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データ活用×顧客理解のためにクリアすべき5つの課題/コニカミノルタジャパンが明かした解決策とは?

 昨今、「顧客理解」の重要性が多方面で説かれている。一方で、それに必要なデータの統合・活用に向けた環境整備が進んでいない企業も多いのではないか。コニカミノルタジャパンは、2018年11月28日、企業の経営層やマーケティング部門・デジタルメディアに関わる部門の役員ら向けにセミナーイベント「DIGITAL MARKETING SUMMIT 2018」を開催。本稿では、同社マーケティングサービス統括部 デジタルマーケティング戦略部部長 大内範行氏のセッションの様子を中心に当日の様子をお伝えする。

データ統合を成功させる要因とは?

 「DIGITAL MARKETING SUMMIT 2018」には、アウトブレインジャパンおよびアビームコンサルティングで顧問を務める本間充氏や、オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎氏が登壇。

(写真左)アウトブレインジャパン株式会社 顧問 兼 アビームコンサルティング株式会社 顧問 本間充氏
(写真右)オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎氏

 基調講演を務めた本間充氏は、「シングル&シンプル マーケティング~デジタル時代のマーケティングのあり方~」と題し、これまでのマスマーケティングの有効性が薄まってきていることに触れ、成熟した人口減少時代に向けてデジタルを活用した「個客」へのアプローチが求められていると語った。

 続くセッションでは、「顧客理解×データ活用」をテーマに、コニカミノルタジャパンでデジタルマーケティング戦略に携わる大内範行氏が登壇。データアナリストの協議会「アナリティクスアソシエーション」を2008年に設立するなど、これまでデジタルに深く関わってきた同氏は、テクノロジーの発展によって様々なデータ化が進む一方で、各種データの統合が上手くいっていないケースも多いことを指摘した。

コニカミノルタジャパン株式会社 マーケティングサービス統括部
デジタルマーケティング戦略部部長 大内範行氏

 また、大内氏は「データ統合の成否は、データを扱う人間側によるところが大きい」と主張。実際にこれまで見てきたデータ統合事例では、ツールを成功要因として上げた声は少なかったそうだ。

 「従来のデータ活用事例では、事業担当者がデータ分析のチームリーダーになるというケースが複数ありました。また、データの扱いに慣れている技術者が社員にいるパターンも成功要因かと考えていました。しかし、近年では社内外の人材を活用した横断組織を形成する企業が徐々に増えてきて、事業に携わっていない方がリーダーになっても成功を収める事例が出てきています。

 最近では、多くのデータサイエンティストや技術者がフリーランスで働き始めています。そのため、そういった方々を自社の一員としてチームの中に加えやすくなっています。チーム編成の仕方が、ここ数年で変わってきているように感じますね」(大内氏)

 そこで、大内氏がデータ統合における共通の成功要因として挙げたのは以下の2つ。

  • 外部および内部を含めたチームづくりに成功していること
  • リーダーが常に顧客視点で取り組んでいること

データ統合において乗り越えるべき5つの課題

 続いて大内氏は、データ統合を進める上での課題として、「課題設定」「組織」「データ」「技術」を列挙。加えて、2018年5月から欧州において適用が始まったGDPR(General Data Protection Regulation/欧州一般データ保護規則)の影響から「個人情報の保護」も重要なポイントになってきていると述べた。

1.課題設定

 大内氏はまず、「課題設定」における具体的な問題を紹介した。デジタルマーケティングに関する企業のプロジェクトの多くは、「ビッグデータ」「DMP」「マーケティングオートメーション(MA)」といったキーワードを起点に始まりがちだ。これらの言葉だけに注目し、具体的な課題設定が行われぬまま、プロジェクトが進行してしまうことがあると大内氏は述べた。

 「ただ、途中でチームの編成を調整したりツールを変えたりして、課題設定を仕切り直した結果、軌道に乗ったという話はよくあります。特にデータ統合プロジェクトにおいて重要なのは、様々な経験を重ねることだと思います」(大内氏)

適切なタッチポイントが作れているか

2.組織

 大内氏は続けて、「組織」における問題に言及。プロジェクトチーム内では、「総論賛成・各論反対」を理由としたせめぎ合いが起こり、プロジェクトが円滑に進まないことがあるという。こうした企業の現場では、横断組織と事業部の距離を詰めていく取り組みが必要になる。

 「チーム間で密に連携していくことが大切です。たとえば、金融業界のある企業では、各担当者が横断組織に出向するなどの取り組みをしています。また、リーダーがミッションを顧客視点で持ち、それを力強く宣言し続けることも重要です。

 こうした体制を整えた上で、最初に課題をどう抽出するかヒアリングしたり、事業部参加型でワークショップを開催したり、カスタマージャーニーを描いたりといったことを行っていくことが必要になってくると思います」(大内氏)

3.データ

 次に、「データ」の課題に触れた大内氏は、企業の現場ではデータがそもそも取得できていないことが多いと指摘した。つまり、顧客行動と触れ合うコンテンツとなるタッチポイントが上手く作れていないケースが多いそうだ。これでは、顧客のデータ分析をしようにも、前提として顧客が望んでいるタッチポイントが用意できていないため、顧客の反応の良し悪しを評価することが難しい。

 コニカミノルタジャパンでは、デジタルマーケティングマーケティングサービス統括部がカスタマージャーニーにもとづき、Webを中心としたコンテンツ制作やセミナーを行うなどして、積極的に顧客とのタッチポイント創出を行っているという。

(セッション資料より抜粋、以下同)

 「特に、アナリティクス担当者の場合は『データ』を主語にして考えてしまう傾向があります。あくまでデータは結果で、主語は『顧客』です。まずは顧客がどのようなことに関心を持っているかを理解してから、それをもとにタッチポイントを設計。そしてコンテンツ制作につなげていくことが重要です。

 社内でカスタマージャーニーを描くワークショップを実施することも有効です。顧客とのタッチポイントからどのようなデータが取得でき、それがコンテンツ制作につながるものかどうかを見極める。さらに、取得したデータをスコアリングすることで貢献度を可視化し、これをもとに分析担当者とシナリオを作り、仮説をもとにPDCAを回していく取り組みが必要です」(大内氏)

異なる分析基準が「顧客理解」を曖昧に

4.技術

 4つ目の「技術」の問題点について、大内氏は、組織づくりやプロジェクトチーム内の連携の重要性を認めた上で、根本的な技術の差がもたらす影響は大きいと話した。

 大内氏曰く、近年、複数のデバイスをまたいだサイト利用が増え、顧客のセッション(1回の訪問における行動)が分断されている。一方で、多くのアクセス解析ツールはセッションを基準に設計されており、それぞれのセッションにおける数値がどう変動したかを分析している。実際は、顧客行動がセッションで完結することは少なくなってきているため、セッション単位ではなく顧客単位でCVR(コンバージョン率)を見ることが必要だという。

 大内氏は実際に、Google Analyticsにおける通常レポートのCVRと、CookieのIDから引用した同様のデータを比較した。その結果、後者のほうがCVRが高くなることが判明した。

 「このように、本来の設計思想が違う技術を使って顧客を理解しようとすると、見落としてしまう部分が多くなります。ある意味、本当の顧客が見えなくなってしまうということです」(大内氏)

 さらに大内氏は、同じサイトを参照していても、事業部によって顧客行動が違って見えてしまうことがあると指摘。「ビュー」「プロファイル」「レポート」とデータを区切って管理していく中で、サイトの貢献度が曖昧になってしまうという。

 こうした背景のもと、最近では分析担当者が一人ひとりの顧客行動を一貫して追っていくような取り組みを行っている企業が増えてきているそうだ。顧客一人の様々な行動を詳細に分析することで、改善案を出し合い、解決策につなげていくという。

カスタマージャーニーで一貫した顧客理解を実現

 データ統合における5つの課題について語った大内氏は、セッションの終盤で、これらの問題を解決するソリューションとして、コニカミノルタジャパンの「カスタマージャーニーDMP」を紹介した。

 「カスタマージャーニーDMP」は、アクセス解析ツール「RTmetrics(RTメトリックス)」の開発実績のあるオーリック・システムズと共同開発を進めている。同社が構築したプラットフォームをもとに、コニカミノルタジャパンが最適なUIを実現する形でパッケージ化を目指している。同ソリューションは、2019年春にリリースされる予定だ。

「カスタマージャーニーDMP」イメージ

 大内氏は、同ソリューションの主な特徴として次の3点をあげた。

  • データ分析結果を、カスタマージャーニーとして表現可能
  • アジャイル分析に最適な高速データベースプラットフォーム
  • GUIベースでの簡易分析が可能(SQL不要)

 同ソリューションを活用することで企業は、収集・分析・施策実行に至るまでを、様々なツールと連携させながら進めることが可能になる。たとえば、セグメントリストを抽出し、MAツールと連動して広告アクションを起こすなどだ。

 「一言で表現するならば、『カスタマージャーニーを実際のデータとして検証できるソリューション』。顧客行動の可視化と、安全・信頼を担保するという部分でこのDMPが期待に応えていければと考えています」(大内氏)

「顧客中心」の体制づくりを今後も支援

 大内氏は続けて、「データの統合において重要なのは『顧客理解』と、それを実現するためのチーム作り」だと改めて強調した。SQLのデータベースは表列で集計することに長けている一方で、時系列で顧客を捉えることはあまり得意ではないことを指摘。「線」で顧客をしっかりと理解できる環境を構築することが、今後重要になってくると述べた。

 実際に、コニカミノルタジャパンが過去に開催したワークショップでは、顧客行動を可視化したツールを用いたところ、参加者に新たな発見や気づきが生まれたそうだ。同社はまた、GDPRなどの個人情報保護への対応についても、欧州市場へ展開しているコニカミノルタの経験をソリューション・メニューとして提供していく予定となっている。

 最後に大内氏は、「弊社では、『6 Values』と呼び、大事にしている6つの信条があります。その中で私が最も好きなのが、顧客中心を意味する『カスタマーセントリック』の考え方です。コニカミノルタジャパンの一員として、企業のプロジェクトにおける顧客中心の取り組みをサポートしていきたいと思っています」と語り、セッションを締めくくった。

 コニカミノルタジャパンでは、同セミナーイベントのフォローセミナーを2019年2月下旬に開催する予定となっている。詳細はこちら

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/28 14:00 https://markezine.jp/article/detail/29574