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デジタルでリブランディングを実現~サマンサタバサとSpeeeトレーディングデスクの挑戦

 複雑化するデジタルマーケティングにおいて、広告運用のリソースに頭を悩ませる企業は多いだろう。そこで頼りになるのが、トレーディングデスクだ。デジタルコンサルティング事業を展開するSpeeeは、クライアントの目的に合わせた広告運用支援を強みとしている。本記事では、サマンサタバサとSpeeeの広告運用事例について取材した。

リブランディングで新規顧客の獲得を

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、皆さんの自己紹介をお願いします。

左から、株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド
クリエイティブ・プロモーション部 次長 遠藤 由貴氏
株式会社Speee デジタルコンサルティング事業本部 アドテク事業部
トレーディングデスク事業 トレーダー 清水 悠生氏
同社 アカウントセールス 澁田 夏実氏

遠藤:サマンサタバサジャパンリミテッド(以下、サマンサタバサ)の遠藤です。弊社は、今年の3月に大きく組織変更を行いまして、クリエイティブ・プロモーション部を設立しました。

 本部署は、デジタルを起点に店舗からオンラインまで統一されたイメージを訴求することで、新規のお客様を獲得することをミッションとしています。自社メディア・SNSの運用はもちろんのこと、WebプロモーションからARなどの新しい技術を用いたプロモーションも展開しています。

澁田:Speeeの澁田です。アカウントセールスとしてサマンサタバサ様の担当をしております。クライアント様が目的に向かって本質的に行動できるようご提案・ご支援をしております。

清水:Speeeの清水です。私はトレーダーとして広告運用を担当しつつ、得意分野であるクリエイティブの領域で、デザインを通してクライアント様の目的を達成できるようご支援しています。

MZ:両社が取り組みを始めて1年半ほどとうかがいました。サマンサタバサでは、広告運用を依頼するにあたり、どのような課題があったのでしょうか。

遠藤:弊社では、バッグやアクセサリーなど16のブランドを展開しています。ブランドごとにペルソナがあり、マーケティングが非常に複雑です。特にデジタルマーケティングはメディアや広告プラットフォームが多く、キャンペーン設計からクリエイティブ制作、改善施策まで、広告運用をすべて自社で行うには限界がありました。

澁田:サマンサタバサ様は、広告によるオンラインの売上増加だけでなく、リブランディングへの課題もお持ちでした。ブランドと消費者のブランドイメージの間にギャップが生まれていたのです。たとえば、メインブランドである「Samantha Thavasa」は、ミレニアル世代である20代から30代のお客様にお使いいただける商品展開をしております。しかし消費者のブランドイメージは、若年層女性向けのかわいらしい商品展開という印象をお持ちの方が多いのではと思っています。

 ブランドごとにターゲットは異なりますが、サマンサタバサが伝えたいメッセージを広告で伝え切れていなかったのです。

遠藤:新規のお客様を獲得するために、我々としてはまずリブランディングが重要で、それをスマートフォンをはじめとしたデジタルチャネルで実現したいと考えていました。そこで、各メディアの特性を理解し、知見も豊富なSpeeeさんに広告運用をお願いすることにしました。

クリエイティブのPDCAでターゲットに合った広告を

MZ:では、具体的にどのような広告運用を行っているのでしょうか。

澁田:サマンサタバサ様の目的は、オンラインの売上増加とリブランディングで、それぞれで戦略が異なります。まずはブランドごとのご予算とキャンペーン概要をいただき、消費者の行動パターン、アパレル市場の動向から、目的に合わせてプランニングを行います。それぞれの目的を最大限達成するために、予算配分の変更や新規施策のご提案をすることもありますね。

清水:目的に応じて配信設定、クリエイティブの作り方は異なります。オンラインの売上増加を目的とした場合は、カルーセル広告やカタログを使ったキャンバス広告で、商品を引き立たせるクリエイティブを作成します。配信設定は最低限抑えておきたいターゲットを設定、あとは配信システムの最適化に任せています。システムが最大限働くように設定を組むことがポイントです。

 リブランディングの場合は、ブランドの理想とするペルソナ像に沿ってターゲットを設定し、ストーリーズ広告など没入感がある広告枠を利用してブランドの世界観を伝えます。配信後、レポートから最適化されたターゲットを参考にして、次の配信・クリエイティブの改善に活用しています。クリエイティブを魅せることに注力していますので、ストーリーズなどスマートフォンの画面全体を使って訴求できる広告枠を持つInstagramやFacebookを活用することが多いです。

MZ:クリエイティブには、どのような工夫をしていますか。

澁田:たとえばストーリーズ広告の動画でしたら、ブランドイメージが先行しないように商品のビジュアルを先に見せて、最後の1カットでブランド名を出すといった構成にしています。ECの購入につながりやすいカルーセルは、GIFと静止画のクリエイティブ2種類を用意しています。同時に、効果が最大化できるクリエイティブは何かという検証も行っています。

今回使用したストーリーズ広告

A/Bテストでターゲットのニーズを知る

清水:具体的な例を挙げますと、「Samantha Thavasa Petit Choice」という小物系のブランドで、雑誌の『美人百花』とコラボレーションした財布のキャンペーンがあります。

 ブルー・ピンク・ホワイトの3色展開でしたので、まずは、色違いがあることを訴求するパターン、そしてカードが何枚入るかという機能訴求のパターンを伝えるクリエイティブを作成し、FacebookのA/Bテストを用いて検証しました。

左:「財布の機能を訴求したクリエイティブ」
右:「財布の見た目を訴求したクリエイティブ」

 A/Bテストの結果、機能訴求のクリエイティブが最も効果が高く、購入にもつながりました。見た目だけでなく、使いやすさも知りたいというニーズがあるのだなと感じましたね。この結果は、クリエイティブやランディングページのデザイン改善にも役立てております。

澁田:カラー展開訴求か機能訴求か、という比較だけではなく、モデル画像か商品画像か、という比較や、複数のモデル画像の比較なども行っています。感覚で判断するのではなく、数値をもって良し悪しを判断できるので、ブランドイメージの方向性を決める一つの材料として有効だと思ってます。

新規購入、認知につながるビジュアルを把握

MZ:本当に細かくクリエイティブのPDCAを回し、運用をされているんですね。

遠藤:その上、常に弊社視点で親身になって運用いただいています。クリエイティブも弊社で制作した素材のほか、要件を添えて制作をお願いしていましたが、最近では私たちのニーズを組んでクリエイティブを制作してくださることも多く、ありがたいですね。

清水:広告のビジュアルやデザインは、世の中のトレンドを参考にしつつLPと広告の世界観がずれないように制作しています。また、CTRやCVRなどの数値だけを求めるのではなく、ブランドとしてのロイヤリティを低下させないように気を配ることも大切です。

澁田:多い時は月に30キャンペーンを走らせるので、スピード感のあるコミュニケーションは重要です。私と清水の間でも、営業・運用と業務を完全に分けるのではなく、連携を深め、素早い判断やレスポンスを大切に対応しています。

MZ:これまでの運用から、どのような成果が見えてきましたか。

澁田:クリエイティブに関しては、どのようなビジュアルが新規購入につながるか、認知に反映されるかなどのデータが集まっています。同じアイテムであっても、モデルを前面に出す場合とアイテムだけの場合のクリエイティブでは、どのような違いがあるか。さらに機能訴求はどうかなどの検証を細かく行ってきました。感覚的ではなく、データをもとにしたクリエイティブ制作ができていますね。

遠藤:売上と新規獲得につながるストーリーができつつあります。ファッションの世界は感性が大切にされていますが、マーケティングにおいては、お客様にとってどのようなデザイン・ビジュアルの反応が良いのかという明確なデータも必要です。そこから、新しい気づきも生まれます。

 今回得られたデータはクリエイティブの指標となり、デジタル起点で全体的なマーケティング戦略を考えていく土台になると実感しています。

KPIを購入促進からブランド認知へ

MZ:これまでサマンサタバサといえば、CMや雑誌といったマスメディアを中心としたマーケティングの印象がありましたが、Speeeとの取り組みを通じて、デジタル化も大きく前進したわけですね。

遠藤:弊社はこれまで、次世代のスターをプロモーショナルモデルとして起用し、マスメディアを通じて話題喚起をしてきました。

 一方、世の中のデジタルシフトが進んでいく中で、デジタルをどのように活用していくかは、今後の課題です。

 Speeeさんと取り組みを始めたころは、ECで新規のお客様に買っていただくことをKPIとしていました。しかし、2018年4月からはマス広告よりもwebコンテンツ・プロモーションに力を入れ、リブランディングを目的としたプランニングをお願いしています。

 最近ではSamantha ThavasaとSamantha Vegaで1分以内のwebショートドラマを制作し、今年の秋冬は次世代のファッションアイコンであるソフィア・リッチーと新田真剣佑さんを起用して、店頭の広告ビジュアルだけではなくweb用の動画を多く制作しております。

清水:広告配信の目的を変更したことで、現在ではリーチを意識した施策に切り替えて、運用しています。広告は、消費者の印象に残ることが大切です。たとえばビジュアル訴求に適したストーリーズ広告は、たとえクリックされなくてもユーザーの印象には残りやすい。その後オーガニックでウェブサイトへ来訪したり、実際に店舗で購入されたりという間接効果が期待できます。

 いただいている予算の使い方をさらに工夫して、リブランディングを成功させたいですね。

MZ:効果測定はどのように行っていますか。

澁田:これまでは配信後の数字を様々な角度から分析していましたが、今後はブランドリフト調査といった認知に関わる指標について分析していきます。動画を見た方の購入意向が高まったかなども含めて、クリエイティブを精査していきたいと考えています。また、オフライン調査なども実施して、ブランドとユーザーとの差分を検証していきたいです。

広告に関係なく、新しいことに挑戦

MZ:今後の目標についてお聞かせください。

遠藤:様々なデータが出てきていますので、それを全体のマーケティング戦略へ活かしたいですね。デジタルファーストで、店舗やオフラインキャンペーンにも広げていけたらと考えています。

 そして、お客様にオフライン・オンライン問わず、ブランド・商品に触れていただける機会を増やして、ワクワクドキドキするような新しいコンテンツを提供していきたいです。また、SpeeeさんにはGoogleの来店計測の導入や各種データ蓄積など広告運用に留まらないご支援をいただいています。今後も、積極的に新しいことへ挑戦していきたいです。

澁田:新しいご支援として、現在リブランディングの設計をお任せいただいています。先日も全国の店長が集まる場にうかがい、サマンサタバサのペルソナやお客様に関するヒアリングを行いました。今後も、定量・定性含めた調査を計画しています。

 本来は広告運用業務の領域ではないかもしれませんが、ブランドの抱えている課題は深層のところから解決しなければなりません。それがオンラインの価値も上げ、売上につながると考えています。

 もちろん従来の広告運用で解決できることも非常に幅広いですから、Speeeのトレーディングデスクが世の中へご提供できる解決策・付加価値を増やしていきたいと考えています。

清水:オンライン広告は、より良い広告を作るための検証用ツールとして使っていくべきだと考えています。影響力のある広告は、オンライン・オフライン関係なく消費者を動かします。数値が全てではないですが、数値で評価できるオンライン広告は、クリエイティブを作る上での参考になります。

 そのため、オンライン広告で得られた効果測定のデータを、マスメディア含めて他のクリエイティブ制作の参考にできればと考えています。その先駆けとして、サマンサタバサ様を成功事例にできるよう、今後も努めていきたいですね。オンライン広告を軸にマス広告を組み立てていくような世界を作りたいです。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/09/19 19:00 https://markezine.jp/article/detail/29203