポイントがよかったかの効果検証が難しくなりがちだ。「リニューアルで取り組む課題を明確にして修正するポイントの優先順位を決めることと、リニューアル後の振り返りのために指標を定めることが大切です」(金子氏)

 最後に金子氏は、「スケジュールはもちろん、どのようなリニューアルが効果的か、効果検証をどう行うべきかなどについて、チーターデジタルはいつでもご相談に応じます」と述べ、講演を締めくくった。

「門外不出のノウハウ公開」で好評のメールマーケティングアカデミー2017、第二弾開催!

チーターデジタルは、8月22日(火)にベルサール六本木コンファレンスセンターにて「メールマーケティングアカデミー2017」を開催します。「フォローメール制作のポイント」や「メールマーケティングの投資対効果を引き上げるポイント」について具体的な事例を交えて紹介します。
申込・詳細はこちらからどうぞ!

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/09/22 14:51 https://markezine.jp/article/detail/26662