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マーケターが専門職として確立されつつある――元メルカリ鋤柄氏、退職の理由とこれからのマーケ像を語る

 メルカリでマーケティングを先導してきた鋤柄氏が、11月に退職を発表した。業界内でマーケターの独立が相次いでいるが、同氏が独立を決めた理由はなんだったのか。激動の数年間を振り返りつつ、今注目していることや、この先のビジョンを聞いた。

上場を区切りに「やり切った」という思いが

――まずは、率直に退職の理由をうかがいたいのですが、メルカリの創業期からここまでのグロースに携わってきて、サービスも好調な今のタイミングで退職されたのはなぜでしょうか?

鋤柄直哉氏。現在は株式会社Peecanを立ち上げ、代表取締役として、スタートアップ企業を中心にマーケティングに携わっている。
株式会社Peecan 代表取締役 鋤柄直哉氏

鋤柄:一言でいうと、自分の中で「やり切ったな」という思いが大きいです。メルカリの設立当初から上場は意識してやってきて、設立5年目の今年6月に東証マザーズに上場しました。もちろん、会社の最終的なゴールが上場だとは思っていませんが、私個人の気持ち的に、上場は一つの区切りになりました。

 また、メルカリではプロフェッショナルとしての経験を積む目的で副業が推奨されているので、昨年ごろからいくつかのスタートアップのお手伝いをしてきました。その中で、フリーのマーケターの需要の高さや、企業の外からでもマーケターとしてサポートできる部分があることを実感しまして。可能性を感じ、挑戦してみようと思いました。現在は、株式会社Peecanを立ち上げ、スタートアップを中心にマーケティングのサポートをしています。

――転職は考えなかったんですか?

鋤柄:考えなくもなかったんですが。考えた結果、転職するならメルカリに残るほうがいいな、という結論になりましたね。会社の中で一つのサービスにこだわってコミットするなら、メルカリという会社はすごく魅力的です。多様なマーケティングの手法を経験できるので、マーケターにとってはやりがいがあると思います。

 一方、会社の外に出ると、同時に様々な会社やサービスに携りながら、色々な人と一緒に仕事ができる。一つのサービスにどっぷりつかる経験はメルカリでやらせてもらったので、自分の幅を広げるためにも、次は外に出る選択をしました。それぞれのスタートアップが、同じような課題を持っていたりもするので、自分がハブになって人と人を繋いでいくところにも、今までとは違ったおもしろみを感じています。

改めて、マーケターとして頑張ろうと思ったきっかけ

――音部さんや菅原さんなど、最近、マーケターの独立が目立ちますね。

鋤柄:そうですね。クリエイターやデザイナーなどと同じように、「マーケター」が専門職として確立されてきた印象があります

 これには、ネットサービスの存在が普及してきて、各々のサービスをグロースさせるためにマーケターが求められているという理由が一つあると思います。良いサービスを作っても広げられないと意味がないですからね。

 あと、昨年のアドテック登壇も一つの分岐点になりました。菅原さんと元ヤフーの友澤さん、元ロレアルの長瀬さんの4人で登壇したんですが、登壇に向けて打ち合わせなどの準備を進める中で、皆さんバリバリのシニアマーケターなのに、さらに高みを目指して探求されていて。その姿勢にすごく刺激を受けたんです。

 モチベーションが上がったといいますか。改めて、「マーケターとして頑張ろう」と思うきっかけになりました。社会人人生はまだまだ長いので、これからやれることを考えないといけないなと。たまたまですけど、この1年で登壇した4人全員が転職なり独立なりされていますね(笑)。

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/12/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29804

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