米国時間3月19日、ラスベガスのマンダレイ・ベイにてオラクル社主催の「Modern Customer Experience 2019(MCX)」が開幕。21日までの会期中、約235のセッションが用意されており、世界中から2,000人以上が参加する予定だ。セッションは「Marketing」、「Commerce」、「Sales」、「Service」、「Cross CX」の5つの分野で構成され、最新事例やソリューションのアップデートなどが共有される。
今回の特徴のひとつは、「Modern Business Experience(MBX)」との同日開催。MBXでは、Human Capital Management(HCM)やERPなど、基幹業務システムとの連携が不可欠なアプリケーションの情報が共有される。マーケティング領域に閉じず、クラウドアプリケーションによる横断的な顧客支援を加速させていくという同社の姿勢が伺える。
20日夜には、同社の製品を活用し成果を上げた企業に贈られる「Markie Awerds」の受賞式が予定されており、日本からはABM戦略の領域でNEC、NTTコミュニケーションズの2社がファイナリストにノミネートしている。
顧客の時間を無駄にしない
米国時間3月19日14時に開始したオープンキーノートには、米オラクルにてCX Cloudの責任者を務めるRob Tarkoff氏が登壇し、「Economy Experience(経験経済)」について考察した。
冒頭、コールされてもTarkoff氏は姿を現さず。会場前方のスクリーンには、チャット画面が投影された。「ロブ、ステージに上がらないと」というメッセージにリアルタイムでTarkoff氏が反応し、チャットを終えると、来場者席より登場した。「ごめんなさい。一番気にかけてくれている人たち――パートナー、従業員、そして顧客の皆様――を待たせるなんて」と会場に謝罪し、「時間を無駄にすることは、一番やってはいけないことです」と続け、「The Value of Time in the Experience Economy」と題したプレゼンテーションをスタートさせた。
Tarkoff氏は「現代おいて経験というのは実際のサービスや商品を提供することよりも重要である」と述べ、お客様の声こそがイノベーションにおいて重要な役割を担っており、成功するためには耳を傾けることが非常に重要だと強調。
続いてCXにおける顧客の時間を「DISCOVER」「ENGAGE」「CONSUME」「SERVE」の4つのフェーズに分けて考察。現在の顧客は、商品やサービスの発見には時間をかけたくなく、指示されることを嫌い、自分自身で探すことを好む傾向にあるという。一方で家や婚約指輪など重要な購買意思決定へ進む場合は、特により深い関係構築のできる専門家を頼る。実際に消費する段階においてはスムーズで素早い決済を望み、よい経験を得るとまたサービスを利用してくれるということを説いた。
顧客の時間を無駄にせず、上記の経験を実現するためにはスピードや効率だけではなく、個別の対応が必要となる。パーソナライズ化していくことが求められる「経験経済」において、企業は顧客ファーストであるべきであり、顧客体験を一貫させるためにはサイロ化していたビジネスチームの壁を壊さないといけないと強調。改めて、マーケティング、セールス、コマース、サービスの相互理解の必要性を語った。
「CX Unity」でリアルタイムの可視化を実現
また、現在のCXにおいて最も重要なことは「リアルタイム性」であり、オラクルの答えは「CX Unity」にあると発表。データインテリジェントなサービスとして3rdパーティデータを活用しながら、リアルタイムでCXを可視化し顧客理解を促進していくと宣言した。
CX UnityはOracle CX Cloudと既に統合されており、オラクル社は両者の活用を支援し、顧客のビジネス支援を強化していく。CX CloudはMarketing Cloud、Engagement Cloud(旧Sales Cloud)、Service Cloud、Commerce Cloudなどを中心としたアプリケーション群である。
Tarkoff氏は「今こそCXは喫緊の課題として求められており、この瞬間も顧客は常に変わり続けています。我々も立ち止まることはできません。オラクルCXのパワーを感じてください」と自身のプレゼンテーションを締めくくった。
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